ジョルジュ・ブラックといえば「キュビズムの巨匠」。
でも今回のテーマは「絵画から立体への変容-メタモルフォーシス」。
ジョルジュ・ブラックの絵画が、ジュエリー、陶器、ガラス彫刻はじめ立体作品に「変容」して、どの作品もまばゆいばかりに輝いています!
さて、これからは先日参加した内覧会の様子を紹介しながら会場をご案内したいと思います。
展覧会の概要はこちらをご参照ください。→パナソニック汐留ミュージアム
※掲載した写真は美術館の特別の許可をいただいて撮影したものです。
ご案内いただいたのは、今回の展覧会の担当学芸員 宮内さん。
ジョルジュ・ブラックは、79歳から81歳で亡くなるまで最晩年の3年間に、数多くの立体作品、特に宝飾作品を世に送り出しました。
「これだけ多くの立体作品を展示する展覧会は日本初。お楽しみください。」と宮内さん。
会場に入ってすぐに目についたのは、これぞジョルジュ・ブラック!というキュビズムの絵画。
序章に展示されているのは右から《モンソー公園》、《静物》、《楽譜のある静物》。
《モンソー公園》はブラックが18歳の時の作品、《静物》はストラスブール近現代美術館所蔵作品で、公的な美術館に収蔵された最初の作品、《楽譜のある静物》は絵具に砂を混ぜてザラザラ感を出して、木目はギザギザ感を出しています。
「この質感をぜひ近くでご覧ください。」と宮内さん。
続いて「第1章 メタモルフォーシスー平面」。
はじめに9点のグアッシュ作品。
「これがメタモルフォーシスの原点です。『メディアの馬車』はじめジョルジュ・ブラックが今まで使っていたモチーフが描かれています。」
このグアッシュには、ジョルジュ・ブラックとともにジュエリー作品を制作したエゲル・ド・ルレンフェルドが複製してもよい、と書かれています。
次にリトグラフ作品です。
「造形のダイナミズムと同時に《ペリアスとネリウス》のような『かわいさ』もご覧になってください。」
《メディアの馬車》(下の写真右)、《ペルセポネ》(下の写真左)、
これらのモチーフがこのあと繰り返し出てきます。
第2章は「メタモルフォーシス-陶器」。
ここからは黒を基調とした落ち着いた雰囲気の部屋が続きます。
これらの陶器は、ブラックの原案をもとにニース地方の陶器工房が制作したもの。
ギリシャ神話の魔女キルケの横顔(下の写真右)。陶器に金箔が貼られています。
丸っこい壺は、ロレーヌ地方のロンウィー窯で制作されたので、「ロンウィーボール」と呼ばれているとのことです。
第3章 メタモルフォーシス-ジュエリー
ここからが今回の展覧会のハイライト。
きらびやかなジュエリーがずらり展示されています。
こちらは《三つの恩恵(三美神)》です。
まるで宝石店みたい!壮観です。
ジョルジュ・ブラックの頭から生涯離れなかったギリシャ神話の魔女キルケ(下の写真左)。そして色を反転させたギリシャ神話の女神ヘカテ(下の写真右)。
《メディアの馬車》(下の写真左)と《ヘルメス》(下の写真右)。
今回の展覧会でもパナソニックの先端技術が駆使されています。
「天井に設置されたスペースプレーヤーから『三美神』をテーマに鳥が飛ぶ姿が床に投影されます。床に注目です。」
第4章 メタモルフォーシス-彫刻
正面のスクリーンにはパナソニック社のプロジェクターから写される映像。
絵画から立体への変容がよくわかるビデオです。
こちらの床には《グラウコス》(上の写真左)と《ヒポノオス》(上の写真右)をイメージした魚が投影されています。
「もう一つの注目はガラス彫刻です。これらは2007年にジョルジュ・ブラックの遺志を汲んでナンシーのドーム工房ガラス製作所が作成した作品です。」
ガラス彫刻がバックライトに照らされてキラキラ輝いています。
第5章 メタモルフォーシス-室内装飾
ここからは緑を基調とした部屋が続きます。
左の2点は木製の装飾パネル、奥の2点はモザイク作品です。
こちらはフランス語で宝石を示す「ジェメ」と、七宝を表す「エマイユ」を掛け合わせて作った「ジェマイユ」というステンド・グラスです。
背面からの光で全体がジュエリーのように輝いています。
そして最後は部屋に飾るタペストリー。
ここでも今まで出てきたモチーフが使われています。
会場出口には記念撮影コーナー。
ブラックと一緒に記念写真をぜひ!
1階リフォームパークでは、すっかりおなじみとなった展覧会とのコラボ企画。
照明の加減によって絵の見え方がぐっと変わる様子に注目です。
さてジョルジュ・ブラックのメタモルフォーシスはいかがだったでしょうか。
とてもきれいで光り輝く作品が展示されています。
ぜひともその場でご覧になっていただければと思います。
6月24日(日)までです。