2025年4月15日火曜日

静嘉堂@丸の内 黒の奇跡・曜変天目の秘密

東京・丸の内の静嘉堂@丸の内(明治生命館1階)では展覧会「黒の奇跡・曜変天目の秘密」が開催されています。 


展覧会チラシ

今回の展覧会の主役は、なんといっても「世界に三碗しかなく、三碗とも日本にあって、すべて国宝」という《曜変天目(稲葉天目)》。

「どうすればこんな美しい模様になるのか?」
「中国の茶碗がどうやって日本に伝来したのか?」

静嘉堂文庫美術館のほかに京都・大徳寺龍光院、大阪・藤田美術館だけにしか所蔵されていない「曜変天目」はミステリアスな輝きをはじめ謎も多く、またそれが大きな魅力なのですが、ホワイエにあるバナー(下の写真左)には最新の研究成果を踏まえた解説が紹介されているので、これをじっくり読めば「曜変天目」がさらに味わい深いものに感じられて見る楽しみも倍増すること間違いなし。


ホワイエ

さらに曜変天目の拡大パネル(上の写真右)には2ヶ所穴が開いていて、そこから顔を出して記念写真も撮れるので、茶碗の中に広がる星空のような小宇宙と一体になった気分を味わうこともできるのです。

もちろん国宝《曜変天目(稲葉天目)》以外にも見どころいっぱいの展覧会ですので、さっそく展示の様子をご紹介したいと思います。


展覧会開催概要


会 期  2025年4月5日(土)~6月22日(日)
休館日  毎週月曜日(ただし5月5日は開館)、5月7日(水)
開館時間 午前10時~午後5時 *入館は閉館の30分前まで
     *毎月第4水曜日は午後8時まで、6月20日(金)・21日(土)は午後7時まで開館
入館料  一般 1500円、大高生 1000円、中学生以下無料
     *障がい者手帳をお持ちの方700円(同伴者1名無料)
主 催  静嘉堂文庫美術館

今回の展覧会では、曜変ファッション割引(一般入場料200円引)があります。
ギャラリートークほか関連イベントもありますので、詳しくは同館公式サイトをご覧ください⇒静嘉堂文庫美術館  
 
撮影条件  ギャラリー4以外は撮影可(国宝《曜変天目》は撮影不可)
 *携帯電話・スマートフォン・タブレットのカメラはご使用いただけます。動画撮影・カ  
  メラでの撮影はご遠慮ください。
      
本記事では国宝《曜変天目》の写真を掲載していますが、これは報道内覧会で主催者の許可を得て撮影したものです。

*展示作品はすべて静嘉堂文庫所蔵です。

展示構成
 1章 天目のいろいろ
 2章 黒い工芸―漆黒とつや黒鉄のかがやき
 3章 天目と黒いやきもの
 4章 曜変天目の小宇宙
 


1章 天目のいろいろ

ギャラリー1にずらりと並ぶのは、唐物の天目茶碗。
静嘉堂が所蔵する「油滴」や「建盞(けんさん)」「鼈盞(べっさん)」「灰被(はいかつぎ)」などの唐物天目が一堂に会する光景はまさに壮観の一言


「1章 天目のいろいろ」展示風景

それも、ただ単に並んでいるのでなく、中国伝来の絵画、工芸品の鑑定評価や、その飾り方を図入りで解説した、いわば室町将軍家の宝物のマニュアル本『君台観左右帳記』での評価に沿って展示されているので、それぞれの天目茶碗が当時はどのような位置づけだったのかがよくわかります。


たとえば、中国の宋~元時代、福建省の建窯で焼かれた「建盞」は、「建盞、油滴にも劣るべからず」とあって、当時から評価が高いものでした。

「1章 天目のいろいろ」展示風景


そして、器の内外に広がる斑紋を水面に浮かぶ油のしずくに見立てた「油滴」は「第二の重寶」。「曜変よりは世に数あまたあるべし」との解説には妙に納得してしまいました。

重要文化財《油滴天目》建窯 「新」銘 南宋時代(12~13世紀)



2章 黒い工芸―漆黒とつや黒鉄のかがやき

ギャラリー2に展示されているのは、漆黒の工芸品と刀剣・刀装具。

ここには中国・元~明時代と鎌倉~室町時代の13~16世紀の間に作られた漆黒の工芸品と、江戸~明治時代に作られた漆芸の作品が並んで展示されているので、「漆黒」といっても、中世以降の日本で作られた透明感があって奥行きが感じられる黒と、漆に油煙をまぜた黒漆を使って真っ黒そのものの重厚さが感じられる中国の黒の違いを比べてみることができます。

「2章 黒い工芸―漆黒とつや黒鉄のかがやき」展示風景

漆といえばすぐに名前が思い浮かんでくる、幕末から明治にかけて活躍した漆芸家・柴田是真の作品は、上から黒塗・四分一塗・潤塗・朱銅塗・青銅塗に塗り分けられた五段の重箱《柳流水蒔絵重箱》。
これはまさに「変塗(かわりぬ)りの見本市」で、是真の黒にはつやつやとした透明感が感じられます。

柴田是真《柳流水蒔絵重箱》 「是真」銘
江戸~ 明治時代(19世紀) 


今回は三振の名刀が展示されているので刀剣ファンも見逃すわけにはいきません。

「2章 黒い工芸―漆黒とつや黒鉄のかがやき」展示風景

今回の展覧会のテーマは「黒の奇跡」なので、刀身の刃の輝きだけでなく、剣の柄(つか)に収められる刃のない部分にあたる「茎(なかご)」の黒鉄の渋い輝きにも注目したいです。


重要美術品 源清磨《刀 銘 源清磨/弘化丁未年八月日》
附 小倉巻柄半太刀拵 江戸時代・弘化四年(1847)
拵:明治~昭和時代(19~20世紀)

実は、刀剣はいざという時に備えて普段から柄をつけて鞘(さや)に収めていて、写真のように柄や鞘をはずすのはあくまでも展示のためだと思っていたのですが、保存のため刀身を鞘から出して、柄を取り外して白木でできた白鞘に入れていたことを初めて知りました。

2章には、鍔(つば)や、目貫(めぬき)、小柄(こづか)、笄(こうがい)の三点セット「三所物(みところもの)」といった刀装具も展示されています。
刀剣の展示ではいつも、刀剣だけでなく、小さなスペースにこれでもかといった具合に趣向を凝らした装飾を刀装具に施す匠の技を見るのも大きな楽しみなのです。

「2章 黒い工芸―漆黒とつや黒鉄のかがやき」展示風景


   
3章 天目と黒いやきもの

ギャラリー3に展示されているのは、古くは中国・戦国時代から、清時代、そして日本の江戸から明治時代、昭和初期までの黒にちなんださまざまなやきものが展示されています。

「3章 天目と黒いやきもの」展示風景

展示作品の中でもっとも古い時代のものは、燻し焼きによって器の面に煤を吸着させて黒く染めている「黒陶」。中国・戦国時代の紀元前4~3世紀に作られたものです。


「3章 天目と黒いやきもの」展示風景

そして、時代が下るにつれて、黒い釉薬を使ったやきものや、黒絵具を使った清時代のやきもの、さらには日本のやきものなど、「黒」のやきものの変遷がよくわかる展示が続きます。

「3章 天目と黒いやきもの」展示風景


4章 曜変天目の小宇宙

そしていよいよギャラリー4へ。(ギャラリー 4内は撮影不可です。)

VIPルームにただひとつ鎮座するのは国宝《曜変天目(稲葉天目)》。

国宝《曜変天目(稲葉天目)》 建窯 南宋時代(12~13世紀)

壁面には『君台観左右帳記』の「曜変天目」の解説文が掲載されています。
「曜變、建盞の内の無上也。世上になき物也。」との解説は説得力十分です。

今回は展示方法にも注目していただきたいです。
《曜変天目(稲葉天目)》が乗ったガラス面の下には鏡があるので、茶碗の底の部分の高台(たかだい)まで見ることができるのです。高台は今回が初お披露目ですのでお見逃しなく!


ミュージアムショップは曜変天目をモチーフにしたグッズが盛りだくさん。
大人気の「ほぼ実寸の曜変天目ぬいぐるみ」が、手のひらサイズのキーリングになって発売されています。
展覧会観覧後はぜひミュージアムショップにもお立ち寄りください。

ミュージアムショップ


中国や日本の黒の工芸品の歴史をたどり、国宝・曜変天目の謎と秘密に迫る、とても内容が濃くて興味深い展覧会です。
ゴールデンウイークにふらりと訪ねてみてはいかがでしょうか。

2025年4月10日木曜日

桜 さくら SAKURA 2025 展覧会関連講演会「桜を描いた名品佳品―饒舌館長ベストテン―」

3月29日(土)に開催された、桜 さくら SAKURA 2025展覧会関連講演会「桜を描いた名品佳品―饒舌館長ベストテン―」に参加してきました。

河野元昭氏


この講演会は、山種美術館が展覧会ごとに開催している関連イベントのひとつで、今回の講師はアートブログ「饒舌館長」でおなじみの河野元昭氏。大人気の河野氏だけあって会場は満員御礼、大盛況でした。
講演では、桜を描いた日本画の歴史に始まり、現在開催中の【特別展】桜 さくら SAKURA2025―美術館でお花見!に展示中の作品からベストテンを選んで展覧会の見どころをご紹介いただきました。

そこで今回は、ユーモアをまじえた軽妙かつ内容の濃い河野氏のトークを聴いているうちに90分があっという間に過ぎていった講演会の様子をご紹介したいと思います。

河野氏のブログ「饒舌館長」もぜひご覧ください。URLはこちらです⇒https://jozetsukancho.blogspot.com/


展覧会開催概要


会 期  2025年3月8日(土)~5月11日(日)
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日  月曜日(5/5(月・祝)は開館)
入館料  一般 1400円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要です。)
     春の学割  大学生・高校生 500円
各種割引、展覧会の詳細、関連イベント等は山種美術館公式サイトをご覧ください⇒https://www.yamatane-museum.jp/
    
展覧会チラシ


展示室内は次の1点を除き撮影禁止です。掲載した写真は美術館より広報画像をお借りしたものです。

今回撮影可の作品は、橋本明治《朝陽桜》(山種美術館)。スマートフォン・タブレット・携帯電話限定で写真撮影OKです。館内で撮影の注意事項をご確認ください。

橋本明治《朝陽桜》 1970(昭和45)年 紙本・彩色 山種美術館


さて、饒舌館長のベストテンですが、これは1位から10位までのランキングでなく、順不同とのことです。(下記のベストテンの作品はすべて山種美術館所蔵作品です。)

橋本雅邦《児島高徳》

橋本雅邦は、同じ木挽町狩野派出身の狩野芳崖とともに明治期の近代日本画界の二大スーパースター。岡倉天心やフェノロサに認められ、色彩や光線の表現に新たな試みを取り入れて新画風の日本画の開拓に努めた日本画家でした。代表作としては、近代日本画として初めて重要文化財に指定された《龍虎図屏風》(静嘉堂文庫美術館)が知られています。
作品タイトルの児島高徳は、元弘の乱で隠岐に流される後醍醐天皇を励ます漢詩を桜の幹を削って記したことが『太平記』に伝わる南北朝時代の武将で、明治から戦前にかけて「忠臣」とされた人物です。

雅邦は、弟子たちに絵を描くのには「心もち」が重要だと常に言っていたのですが、弟子たちはそれをもじって「心もちよりあんころもち」と言っていたそうです。


菱田春草《月四題のうち 春》

続いて、岡倉天心、橋本雅邦らによって設立され、1989(明治22)年に開校した東京美術学校(現:東京藝術大学)で天心や雅邦の指導を受けた菱田春草の作品。

日本画では線描を描くのが伝統的な技法なのですが、線描を描かない「没線描法」を積極的に試みた春草の作品は、輪郭がはっきりしないことから「朦朧体」と揶揄されました。
ところが実際に作品の前に立つと、朦朧とした月の光を背に浮かび上がる山桜の花はほのかに輝いているように見えてきます。

菱田春草《月四題のうち 春》1909-10(明治42-43)年頃
 絹本・墨画淡彩 山種美術館


渡辺省亭《桜に雀》

一時期は全く無名の存在であった伊藤若冲の人気は今ではゆるぎないものになっていますが、次にブレイクする日本画家として河野氏が長沢芦雪、鈴木其一と並んで推しているのが渡辺省亭。
今回展示されているのは桜と雀が描かれたこの作品です。


渡辺省亭《桜に雀》20世紀(明治-大正時代) 絹本・彩色 山種美術館


花鳥画を得意とした省亭の鳥たちはどれもつぶらな瞳をして可愛らしいのですが、ポイントは鳥の黒い目に白い点を入れているところです。省亭の鳥の瞳にぜひご注目いただきたいです。


小林古径《弥勒》《桜花》

岡倉天心が設立した日本美術院を、天心没後に横山大観らが再興した再興院展で活躍した画家の一人が小林古径。
河野氏は、今回展示されている古径作品2点をベストテンにあげています。
その一つが、再興第20回院展出品作で奈良の宇陀にある弥勒磨崖仏を描いた《弥勒》。
墨の線のみで表す描く「白描(はくびょう)」の技法で描かれた磨崖仏に見られる「古径の線の美しさ」(河野氏)がこの作品の大きな見どころです。

もう一点は《桜花》。
山桜の枝先を描いた作品で、中国・宋時代(10~13世紀)の「折枝画」を意識していることがうかがえ、赤い葉には金泥が用いられていて、華やかな雰囲気が感じられる作品です。
ミュージアムショップではこの作品をモチーフにしたおしゃれなクリーニングクロスが発売されいるので、興味のある方はぜひミュージアムショップにもお立ち寄りください。


 小林古径《桜花》1933(昭和8)年頃 絹本・彩色 山種美術館


横山大観《山桜》

横山大観といえば富士山というくらい多くの富士山の作品を残していますが、日本の象徴として「理想化した富士山」を描いたのと同じく、大観は桜の作品も多く描いています。
今回展示されているのは、桜の中でも山桜を好んで描いた作品《山桜》です。

横山大観《山桜》1934(昭和9)年 絹本・彩色 山種美術館

この作品は以前にも見ているのですが、山桜の木よりも今回特に気になったのは、地面の部分の土坡の描き方でした。
今にも倒れそうで不安定な山桜の木に対して、この土坡は一筆書きのようにスーッとさりげなく描いているように見えても、絶妙のバランスで画面全体に安定感を与えているように感じられたのです。


速水御舟《あけぼの・春の宵のうち 春の宵》《夜桜》

俵屋宗達筆の国宝《源氏物語関屋澪標図屛風》(静嘉堂文庫美術館)に描かれた明石の君が乗る舟を見て感動したことから「御舟」を画号にした「天才画家」速水御舟。
その御舟の作品からベストテンに選ばれたのは、《あけぼの・春の宵のうち 春の宵》と、「自然の一部を切り取って、そこに真実、審美を発見する御舟の真骨頂」があると河野氏が推す《夜桜》です。


速水御舟《夜桜》1928(昭和3)年 絹本・彩色 山種美術館




川合玉堂《春風春水》

京都で円山四条派を学び、1895(明治28)年に京都で開催された第四回内国博覧会で見た橋本雅邦の《龍虎図屏風》に感動して、その後上京して雅邦の門人となった川合玉堂からベストテン入りしたのは《春風春水》。

川合玉堂《春風春水》1940(昭和15)年 絹本・彩色 山種美術館


玉堂の作品には、今では見ることができない日本のさりげない田園地帯の風景を描いているのに、なぜか遠い昔に見たことがあるような懐かしさを感じさせてくれる不思議な魅力があります。


奥村土牛《醍醐》《吉野》

今回の特別展のメインビジュアルになっている奥村土牛《醍醐》はもちろんベストテン入りしています。
《醍醐》は、1963(昭和38)年、師・小林古径の7回忌法要が奈良で営まれた帰りに醍醐寺に寄り、このしだれ桜に極美を感じ写生をし、「いつか制作したい」という思いを胸に9年後に再訪して完成させた作品でした。


奥村土牛《醍醐》1972(昭和47)年 紙本・彩色 山種美術館

そしてもう1点は、桜の名所で知られる吉野の風景を描いた《吉野》。
土牛は「何か歴史画を描いて居る思いがした。」との言葉を残していますが、この作品には「後醍醐天皇に導かれた南朝という歴史が表現されている。」と河野氏。
講演会のあとあらためて《吉野》を見て、千本桜の見事な景色だけでなく、新政に失敗して足利尊氏と対立した後醍醐天皇が吉野に南朝を開いた歴史にまで思いをはせるようになりました。


川端龍子《さくら》

日本美術院の同人となったものの、「会場芸術」を提唱して横山大観と対立、日本美術院展を脱退して「青龍社」を設立した川端龍子らしく、桜の花よりも幹の美しさを描いた作品が、この《さくら》。
「いかにも川端龍子!」と河野氏はベストテンにあげています。

川端龍子《さくら》20世紀(昭和時代) 絹本・彩色 山種美術館


戦前は仲たがいした川端龍子と横山大観ですが、戦後は酒を酌み交わして和解した二人の作品が今回の特別展では並んで展示されています。二人がどんな会話をしているのか想像しながら作品を見比べても楽しいかもしれません。


加山又造《夜桜》

京都・西陣の染織図案家の家に生まれた加山又造は、工芸的な性格を強くもっていた日本絵画。
「この作品を近くで見ると、桜の花は筆で描いたのでなく、スタンプのようなもので顔料を押したのではと思えるが、これは染織の技法につながるのでは」と河野氏。

加山又造の《夜桜》をはじめ、今までご紹介した菱田春草《月四題のうち 春》、速水御舟《あけぼの・春の宵のうち 春の宵》、《夜桜》ほか2作品は第2展示室に展示されています。
照明を落とした空間の中で見る夜桜の作品の競演はとても幻想的でした。


寺崎公業《花見》(『文藝倶楽部』木版口絵)

ベストテンの番外として河野氏の推しは、氏と同郷で秋田県出身の日本画家、寺崎公業。
素晴らしい作品を残しているのに評価が低いのは、夏目漱石が文展に出品された大観と公業の作品を相撲の取組みに見立てて、「〇大観×公業●」としてしまったからだ、と河野氏。
「引き分けとすべきだ!」と言っても漱石の影響力の方が強いと嘆かれている河野氏ですが、今回の展覧会を機会にみんなで寺崎公業を盛り上げていきたいです。


展示作品はどれも春の訪れを感じさせてくれるものばかりなので、ベストテンを選ぶのに悩んでしまうかもしれませんが、みなさまもマイ・ベストテンを選びながら美術館で花見をしてみてはいかがでしょうか。
この春おすすめの展覧会です。

2025年3月13日木曜日

大阪市立美術館 リニューアルオープン記念特別展 What’s New! 大阪市立美術館 名品珍品大公開!! 

大阪・天王寺公園内の大阪市立美術館がおよそ2年5ヶ月のリニューアル期間を経て、久しぶりにオープンしました。

大阪市立美術館外観

開館以来初めてとなる大規模改修とのことなので、どのような姿を見せてくれるのかワクワクしていましたが、期待をはるかに超える出来映えでした。
開幕に先立って開催された記者内覧会に参加しましたので、新しくなった美術館と展示の様子をさっそくご紹介したいと思います。

記者内覧会では、今回のリニューアルのコンセプトを同館の内藤栄館長におうかがいしました。

1 ひらかれたミュージアム
2 歴史的建造物としての魅力を引き出す
3 展示物の魅力を引き出す


正面入口から入ってすぐのミュージアムショップ、1階に上がってからのホールとその先にあるカフェ「ENFUSE」、そしてそこから建物の反対側に出て、同館に隣接する日本庭園・慶沢園を臨むテラスまではなんと無料ゾーン。

大阪市立美術館1階ホール

これならミュージアムショップで展覧会グッズを見たり、カフェでドリンクや軽食をとりながら友人たちと気ままにおしゃべりすることだって気軽にできるので、美術館をすごく身近に感じることができます。
展覧会のあとにホッと一息でもいいですし、カフェに来てみたら面白そうな展覧会を開催しているので見てみようという気になることだってあるかもしれません。
  

慶沢園
(※)慶沢園への入園には別に入園料または大阪市立美術館との共通入場券が必要です。


天井が高く外光をとりいれた建物の中は開放的。とてもくつろいだ気分になります。

カフェ「ENFUSE」

大阪市立美術館オリジナルのトートバッグやマグカップ、館蔵作品のアートマグネットにポストカードはじめ、ほしいグッズがいっぱいのミュージアムショップでは、思わず財布のひもがゆるんでしまいそう。

ミュージアムショップ


そして3つめのコンセプトは、「展示物を見た人からため息がでるほど魅力を引き出す展示にする」(内藤館長)こと。

今回のリニューアルオープン記念特別展"What's New"は、館内の全フロアを特別展会場として、「日本・東洋美術の宝石箱」大阪市立美術館が所蔵する日本・東洋美術を中心とした約8700件のうち、絵画や書蹟、彫刻、工芸など、分野ごとに重要文化財を含む選りすぐりの作品約250件超を一堂に展示する、とてもゴージャスな内容の展覧会です。
ぜひとも会場に足を運んでいただいて、新しい大阪市立美術館の魅力を感じ取っていただきたいと思います。


展覧会開催概要


会 期  2025年3月1日(土)~3月30日(日)
 ※会期中一部展示替えがあります。  
開館時間 9:30~17:00(入館は16:30まで)
休館日  月曜日
※展覧会の詳細、チケット購入方法。各イベント等は同館公式サイトをご覧ください⇒大阪市立美術館

※展示作品はすべて大阪市立美術館の館蔵品です。
※展示会場内は全作品撮影可ですが、著作権保護期間作品は撮影写真の利用制限があるので、館内の注意事項をご確認ください。


展示構成
 1F展示室
  第1会場 近世の風俗画、金工品にみる表情、知られざる考古コレクション
       仏教絵画と経典
  第2会場 中国の仏像、中国の仏像のお顔、祝杯!華やかな酒器たち
       竣工記念の石刻
 2F展示室
  第3会場 中国書画、おもてなしのうつわ、近世の動物画
  第4会場 住友コレクション、富本憲吉と人間国宝 暮らしを彩る近現代のうつわ
       大阪の洋画、広報大使就任記念


展示会場に入ってすぐに感じたのは、展示ケースのガラスの存在に気がつかないほどのガラスの透明感と、色彩が鮮やかに映える照明でした。

「近世の風俗画」展示風景


「ガラスにぶつからないようご注意ください」と呼びかけているのは、このたび大阪市立美術館の広報大使に就任した《青銅鍍金銀 羽人》のキャラクターです。



浮世絵肉筆画の美人画もより一層輝いて見えます。


「近世の風俗画」展示風景

今年(2025年)のNHK大河ドラマで話題の名版元・蔦屋重三郎とタッグを組んだ謎多き絵師・東洲斎写楽の作品《三代目市川八百蔵の田辺文蔵》にも注目です。

東洲斎写楽《三代目市川八百蔵の田辺文蔵》江戸時代・寛政6年(1794)
大阪市立美術館(植田喜久子氏寄贈)


露出展示もありました!
「金工品にみる表情」では、中国・日本の紀元前から近代までバラエティ豊かな作品が並んで展示されているので、年代による違いなどを興味深く見ることができます。

「金工品にみる表情」展示風景

上の写真右手前は《青銅 鼓》。
四つ足で懸命に踏ん張る謎の動物たちに、思わず「がんばれ!」と声をかけたくなりました。

《青銅 鼓》中国・漢時代・前3-後3世紀 
大阪市立美術館(山口コレクション)


曼荼羅のように細かく描かれた仏画は単眼鏡でじっくり見たいところですが、仏教絵画のエリアでは単眼鏡がなくても細部までよく見ることができます。

「仏教絵画・経典」展示風景

それには秘密がありました。
一部の壁面ケースの背面の壁は可動式なので、ガラスの近くまでせり出してくる仕掛けになっているのです。

次はどんな展示があるのだろうと期待しながら先に進むと、クラシカルな内装の通路の先に仏頭が見えてきました。このように期待をもたせてくれる演出も心憎いです。

「中国の仏像のお顔」展示風景


東洋紡績株式会社の社長を務めた阿部房次郎氏(1868-1937)が蒐集した中国書画の「阿部コレクション」を所蔵する大阪市立美術館のすごさは、2018年に同館で開催された特集展示「生誕150周年記念 阿部房次郎と中国書画」で初めて実感しました。
中国書画の大ファンの筆者としては、「阿部コレクション」に再会できるのを特に楽しみにしていました。

「中国書画」展示風景

ところが同館の中国書画は「阿部コレクション」だけでなく、ほかにも隠れた名品があったのです。
    
「中国書画」展示風景

上の写真中央の中国清時代の文人画家、謝時臣(款)《巫峡雲濤図》《湖堤春暁図》は、本紙だけで約3.5mもあって、今回の改修で高さ5mの特大展示ケースができたので初めて展示できるようになった作品だったのです。

雄大な景観をぜひ見上げてみてください。

謝時臣(款) 左:《巫峡雲濤図》右:《湖堤春暁図》
中国・清時代 大阪市立美術館 

今回の特別展では、日本や中国をはじめ古今東西の作品がそろう大阪市立美術館所蔵の陶磁器コレクションのなかでも日本陶磁の二枚看板、平成23年(2011)に受贈した鍋島焼118件からなる「田原コレクション」と、富本憲吉作品100件からなる「辻本コレクション」のどちらも見ることができるのがうれしいです。

《青磁染付 青海波宝尽文皿》 鍋島焼
江戸時代・18世紀 大阪市立美術館(田原コレクション)  

陶磁器の展示を見るたびに、地震が来たらどうなるのだろうか、と心配してしまいますが、今回の改修工事で、免振展示ケースを3カ所したとのことですので、これからは安心して陶磁器作品を見ることができます。


太平洋戦争の雲行きがあやしくなってきた昭和18年(1943)、大阪市立美術館の所蔵品の充実を図るために住友家からの支援を受けて開催された「関西邦画展覧会」に出品された関西日本画壇の重鎮20人の新作「住友コレクション」の日本画も大きな見どころのひとつです。

「住友コレクション」展示風景


同年4月18日、ソロモン諸島ブーゲンビル島上空で米軍戦闘機に撃墜されて戦死し、のち元帥に任じられた山本五十六連合艦隊司令長官の肖像画も展示されています。
アメリカ駐在の経験があり、アメリカのこわさを誰よりも知り、負けるとわかっていながらもアメリカと戦わなくてはならなかった山本長官の複雑な心境を思うと胸が締め付けられる思いになります。

中村大三郎《山本元帥像》昭和18年(1943)
大阪市立美術館(住友コレクション)

大阪や関西にゆかりのある洋画家たちのコレクションも、大阪市立美術館ならでは。

「大阪の洋画」展示風景

そして、ラストには真打登場!
大阪市立美術館の広報大使に就任した《青銅鍍金銀 羽人》です。
よくよく見てみると、「みなさん、いらっしゃい!」と言って手を広げているように見えて、とても愛らしい姿をしています。



《青銅鍍金銀 羽人》中国・後漢時代・1-2世紀
大阪市立美術館(山口コレクション)

なんと、壁面には《青銅鍍金銀 羽人》の履歴書まで展示されていました!



リニューアルオープン記念特別展のタイトル"What's New"とは、直訳すると「何か新しいことは?」という意味ですが、ほかにも、「お変わりありませんか」という久しぶりに会った相手へのあいさつや、「最新情報」「新着情報」といった意味もあります。
そして、サブタイトルは「大阪市立美術館 名品珍品大公開!!」。
キャプションには、学芸員さんが選んだ名品や珍品のスタンプありますが、みなさまも会場でご自身の名品、珍品を探してみてはいかがでしょうか。


大阪市立美術館の魅力がたっぷり詰まった展覧会です。
会期は3月30日(日)までなので、すぐに終わってしまいます。ぜひお早めにご覧ください!

2025年2月27日木曜日

根津美術館 特別展「武家の正統 片桐石州の茶」

東京・南青山の根津美術館では特別展「武家の正統 片桐石州の茶」が開催されています。

展覧会チラシ

今回の特別展は、小堀遠州(1579-1647)や古田織部(1544-1615)のような武将茶人のビッグネームほどは知られていなくても、江戸時代の茶道史上に極めて重要な位置を占めた片桐石州(1605-73)に焦点を当てた展覧会です。
茶の湯の展覧会はこれまで各地の博物館・美術館で開催されていますが、独自の石州流の茶道を開いた片桐石州の名を冠した展覧会は、根津美術館での今回の特別展が初めて。
没後350年を経て顕彰するこの機会に、石州と石州流の茶の湯の魅力をぜひともお楽しみいただきたいです。

それではさっそく展覧会の様子をご紹介したいと思います。


展覧会開催概要


開催期間  2025年2月22日(土)~3月30日(日)
     (会期中、前期(2/22-3/9)と後期(3/11-3/30)で一部作品の展示替え、頁替え等  
      があります。文中、記載のない作品は通期展示です。)
開催時間  午前10時から午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日   毎週月曜日、ただし2月24日(月・振替休)は開館し、翌25日(火)は休館
入館料   オンライン日時指定予約
      一般 1500円、学生 1200円
      *当日券(一般1600円、学生 1300円)も販売しています。同館受付でお尋ね
                    ください。
      *障害者手帳提示者および同伴者は200円引き、中学生以下は無料
展覧会の詳細、オンライン日時指定予約、スライドレクチャー等の情報は同館公式サイトをご覧ください⇒根津美術館          

*展示室内及びミュージアムショップは撮影禁止です。掲載した写真は記者内覧会で美術館より特別に許可を得て撮影したものです。

展示構成
 1 茶人・片桐石州
 2 石州をめぐる人々
 3 石州の茶の湯
 4 石州の茶の広がり


1 茶人・片桐石州


展示室に入ってすぐにお出迎えしてくれるのは、従五位下石見守に叙任された石州が礼装である束帯を身に着けた姿で描かれた「片桐石州像」。
石州にゆかりの深い大徳寺芳春院の11世・真巌宗乗(1721-1801)が、石州の百回忌のために描かせたものです。
石州は石見守なので「石州」と呼ばれ、大和国(現・奈良県)小泉藩第2代藩主でした。わずか1万3千石の小国ながらも、れっきとした大名だったのです。

片桐石州像 洞月筆 真巌宗乗賛 日本・江戸時代 明和4年(1767)
芳春院蔵 前期展示(2/22-3/9)
後期(3/11-3/30)には、「片桐石州像 原在中筆 宙宝宗宇賛 
日本・江戸時代 文化9年(1812) 芳春院蔵」が展示されます。 


石州の茶の湯の師は、戦国武将・桑山重晴の三男・宗仙(1560-1632)で、石州とは江戸屋敷も国許も近かったというご縁もありました。
宗仙は千利休の長男・千道安の弟子で、利休流の侘茶を継承した茶人でした。


2 石州をめぐる人々


石州は、寛永10年(1633)、29歳のとき、徳川家の菩提所、京都・知恩院再建の作事奉行を任じられ、以降、落成までの約8年間、京都に滞在しました。それが、大徳寺芳春院の開祖・玉室宗珀、小堀遠州、千利休の孫・元伯宗旦、大徳寺高林庵・慈光院の開祖・玉舟宗璠といった上方の文化の担い手たちとの交流を行う機会になったのです。

玉室宗珀は石州の参禅の師で、石州は芳春院の隣に片桐家の菩提寺・高林庵を建立し、玉室の法嗣(師から仏法の奥義を伝えられた弟子)・玉舟宗璠を開山に迎えました。
今回の特別展では、石州から高林院に譲られた釜が展示されています(現在は芳春院が所蔵、下の写真中央)。


「2 石州をめぐる人々」展示風景
手前が 重要美術品 闘鶏図真形釜 日本・室町~桃山時代
16世紀 芳春院蔵

ほかにも石州が国許の小泉の屋敷に遠州風の茶室をしつらえたほど憧れていた大名茶人・小堀遠州に茶入について意見を求めたことがうかがえる遠州の書状も展示されています。
石州が取り上げた茶入について、遠州は、蓋はよく合わせられ、仕覆はことのほか見事な裂である、と誉めているので、石州の喜ぶ姿が目に浮かんでくるようです。
筆者のような素人ではくずし字は読めないので、パネルで原文が表示されているのがうれしいです。

書状 片石州宛 小堀遠州筆 日本・江戸時代 17世紀
大和文華館




3 石州の茶の湯


今回の特別展の大きな見どころの一つが、現在ではそれぞれ所蔵元が異なる石州愛蔵の3つの瀬戸茶入(※)が揃って展示されていることです。
(※)下の写真右から茶入及びその付属品
 尻膨茶入 銘 夜舟 日本・桃山~江戸時代 16~17世紀 根津美術館
 肩衝茶入 銘 奈良 日本・江戸時代 17世紀 個人蔵
 肩衝茶入 銘 八重垣 日本・江戸時代 17世紀 愛知県美術館(木村定三コレクション)  
 

「3 石州の茶の湯」展示風景

およそ200回の記録が残されている石州の茶会の中でも注目は、江戸の上屋敷で行われた連会で、道具はほぼ固定して、客組を変えて多数の客を招いて開かれました。
客の中心は、大老、老中を筆頭とした大名から旗本、大徳寺の僧侶など幕府の関係者が多くを占めたのが特徴で、「夜舟」「奈良」「八重垣」は連会でも用いられたため、この3つの茶入は石州の茶会での使用回数の7割を占めていました。

茶道具の展覧会では、茶入だけが単独で展示されるることが多いのですが、石州愛蔵の3つの瀬戸茶入は、茶入を覆う仕覆(しふく)、象牙の牙蓋(げぶた)、内箱、外箱などが並んで展示されているので、仕覆の裂の文様や、牙蓋の形の違いなども楽しむことができます。

ここで注目したいのは、「尻膨茶入 銘 夜舟」の牙蓋。
下の写真、右の牙蓋の下の木型には「小遠」と書かれていますが、これは小堀遠州のことで、武家茶人の大先輩・遠州に対する石州の憧れの強さをここでも見ることができます。
 
「尻膨茶入 銘 夜舟」の付属品


石州一世一代の晴れ舞台は、寛文5年(1665)11月8日、江戸城の黒書院で四代将軍徳川家綱に献茶をしたことでした。
その際、道具は将軍家の名物茶道具「柳営御物」の中から選ぶことを許され、これによって石州の評価が定まり、武家茶道における地位を確立したのです。
今回の特別展では、家綱への献茶の時に床の間に掛けられた掛軸と、献茶に用いられた茶入が展示されています。
掛軸の前に畳がしつらえられていて、当時の様子がしのばれます。将軍様を前に石州はどれだけ緊張したことでしょうか。その時の石州の姿を思い浮かべると、手に汗を握って応援したくなる気持ちになりました。

右 重要文化財 無準師範墨蹟 帰雲 中国・南宋時代 13世紀 MOA美術館
左 唐物肩衝茶入 銘 師匠坊 中国・南宋時代 12~13世紀 出光美術館



4 石州の茶の広がり



江戸幕府に認められた石州の茶の湯は、幕末に至るまで全国で細かく分派して広まり、石州流は、徳川政権下の「武家の正統」になったと言えます。
ここでは石州流の書や、江戸後期の大名茶人として知られる松平不昧はじめ石州流の茶を学んだ茶人たちゆかりの茶道具などが展示されています。

「4 石州の茶の広がり」展示風景

井伊直弼が、自身の一派の創立を宣言し、それが名門石州流に連なることを述べている文書も展示されています。
意外と言っては失礼ですが、日米修好通商条約を締結して開国を断行し、筆者にとっては地元・横浜発展の基礎を築いてくれた功労者というイメージが強い井伊直弼が、茶の湯に深く傾倒していたことは初めて知りました。

重要文化財 入門記 井伊直弼筆 日本・江戸時代 弘化2年(1845)
彦根城博物館 前期展示(2/22-3/9)
後期(3/11-3/30)には、「重要文化財 茶湯尋書 井伊直弼・片桐宗猿筆
日本・江戸時代 嘉永2年(1849) 彦根城博物館」が展示されます。


同時開催


展示室5 百椿図ー江戸時代の椿園芸ー


毎年恒例となった「百椿図」が今年も展示されています。

百椿図(部分) 伝 狩野山楽筆 日本・江戸時代 17世紀
茂木克己氏寄贈 根津美術館 



江戸初期の椿ブームを背景に制作された「百椿図」が、今回は、公家日記や園芸書にうかがわれる椿園芸の様子や、明治~昭和時代の陶芸家・板谷波山の「彩磁椿文香炉」とともに展示されています。

彩磁椿文香炉 板谷波山作 日本・大正時代 20世紀
三嶋英子氏寄贈 根津美術館


展示室6 春情の茶の湯


展示室6では、春らしく、草木が芽吹くこの季節にちなんだ華やかな雰囲気の茶の湯の一席が楽しめます。

展示室6 展示風景

中でもおすすめは、「彫三島茶碗 銘 九重」。
「彫三島」とは、檜垣上の線刻を彫り、そこに白土を施して文様をあらわしたもので、この茶碗のように印花で花文が散らされているタイプは、特に春に好まれています。
花の文様や表面の凹凸をぜひ近くでご覧いただきたいです。

彫三島茶碗 銘 九重 朝鮮半島・朝鮮時代 16世紀
根津美術館    



ミュージアムショップ 新商品のご案内



暗がりの中から石州愛用の茶入や、石州自作の茶杓が浮かび上がってくる表紙のデザインがかっこいい特別展図録は、展示作品のカラー図版はもちろん、片桐石州や石州流に関する文献資料などを掲載しているので永久保存版です。
茶会の参加者を、経済学で所得や資産の分配を分析するときに用いられるジニ係数やパレート数で分析する論文は初めて見ました!


特別展図録「武家の正統 片桐石州の茶」(税込2,500円)



根津美術館が所蔵する重要文化財「肩衝茶入 銘 松屋」の仕覆に使われている「龍三爪緞子」を忠実に復元した裂地を用いた珠光緞子(しゅこうどんす)のシリーズに、新たに3つの新商品が加わりました。

 カード入れ  税込10,000円
 ポーチ    税込16,000円
 PCケース    税込25,000円

現代によみがえった珠光緞子を毎日の暮らしの中でお楽しみいただくことができます。

ミュージアムショップ


今回の特別展は、これまで注目されることが少なかった石州と石州流の茶の湯の世界が見られる貴重な機会です。
この春おすすめの展覧会です。