2018年11月12日月曜日

ドイツ・ヘッセン州連立交渉の行方

10月28日に行われたヘッセン州議会選挙では、連邦レベルで連立を組むCDUとSPDが大きく票を失う一方、緑の党が躍進し、AfDが初めて議席を獲得した。

  ヘッセン州議会選挙結果(2018年10月28日実施)
政 党
議 席 数
得 票 率
CDU
40(7)
27.0%(11.3%)
緑の党
29(+15)
19.8%(+8.7%)
SPD
29(8)
19.8%(10.9%)
AfD
19(+19)
13.1%(+13.1%)
FDP
11(+5)
7.5%(+2.5%)
左派党
9(+3)
6.3%(+1.1%)
合 計
137議席(過半数69議席)
          カッコ内は前回(2013)選挙結果からの増減   得票率は第二投票(比例分)の得票率

超過議席の調整があったので全体の議席数は前回選挙の110から137に増え、過半数は69議席。現在連立を組んでいるCDUと緑の党の議席を合わせるとちょうど過半数の69議席になるが、引き続き黒緑内閣連立(CDUと緑の党のそれぞれのシンボルカラーは黒と緑) で行くのかと思うのが順当なところだが、話はそうは簡単には行かない。

SPD、緑の党、FDPの信号連立(それぞれの党のシンボルカラーは、赤、緑、黄)の可能性も浮上してきたからである。(この三党の議席数の合計も69になる)

そして、話はさらにややこしくなる。

SPDと緑の党は議席数では同数だが、第二投票(比例分)の得票数では緑の党が570,260票、SPDが570,166票で、わずか94票だけ緑の党が上回っているので、仮にFDPを加えた三党が連立交渉を行う場合、緑の党が主導権を握る、つまり首相ポストを得ることになるが、FDPは緑の党の首相なら連立は組まないと言っている。

そんな状況の中、出てきたのがフランクフルト市内の28の投票所で投票数の集計漏れが判明したというニュース。
同市の選挙局は集計漏れした票数は公表していないが、地元のフランクフルター・アルゲマイネ紙(FAZ)は少なくとも2000票と見積もっている。
 仮に2000票であれば、議席数に影響はしないかもしれないが、第二投票の得票率でSPDが94票差を覆す可能性があり、そうなればれ信号連立はSPD主導、つまり州首相はSPDになるので、FDPは信号連立に前向きになる。

もし三党が合意して、SPD主導の信号連立が成立すれば、得票率20%を切って大敗を喫したにもかかわらず、SPDの首相が誕生するという「サプライズ」が生じることになる。

ヘッセン州の選挙局が精査後の確定した選挙結果を公表するのはドイツの現地時間で11月16日(金)。
日本時間で11月17日(土)のドイツのニュースが見逃せない。