2012年7月3日火曜日

旧東ドイツ紀行(27)

11月17日(木) ライプツィヒ続き

アウエルバッハス・ケラーは、旧市庁舎裏手のアーケード街「メードラー・パサージュ」の中にある。

これは昼に撮った「メードラー・パサージュ」の入口。彫像や彫刻の模様などがよくわかる。


入口から少し入ったところにゲーテ「ファウスト」の一場面、学生がメフィストに魔法をかけられている像が立っている。


この後ろに階段があり、地下に降りるとレストランの入口がある。
写真を撮り終り、階段の方に向かおうとすると、学生とおぼしき若い男性が早足で像に近づいてきた。
何をするのか見ていたら、学生の像の左の靴に手を置いて立ち止まり、目を閉じてお祈りすると、さっと立ち去って行った。
「誘惑に負けずに勉学に専念できますように」と祈ったのだろうか。
よく見ると学生の像の左の靴先だけは金色に光っている。彼だけでなく、多くの学生がここに手をあてて願をかけているようだ。

(お詫びと訂正 平成24年9月1日)
 こちら側はメフィストとファウストの像です。台座に「メフィストに魔法をかけられる学生たち」とあったので早とちりしてしまいました。
反対側が魔法をかけられた学生たち。確かによく見ると左の学生が、葡萄と間違えて右の学生の鼻をつかんでいる。
ただ、ファウストの左の靴にふれた学生は何をお願いしたのだろうか。
すべての学問を習得して退屈になったファウストは、快楽を求めて悪魔と契約をする。そして少女グレートヒェンを追いかける。
わざわざ女の子を追いかけるためにファウストはなぜ悪魔と契約したのだろうか。そんなファウストのどこにあやかりたいというのだろうか。
ついつい天神様と比較してしまう私としては、「勉学に専念できますように」とお願いしていると思いたいのだが。


振り返ってみると、通りの反対側にもメフィストに魔法をかけられた学生の像があった。この後ろにも階段があり、地下でこちら側の階段とつながっている。


これがアウエルバッハス・ケラーの入口。
ゲーテがライプツィヒ大学の学生時代よく通っていたのがここ。
ドアの上には「歴史的ワイン酒場」と書かれている。
さて入ろうかと思ったが、メニューを見てあまりの値段の高さにたじろいでしまった。メインやサラダ、デザートなどが込みになっているのだろうが、料理一品が安くても日本円で3,000円~4,000円ぐらいする。

せっかくここまで来たのだから思い切って入ろうかとも思ったが、反対側の方が手ごろな値段なのでこちらに入ることにした。
こちらは20世紀に入って新しく作られたもの。でもドアの上にはちゃんと「アウエルバッハス・ケラー」と書いてある。

空いている席に案内されメニューを見ていると、私のテーブル担当のウエイトレス、アーニッケさんがやってきた。
名前はあとでレシートをみて分かった。名前の後ろに(25)とあるが、これは年齢だろうか。

こちらはテーブルの上に置いてあったナプキン。
アーケードの両側にある学生とメフィストの像がデザインされている。


体調はだいぶ良くなってきたので、3日ぶりにビールを飲むことにした。それにいつものとおり野菜中心の料理。
「クロスティッツァー・ビールと『トマトとズッキーニのスフレ ホウレンソウつき』をください。それからビールは料理と一緒に持ってきてもらえますか」と注文すると、アーニッケさんは少しけげんそうな顔をして、
「料理ができるまで20分くらいかかりますけど」と言った。
以前にもふれたが、ドイツではビールと料理を注文すると、まずビールだけが出てきて、それをちびちび飲みながら料理が出てくるのを待つ。そして料理が出るころには残りが少なくなるのでもう一杯、ということになる。
この日はまだ本調子でないのでビールは1杯だけにしたいというのもあるし、料理を待つ間、店内の写真を撮ったり、日本にメールを送ったりと、いろいろやることもあるので、
「いいです。料理ができるまで待ちます」と答えた。
アーニッケさんはにこりと笑って厨房に下がっていった。

新しいとはいえ、内装は凝っていて、古風な雰囲気を出している。


出てきた料理がこれ。
スフレ(Auflauf)とあるが、メレンゲは入っていない。きしめん状パスタが入っていてモッツァレラチーズがからめてあるので、形は違うけど味はラザニアに近い。チーズの適度な塩味がビールによくあう。

食事をしてふたたび体が温まってきた。列車が出るまでにはまだ時間があったので、新市庁舎まで寄って、ぐるりと遠回りしてから中央駅にもどることにした。
新市庁舎といっても完成したのは100年以上前なので、貫録十分。


トーマス教会はライトアップされていた。

こちらは旧市庁舎。

そして最後にニコライ教会。



久しぶりのビールで酔いが回ってきた。帰りの列車の中では気持ちよくうつらうつらしていた。
日本なら電車の中では男性も女性もよく寝るが、ドイツでは寝る人はあまりいない。
隣の女子学生はテーブルいっぱいに資料を広げてレポートを書いていた。資料が私のスペースにまで広がっていたのに気いて「失礼」と言ったが、私は寝いているだけなので、「いいですよ」と一言。
列車がドレスデン・ノイシュタット駅を出てエルベ川の鉄橋を通るところで旧市街地の尖塔群が見えてきた。淡いオレンジ色のライトに照らされたシルエットは幻想的だったが、カメラをザックから出す前に目の前の景色は通り過ぎてしまった。
私はシャッターチャンスを逃したことを惜しんだが、明日もこの路線は通るので、そのときこそは写真を撮ろう、と心に決め、気を取り直すことにした。
(次回に続く)