2012年5月6日日曜日

旧東ドイツ紀行(20)

11月16日(水) ドレスデン市内

アルテ・マイスター絵画館を出たのが午後2時近くになったのは前々回のブログでふれたとおり。
例によって朝食をゆっくりたっぷり食べたのでこの時間になってもおなかが空かない。
それでも何か食べなくては、と考えながら旧市街地区を歩いていたら、あった。
そう、困ったときの「Subway」。
ここなら野菜も十分とることができる。
私は迷わず店に入った。
すると店の奥から気の良さそうなおにいさんが出てきて「こんにちわ」。
私もあいさつを返して、「野菜を全種類サンドしてください」と注文。
パンの種類は胚芽パン。
野菜をひととおりはさんでから、おにいさんが「ソースはどれにしましょう」。
「辛めのはありますか」
「メキシカンはどうでしょう」
名前からして辛そうなので、
「あまり辛すぎない方がいいんですけど」
「じゃ、試してみますか」
と言って、カットしたきゅうりにさっとメキシカンソースをつけてこちらに差し出してくれた。
それを口に入れながら「ちょうどいい辛さですね。じゃ、ソースはこれで」と私。

あとはデザートのクッキーとコーヒー。今度は間違えずにCafé Crémeを注文した。
これで5ユーロ7セント。当時のレートで550円ぐらい。この値段でごらんのとおりあふれんばかりの野菜。



食後の散歩。
ベルリンでもよく見かけたが、ドレスデンにも寿司バーが多い。海苔巻きが主だが、ドイツでもヘルシーな食事ということで人気が出てきているのだろうか。
今回は日本食が恋しくなるほど長くは滞在していないので入るつもりはなかったが、以前、ドイツに滞在していたときは、やたら日本食が食べたくなって困ったことがある。
地方都市だと日本料理の店がなかったからだ。そこで、ほとんど毎日中華料理を食べて気を紛らわしていたが、中華料理屋だと世界中どこにでもあるから助かる。
それでも日本食が食べたくなり、フランクフルト・アム・マインに出かける機会があったときには、迷わず日本料理店に行った。そのとき食べたマグロの握り寿司が涙が出るほど美味しく感じたことを今でも覚えている。


これはショッピングモールのクリスマスツリー。

この光景を見た瞬間、「これはまるで『みなとみらい』ではないか」と声を上げた。
ドレスデン中央駅から旧市街地までのプラーガー通りの両側には、ずらりとショッピングモールが立ち並んでいる。統一前にはホテルがちらほらあっただけで、ほとんど空き地だったので、何の遠慮もなく新しいショッピングモールをつくることができるのは横浜のみなとみらい地区と同じだ。中も吹き抜けになっていて、店の並びなどもよく似ている。ファストフードのチェーン店がはいっているところなども同じだ。

これは帰国後に行った横浜みなとみらい地区のランドマークプラザのクリスマスツリー。
ツリーの色合いは違うが雰囲気はよく似ている。


ドレスデンではショッピングモールの感じがランドマークプラザに似ていると思ったが、横浜では反対に、建物の外に出るとドレスデンの旧市街地区が見えてくるのでは、という不思議な錯覚におそわれ、またドレスデンに行きたくなってしまった。
こういうときは、少し足をのばして歴史博物館まで行ってみるか。
あのネオバロック様式の重厚なつくりの建物は、ドイツの街を思い出させてくれる。
(神奈川県立歴史博物館の適当な写真がなくてすみません。今度撮る機会があったらアップします)


下の写真は、旧東ドイツの紙幣を印刷したチョコ。ベルリンでは見かけなかったが、ドレスデンでは、駅のキオスクにも、旧市街地のみやげ物屋にも売っている。
今や「DDR」は商品のブランドとして確立しているようだ。DDRというだけで、少なくとも私のような変わり者はトラバントのミニカーやチョコレートを買っていく。
上から、5マルク紙幣は宗教家トーマス・ミュンツァー、10マルク紙幣は女性革命家クララ・ツェトキン、20マルク紙幣は以前のブログで実物の紙幣を紹介した文豪ゲーテ、50マルクはフリードリヒ・エンゲルス、そして100マルクはカール・マルクスの肖像が描かれている。さすがに社会主義の思想的支柱となったマルクスとエンゲルスは100マルクや50マルクのような高額紙幣に肖像が描かれているが、22年前に東ドイツを訪れたときにはお目にかかることはなかった。

(次回に続く)