明けましておめでとうございます。
今年最初におススメする展覧会は、昨年12月21日(火)に開幕して年末年始の休みをはさんで明日2日(日)から再開する、すみだ北斎美術館「北斎で日本史-あの人をどう描いたかー」です。
今年最初におススメする展覧会は、昨年12月21日(火)に開幕して年末年始の休みをはさんで明日2日(日)から再開する、すみだ北斎美術館「北斎で日本史-あの人をどう描いたかー」です。
神話の時代から明治時代まで、北斎や一門の弟子たちが描いた歴史上の人物や出来事で綴る日本史が見られる楽しい展覧会です。
日本史ファンはもちろん、大河ドラマで見た場面も出てくるので、大河ドラマファンも見逃すわけにはいきません。
それではさっそく展覧会の様子をご紹介したいと思います。
※展示室内は撮影不可です。掲載した写真は内覧会で美術館の特別の許可をいただいて撮影したものです。
※出品作品はすべてすみだ北斎美術館所蔵品です。
展覧会概要
会 期 2021年12月21日(火)~2022年2月27日(日)
前期 12月21日(火)~1月23日(日)
後期 1月25日(火)~2月27日(日)
開館時間 9:30~17:30(入館は17:00まで)
休館日 毎週月曜日、年末年始(12月29日~1月1日)
※開館:1月2日(日)、1月3日(月)、1月10日(月・祝)
休館:1月4日(火)、1月11日(火)
観覧料 ※AURORA(常設展示室)、常設展プラス観覧料を含む
一般 1,000円、高校生・大学生 700円 ほか
(今回の企画展の会場は3階で、4階はAURORA(常設展示室)、常設展プラスの会場です。)
展覧会の詳細、関連イベント等につきましては同館公式HPをご確認ください⇒すみだ北斎美術館
歴史上のあの有名人が続々登場!
こちらは、遣唐使として唐に渡り、玄宗皇帝に重用された阿倍仲麻呂がようやく帰国を許されて、故郷の奈良の都からも見える月を懐かしんで眺めている場面です。
残念ながら仲麻呂の乗った船は難破して安南(今のベトナム中部)に漂着したため、仲麻呂は唐の都長安に戻り、再び唐朝に仕え、その地で生涯を終えました。
一方、東シナ海の荒波を越えて二度唐に渡り、二度とも無事日本に帰国した強運の持ち主が吉備大臣こと吉備真備。
岳亭春信『画本柳樽』五編 前期展示 |
唐に留学中の吉備真備が、蜘蛛に助けられ難解な詩を解読できたという逸話の場面が描かれていますが、唐の朝廷から多くの難題を出され、阿倍仲麻呂の霊が鬼に化けて真備を助ける場面が描かれた『吉備大臣入唐絵巻』(ボストン美術館蔵)を思い浮かべます。
『吉備大臣入唐絵巻』は、2年前に東京都美術館で開催予定の「ボストン美術館展 芸術×力」で来日するはずでしたがコロナの影響で中止になり、今年夏にあらためて来日が決定しています。
さすが吉備大臣、今の時代に太平洋を渡ることなど何の問題もないことなのでしょう。
(ちなみに、吉備大臣が最初に入唐したときは阿倍仲麻呂と一緒で、二度目に唐に渡ったときは阿倍仲麻呂は生きていので、鬼に化けるということはなかったのですが。)
今回の展示では、解説パネルにも注目です。
中段の白抜きの部分は登場人物や時代背景の解説、その下が作品の解説になっているので、より深く作品を味わうことができる工夫がなされています。
解説パネル |
時代を先に進めてみると、後世の評価が対照的な二人の武将の作品が並んでいました。
右 葛飾北斎『北斎漫画』五編 楠正成 左 二代柳川重信『日本百将伝一夕話』九 尊氏の将士出陳の図 どちらも通期展示 |
二人の武将とは、後醍醐天皇に反旗を翻して室町幕府を開いた足利尊氏と、後醍醐天皇に従い尊氏と戦いに敗れ自害した楠木正成のことです。
天皇に従ったことから明治期には「大楠公」と称され、近代日本画の題材にもなった楠木正成が、のちの将軍・尊氏に背いたにもかかわらず江戸時代に描かれていたことは意外でした。
一方の尊氏は、幕末の尊王攘夷運動の中、京都・等持院に安置されている足利歴代将軍の木像のうち、尊氏、義詮、義満の木像の首が、朝敵として三条河原にさらされるという事件がありましたが(足利氏木像梟首事件)、この時はさすがに武将としての勇壮な姿で描かれています。
他にも、『日本書紀』や『古事記』に登場する木花開邪姫命(コノハナノサクヤビメ)、平安時代の紫式部、戦国時代の武田信玄はじめ多くの歴史上の人物が登場するので、ぜひ会場でお会いになってください!
大河ドラマのあのシーンがよみがえる!
この展覧会が始まった12月に欠かすことができないテーマは、やはり「忠臣蔵」。
そしてクライマックスはもちろん討入りの場面。
NHK大河ドラマでは1999年に放映された「元禄繚乱」が一番新しいものですが、忠臣蔵をテーマにした大河ドラマはこれで4作目だったそうです。
2020年から2021年にかけて放映された「麒麟がくる」のクライマックスシーンはもちろん本能寺の変。
そしてその伏線となった、明智光秀が織田信長に叱りつけられている場面も出てきます。
二代柳川重信『主従心得草』五編 上 通期展示 |
しかしながらこの場面は、江戸時代の封建社会の中では、気に入らないことがあっても家臣を憎むと信長のようになってしまうという、主君に対する戒めの意味があったのですね。
そして今年(2022年)の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の登場人物も出てきますので、お見逃しなく!
(下の写真の左ページの上の方に北条時政と政子が描かれています。)
まだまだ紹介したい歴史上の人物や名場面はあるのですが、続きは会場でご覧いただくとして、3階ホワイエに移ります。
こちらは3階ホワイエのフォトスポット。
AURORA(常設展示室)では、ぜひ北斎の画業の変遷をたどってみてください。
北斎さんにお会いすることもできます。
※AURORA(常設展示室)は一部を除き撮影可。