2022年5月18日水曜日

山種美術館【特別展】生誕110周年 奥田元宋と日展の巨匠-福田平八郎から東山魁夷へ-

東京・広尾の山種美術館では、「【特別展】生誕110周年 奥田元宋と日展の巨匠 -福田平八郎から東山魁夷へ-」が開催されています。

展覧会チラシ





今回のお目当てはなんといっても、「元宋の赤」が映える《奥入瀬(秋)》(山種美術館)。
そして今の季節にふさわしい新緑が映える作品をはじめ、さまざまな色合いの作品が展示されているので、今回は特に「色」に注目して展覧会の様子をご紹介したいと思います。


展覧会概要


会 期  2022年4月23日(土)~7月3日(日)
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
 ※今後の状況により会期・開館時間等は変更する場合がございます。
休館日  月曜日
入館料  一般 1,300円、大学生・高校生 1,000円、中学生以下無料(付添人の同伴が必要)
※他にも割引・特典があります。チケットはご来館当日、美術館受付で通常通りご購入いただけます。また、入館日時のオンライン予約も可能です。
※オンライン展覧会などの各種イベントも開催されますので、詳細は同館公式Webサイトをご覧ください⇒https://www.yamatane-museum.jp/

展示構成
 第1章 奥田元宋
 第2章 文展から日展へ
 第3章 東山魁夷・杉山寧・髙山辰雄 元宋と同時代に日展で活躍した三巨匠

※展示室内は次の1点を除き撮影不可です。掲載した写真はプレス内覧会で美術館より特別に許可をいただいて撮影したものです。

今回の展覧会で撮影可の作品は、奥田元宋《山澗雨趣》(山種美術館)です。

奥田元宋《山澗雨趣》1975(昭和50)年
絹本・彩色 山種美術館


第1章 奥田元宋


第1章では、奥田元宋の奥入瀬の春(個人蔵)と秋(山種美術館)を描いた大作2点を含む8点と、元宋の師、児玉希望の作品3点が展示されています。

第1章展示風景


初めにご紹介するのは、今回の展覧会のメインビジュアルにもなっている「赤」の作品。

奥田元宋《奥入瀬(秋)》1983(昭和58)年
紙本・彩色 山種美術館

70歳を過ぎた元宋が、大作に取り組めるのも80歳までが限度と思い、1年に1点大作を描こうと決めて描いた最初の作品が《奥入瀬(秋)》(山種美術館)。

「実物大」ではありませんが、そう思えるほどの迫力の大画面なので、まるでその場に行って紅葉に染まった景色を眺めているような気分になってきます。
渓流の水の音まで聞こえてきそうです。

続いて同じく元宋の「緑」の作品。

奥田元宋《奥入瀬(春)》1987(昭和62)年
紙本・彩色 個人蔵

《奥入瀬(秋)》(山種美術館)の4年後に描かれた作品で、目の前に立つと、鳥の鳴き声を聞きながら森林浴をしているようなすがすがしい気分になってきます。

奥入瀬を描いたこの2つの大作が同時に公開されるのは10年ぶりとのこと。
ぜひお揃いのところをご覧いただきたいです。


児玉希望の作品で印象に残った色は「白」
白い雪の壁がこちらに迫ってくるような迫力が感じられる《モンブラン》(山種美術館)です。
手前の黒い木々が雪の白を引き立てています。


児玉希望《モンブラン》1957(昭和32)年
絹本・墨画 山種美術館




第2章 文展から日展へ


1907(明治40)年に明治政府によって創設された文展(文部省美術展覧会)から、帝展、新文展と続く官設の展覧会から、戦後の日展、新日展、改組新日展と現代に至るまでの歴代の出品作が展示されている第2章では、横山大観、小林古径、松岡映丘、川合玉堂はじめ近代日本画を代表する錚々たる顔ぶれの作品が展示されています。

こちらは第6回新文展出品作の川合玉堂《山雨一過》(山種美術館)。

川合玉堂《山雨一過》1943(昭和18)年
絹本・彩色 山種美術館

第2章でご紹介する「色」は、第2回新日展に出品された橋本明治《月庭》(山種美術館)の「青」
月は描かれてませんが、女性たちの顔や着物の青で月あかりを表現しているところが、かえってロマンチックな雰囲気を醸し出しています。

橋本明治《月庭》1959(昭和34)年
紙本・彩色 山種美術館


続いては、第3回日展に出品された福田平八郎《筍》(山種美術館)の「黒」
同じく本展で展示されている福田平八郎が描いた写実的な《牡丹》(山種美術館)も妖艶さが感じられて好きなのですが、大胆な構図で単純かつ明快な作風で描くようになった時代の《筍》(山種美術館)も、地面から突き出てきた二本の柱のような竹の子の力強さが感じられて好きな作品です。



第3章 東山魁夷・杉山寧・髙山辰雄 元宋と同時代に日展で活躍した三巨匠


奥田元宋と同時代に日展で活躍した東山魁夷、杉山寧、髙山辰雄の作品は、第2展示室に展示されています。

第3章でご紹介する「色」は、東山魁夷の「緑」
京都の四季を描いた「京洛四季」の連作のひとつで、新緑に彩られた修学院離宮を描いた《緑潤う》(山種美術館)。今の時期にぴったりの作品です。


東山魁夷《緑潤う》1976(昭和51)年
紙本・彩色 山種美術館


オリジナルグッズも和菓子も色とりどりです。


これだけ彩りあざやかな作品が揃っている展覧会ですので、オリジナルグッズも色とりどり。


オリジナルグッズ

奥田元宋のはがき《奥入瀬(春)》は新製品。《奥入瀬(秋)》ももちろんあります。
上の写真ではがきを支えているのは、桜の花や猫などのデザインのマグネットカードスタンド。
(はがき 税込各110円、マグネットカードスタンド 税込各880円)

川合玉堂のグリーティングカード(封筒付き)は6種類あってそれぞれ税込各385円ですが、お得な6枚セットはなんと税込1,100円!

夏の暑い時期におススメなのは、雁皮紙という「美濃手漉き和紙」で作られた「水うちわ 小丸」(税込4,400円)。



オリジナルグッズも盛りだくさんの内容なので、観覧後はぜひミュージアムショップにお立ち寄りください。

山種美術館のもう一つの楽しみは、展覧会出品作品にちなんだ和菓子。
抹茶とのセットで税込1,200円です。

どれも美味しそうなので、いつもどれにしようか迷ってしまいます。


上の写真、右上から時計回りに、「葉のしずく(川合玉堂《山雨一過》●)」、「青もみじ(奥田元宋《奥入瀬(春)》〇)」、「秋のいろ(奥田元宋《奥入瀬(秋)》●)、「雪けしき(奥田元宋《松島暮色》●)、「月あかり(橋本明治《月庭》●)」。
(カッコ内はモチーフにした作品で、〇は個人蔵・山種美術館寄託品、●は山種美術館蔵)


赤、緑、白、青、黒-色とりどりの作品でいっぱいの展覧会をぜひお楽しみください。