その大乗寺にニコニコ美術館のカメラが入って、円山応挙とその一門が描いた大乗寺客殿の障壁画を徹底解説するという番組が、9月22日(火・祝)午後3時から生中継されます。
放送日 9月22日(火・祝)午後3時から
番組タイトル 「大乗寺・円山応挙一門の障壁画165面と立体曼荼羅を巡ろう」
https://live2.nicovideo.jp/watch/lv327742144
解説は、ライターで永青文庫副館長の橋本麻里さん。大乗寺副住職の山岨眞應さんと共に大乗寺の魅力をお伝えするという、とても楽しみな企画です。
私が大乗寺を訪れたのは、今から13年前、2007年の秋のことでした。
応挙と弟子たちの障壁画が、保存のためゆくゆくは収蔵庫に移管されて、客殿のものはレプリカに置き換わるというニュースを聞いて、本物の障壁画が客殿にあるうちに見ようということで、あわてて行ってきたです。
客殿の入り口には円山応挙師匠の像がお出迎えしてくれます。
大乗寺の最寄り駅は、JR京都駅からでも山陰線の特急と普通を乗り継いて3時間以上かかる香住駅。そこからタクシーで5分ほどなので、応挙師匠は「遠いところよく来たな。」とねぎらってくれているように見えました。
大乗寺の公式HPはこちらです⇒http://www.daijyoji.or.jp/
客殿に上がって実際にその場で障壁画を見た時の印象はとても強いものがありました。
200年以上も前に描かれたにもかかわらず、ものすごくきれいに色が残ってていることや、「郭子儀図」に描かれた唐子が、違った位置から見てもこちらを向いているように見えたことなどは今でもはっきりと覚えています。
※ 郭子儀(697-781)は、中国・唐中期の安史の乱の鎮圧に功績があった武将ですが、長
寿で子や孫に恵まれたことから、おめでたい画題として江戸時代の絵師たちに好まれて
描かれました。この「郭子儀図」にも楽しそうに遊ぶ唐子たちが描かれています。
寿で子や孫に恵まれたことから、おめでたい画題として江戸時代の絵師たちに好まれて
描かれました。この「郭子儀図」にも楽しそうに遊ぶ唐子たちが描かれています。
とても印象が強かった大乗寺客殿の障壁画ですが、10年以上も月日がたつと、その印象もだんだんと薄れてきてしまうものです。
そんな時、うれしいことに大乗寺の障壁画の方が東京に来てくれました。
昨年(2019年)夏に東京上野公園の東京藝術大学大学博物館で開催された「円山応挙から近代京都画壇へ」展で、大乗寺の障壁画のうち円山応挙「松に孔雀図」はじめ弟子たちの襖絵が展示されたのです。
みなさんはこの展覧会には行かれましたでしょうか。
私は現地に行った時の記憶をよみがえらせたくなったので見に行ってきました。(展覧会は、その後、京都国立近代美術館に巡回。)
東京藝術大学構内の展覧会の看板 |
それから1年、今回はコロナ禍で国内の移動もためらってしまうような状況の中、その大乗寺の障壁画をオンラインで見ることができるのですから、こんなうれしいことはありません。
さて、それではニコニコ美術館「大乗寺」特集の注目の3つの見どころをご紹介していきましょう。
注目ポイント1 13名の絵師による全165面の傑作襖絵を動画中継で!
客殿をめぐりながら応挙たちが描いた襖絵を生中継するので、副住職の山岨眞應さんと橋本麻里さんの詳細な解説を聴きながら、まるでその場にいるような気分で襖絵を見ることができます。
さらに、保存のため収蔵庫に保管されている襖絵も特別に紹介されます。
注目ポイント2 十一面観音を中心に応挙が構想した「立体曼荼羅」を徹底解説!
大乗寺の客殿は、中央の仏間の持仏、十一面観音を中心として四方を四天王が守護するという密教的な意味をもった立体曼荼羅になっています。
なぜ、中央の仏間の前の間には孔雀が描かれているのか。
ぜひ解説を聞いていただきたいです。
注目ポイント3 応挙の光のマジックをご紹介!
昨年、東京藝術大学と京都国立近代美術館で開催された「円山応挙から近代京都画壇へ」展に行かれた方は、「松に孔雀図」をご覧になって、金箔貼りの襖に墨で描かれているのに、光の当たり具合によって松の枝は茶色、松葉は緑色、孔雀の羽根は茶色に見えてくるという体験をされたかもしれません。
今回は、「孔雀の間」に座っているような感覚で応挙が仕掛けた光のマジックを体験することができるのです。
美術作品は、現地に行ってその場で本物を見るというのが一番なのでしょうが、さまざなま制約で難しくなっている今日、こうしてバーチャルで見られるというのは幸せなことで、「コロナ後」の美術鑑賞の新しい形なのかもしれません。
ニコニコ美術館の「大乗寺」特集、お見逃しなく!