待ちに待った特別展が始まりました。
東京都江戸東京博物館では、4月27日(土)から特別展「江戸の街道をゆく~将軍と姫君の旅路~」が開催されています。
江戸時代には東海道をはじめとした街道が幕府によって整備されて、多くの人たちが行きかい、街道沿いの宿場町も栄えました。
今回の特集は、将軍たちの上洛、大名行列、そして姫君たちが将軍家に嫁ぐ下向がメインテーマ。街道をめぐる絵巻や浮世絵、旅や婚礼の調度品など、豪華な旅行気分が楽しめる展覧会です。
それではさっそく私たちも江戸時代にタイムスリップして街道をゆく旅に出てみることにしましょう。
※展示資料は、すべて東京都江戸東京博物館所蔵です。
展覧会概要
会 期 4月27日(土)~6月16日(日)
展示期間 前期 4月27日(土)~5月26日(日) 後期 5月28日(火)~6月16日(日)
休館日 5月27日(月)、6月3日(月)、10日(月)
開館時間 午前9時30分~午後5時30分(土曜日は午後7時30分まで)
*入館は閉館の30分前まで
観覧料(税込) 一般 特別展専用券 1,000円 特別展・常設展共通券 1,280円ほか
展覧会の詳細はこちらをご覧ください→江戸東京博物館公式ホームページ
特別展示室入口 |
プロローグ
やはり旅立ちはお江戸日本橋から。
今回の特別展ではレイアウトも凝っていて、会場入口には日本橋を模した橋が架かっています。そして渡った先には畏れ多くも東照大権現「徳川家康像」がお出迎え。
奥が「徳川家康像」 全期間展示 |
東照大権現を拝んでから、関所を通って次の展示に向かいます。
第1章 武家の通行~威信をかけた旅路~
武士たちの通行は決して物見遊山ではありませんでした。お家の存亡をかけた過酷な旅路だったのです。
徳川家康は慶長5年(1600)の関ヶ原の戦いに勝って天下の実権を握り、慶長3年(1603)に征夷大将軍になりました。
はじめに関ヶ原の戦いに関する資料が展示されています。
奥の左が「徳川秀忠書状」全期間展示、右が関ヶ原の戦い に関わる徳川家康・秀忠親子の軍勢の動きを示したパネル、 手前は山鹿素水/画「関ヶ原合戦絵巻」(前巻)後巻は後期展示 |
「徳川秀忠書状」は、のちに2代将軍になる秀忠が、挙兵した石田三成を迎え討つため西に向かう途中、真田昌幸の上田城を攻撃しているときに書いたもので、上田城攻めは早々に終わり、すぐに西上できるだろうという秀忠の心情がうかがえる貴重な資料。
実際には上田城攻めにてこずり、関ヶ原の戦いに間に合いませんでした。
続いて展示されているのが、参勤交代にまつわる資料。
大名統制策の一つとして武家諸法度で定められた参勤交代は、大名たちに過酷な出費を強いることとなりました。
奥が安達吟光/画 児玉又七/版 「旧諸侯江戸入行列之図」前期展示、 手前が「酒井忠器書状」全期間展示 |
続いて中山道に進みましょう。
第2章 姫君の下向~華麗なる婚礼の旅路~
宮家や五摂家、さらには皇室の姫君たちは、大きな河川が多く、川が氾濫すると川留めになる東海道ではなく、距離は長くても川の氾濫がほとんどない中山道を通って将軍家に嫁ぎました。
今回の展示の見どころの一つは、全長約24mにおよぶ絵巻「楽宮下向絵巻」。
巻き替えはありません。すべてを一度に見ることができます。
今回の展示の見どころの一つは、全長約24mにおよぶ絵巻「楽宮下向絵巻」。
巻き替えはありません。すべてを一度に見ることができます。
第2章展示風景 右のケースの中に青木正忠/画「楽宮下向絵巻」 (全期間展示)が展示されています。 |
こちらは、姫君たちの豪華な婚礼道具のコーナー。
島津家ゆかりの女性の駕籠も展示されています。内部の貼付絵も見事なので、ぜひ内部もご覧になってください。
公武一和のため、14代将軍・徳川家茂に嫁ぐ孝明天皇の妹・和宮が京都を出発したのは文久元年(1861)。そのときの様子を描いたのが関行篤/詞書「和宮江戸下向絵巻」です。
第2章展示風景 手前が関行篤/詞書「和宮江戸下向絵巻」前後期で場面替 |
第3章 幕末の将軍上洛~描かれた徳川家茂の旅路~
さあ、いよいよ最後のコーナー。東海道に入りましょう。
さあ、いよいよ最後のコーナー。東海道に入りましょう。
寛永11年(1634)、3代将軍家光が30万人を超える諸大名らの軍勢を率いて上洛、徳川幕府の威光を示したのは遠い昔の話。その229年後の文久3年(1863)に14代将軍家茂が上洛したのは、ペリー来航後に攘夷をめぐって対立した朝廷との融和を図るためでした。
家茂は、その後、元治元年(1864)、慶応元年(1865)にも上洛。
将軍の上洛は話題を呼び、そのときの様子は「東海道名所風景」や「末広五十三次」に描かれました。
「東海道名所風景」や「末広五十三次」は前後期で展示替えがあります。
将軍の上洛は話題を呼び、そのときの様子は「東海道名所風景」や「末広五十三次」に描かれました。
「東海道名所風景」や「末広五十三次」は前後期で展示替えがあります。
第3章展示風景 こちらは「東海道名所風景」 |
第3章展示風景 こちらは「末広五十三次」 |
エピローグ~東京の道をゆく~
フィナーレは明治維新後の「東京の道」。
明治天皇が京都から東京に向かう行幸(東幸)や蒸気機関車が走る様子が描かれた錦絵などが展示されています。
さて、駆け足で紹介してきましたが、特別展「江戸の街道をゆく」はいかがだったでしょうか。
江戸時代の将軍や姫君たちの旅の様子がうかがえる、とても楽しめる展覧会です。
会期は6月16日(日)までですが、前期展示は5月26日(日)までなので、お見逃しなく!
ミュージアムショップでは、展覧会関連グッズや展覧会図録を販売しています。
展覧会図録は、写真もきれいで説明も丁寧でわかりやすくて、これで2,200円(税込)。
レイアウトもおしゃれ。展示室内の解説パネルにありましたが、「朱傘」は将軍や姫君の存在を暗示する象徴です。
1階ロビーには撮影スポットがあります。中に入って江戸時代の姫君になった気分で、来館記念に一枚いかがでしょうか。