CSUが姉妹政党CDUと対立してまで難民受入れの厳格化を求める背景にはCSU側の焦りがあった。
CSUの本拠地バイエルン州では今年10月14日に州議会選挙が行われるが、反移民・反難民を有権者に訴えるポピュリスト政党AfDが支持率を伸ばしていて、そのおかげで今まで単独で過半数の議席を獲得していたCSUは、世論調査機関(Forsa)の最新の調査によると支持率は40%以下に落ち込んでしまった。
政党別支持率(8月13日付 Forsaより)
政 党
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支持率
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CSU
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37%
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緑の党
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17%
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AfD
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13%
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SPD
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12%
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自由な有権者の党
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8%
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FDP
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5%
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左派党
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4%
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その他
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4%
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CSUとしても、流入が続く移民・難民に対して厳しい姿勢を打ち出さないと、10月の州議会選挙で過半数割れという事態に陥ってしまうという強い危機感がある。
もうメルケル首相の「寛容な移民・難民政策」につきあってはいられないのだ。
(参考)バイエルン州議会の議席配分(前回2013年の選挙結果)
政 党
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議席数(合計180)
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得票率(※)
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CSU
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101
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47.7%
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SPD
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42
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20.6%
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自由な有権者の党
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19
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9%
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緑の党
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18
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8.6%
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一方、今回の連立政権内でのゴタゴタによって、CSU内部にも不協和音が広がった。
CSUの有力政治家たちから、6月末のEU首脳会議前に連邦内相とCSU党首を辞任するとメルケル首相に迫って譲歩を引き出したゼーホーファー氏のやり方は見苦しかった、との批判が出てきたのだ。
7月12日付ZDFのPolitbarometerの調査結果でも有権者はゼーホーファー内相に対してあまりよい感情をもっていないことがわかる。
「メルケル首相とゼーホーファー内相は役職に留まるべきか」という質問に対して、メルケル首相については、「はい」が50%、「いいえ」が47%と拮抗していたが、ゼーホーファー内相については、「はい」が37%に対して、「いいえ」が57%と、圧倒的に「いいえ」が多い結果となっている。
また、上記の世論調査機関Forsaは、「難民問題でCDUと対立して支持率の低下を止めようとした戦略は効果がなかっただけでなく、あまりに大騒ぎしたので、他の連邦各州と異なり、難民問題を争点化してしまった。」と分析している。
袋小路から抜け出せないCSU。
CSU党首でもあるゼーホーファー氏では州議会選挙で戦えない、との判断が党内から出てくるかもしれない。そうなれば選挙を目前にひかえ党首交代があるのか。
また、選挙結果次第ではバイエルン州内だけでなく、連立内閣の存続にも影響を及ぼす可能性もある。
しばらくは2か月後に迫ったバイエルン州議会選挙の戦いから目が離せない。
「第四次メルケル内閣の行方」は今回で終了して、次回からはバイエルン州議会選挙の行方に絞ってウォッチしていきます。