2020年12月12日土曜日

山種美術館 【特別展】東山魁夷と四季の日本画

街じゅうイルミネーションで輝いて、気分はすっかりクリスマス。
そんな華やいだ季節にふさわしく、美しい日本の四季をめぐる展覧会が東京・広尾の山種美術館で開催されています。


展覧会チラシ


さて、みなさんは東山魁夷というと、どういった作品を思い浮かべるでしょうか。
幻想的な森の風景でしょうか、京都の景色でしょうか、雄大な海の景色でしょうか。

どれも見る人の心の中にスーッと入ってくる作品ばかりなのですが、今回の特別展は、森も、京都も、海も見ることができる、とてもうれしい展覧会なのです。

展覧会概要


会 期  2020年11月21日(土)~2021年1月24日(日)
開館時間 平日   10時から16時
     土日祝日 10時から17時
     ※入館はいずれも閉館時間の30分前まで
休館日  月曜日(ただし、1/4(月)、1/11(月)は開館、1/12(火)は休館)
     12/28~1/2は年末年始休館
入館料  一般 1300円ほか
※入館日時のオンライン予約ができます。また、当日、美術館受付でのチケット購入も可能です。
展覧会詳細、入館日時のオンライン予約、感染症対策等については同館公式HPをご覧ください⇒https://www.yamatane-museum.jp/

※展示室内は撮影禁止です。掲載した写真は内覧会で美術館より特別の許可をいただいて撮影したものです。
※掲載した写真はすべて山種美術館所蔵作品です。

展示は3章構成になっています。
 第1章 日本の四季を描いた系譜
 第2章 皇居新宮殿ゆかりの絵画
 第3章 風景画に見る日本の四季

幻想的な森の景色に魅了される


展示室に入ってすぐにお出迎えしてくれるのは、東山魁夷《月出づ》
手前の山には白樺の森、後ろの緑をたたえる山からは朧月が顔を出して春の訪れを知らているかのよう。まずは幻想的な森の絵で雰囲気を盛り上げてくれます。


第1展示室展示風景
手前が東山魁夷《月出づ》(1965(昭和40)年)


「東山魁夷ならやっぱり冬の山!」という方(私もですが)、お望みの作品があります。

東山魁夷《白い嶺》(1964(昭和39)年)

魁夷は、《白い嶺》を描いた2年前の1962(昭和37)年4月から7月にかけて北欧四か国を旅行して多くのスケッチを残しました。
北欧とはいえ、この時期に森はこれだけの雪は被っていなかったかもしれませんが、ピンッと緊張した北欧の森の空気が伝わってくるような、とても神秘的な作品です。


京都の四季が味わえる


展示室入口のパネル
「京洛四季」の作品がデザインされています。

今回は約4年ぶりに一挙展示される東山魁夷の連作「京洛四季」4点を楽しむことができます。その上、なんとそれぞれの作品をイメージしたオリジナル和菓子を実際に味わうこともできるのです!
抹茶とのセットが1,200円、1階cafe椿でぜひご賞味ください。
※和菓子のテイクアウト2個から承ります。1個 650円 ※いずれも税込価格

下の写真上から時計回りに、「除夜の鐘」《年暮る》、「峰の桜」《春静》、「今ひとたびの」《秋彩》、「ときわ木」《緑潤う》、以上が「京洛四季」の連作から、そして最後が「波しぶき」《満ち来る潮》。
※《》内はイメージした東山魁夷の作品で、すべて山種美術館蔵です。





「京洛四季」のオリジナルグッズも充実!

「京洛四季」の絵はがきは1枚110円。4枚そろえて記念にぜひ!
ほかにも《年暮る》のおしゃれなブックカバーしおりセット418円、《秋彩》の一筆箋418円など豪華ラインナップ。
※いずれも税込価格 




雄大な海を見て大きな気分


東山魁夷《満ち来る潮》(1970(昭和45)年)


横幅が9mもある迫力の大画面。
波が岩にぶつかる激しい音、ゴーゴーと吹く風の音、潮気を含んだ磯の香り。
右に左に角度を変えて見ると、金やプラチナの箔や砂子がキラキラ輝いて見えます。
 
この作品は、1968(昭和43)年、東山魁夷が皇居新宮殿の壁画《朝明けの潮》を完成させたとき、山種美術館の創設者で初代館長の山﨑種二氏から、その壁画を偲ぶことができる作品を描いてほしいと依頼されて制作したもので、魁夷は、皇居新宮殿の壁画を描くため、1年かけて全国の海岸を巡ってスケッチをしたとのこと。

まるでその場にいるような臨場感が味わえます。

東山魁夷の作品は、波、岩、海のスケッチ3点、《満ち来る潮》の小下図1点を含む全部で13点が展示されています。

東山魁夷をめぐる日本画家たち


今回の展覧会のもう一つの見どころは、近代から現代の日本画家たちが描いた四季の風景。

東山魁夷の東京美術学校(現 東京藝術大学)時代の師で、写実を重んじ、自然を写生することを魁夷に説いた結城素明の《春山晴靄・夏渓欲雨・秋嶺帰雲・冬海雪霽》。
日本の豊かな自然の風景に心が和みます。

結城素明《春山晴靄・夏渓欲雨・秋嶺帰雲・冬海雪霽》(1940(昭和15)年)


もう一人の師は川合玉堂

川合玉堂《雪志末久湖畔》(1942(昭和17)年)


山種美術館の次回展、【開館55周年記念特別展】「川合玉堂-山﨑種二が愛した日本画の巨匠-」(2021年2月6日~4月4日)も楽しみなのですが、一足早く玉堂の作品を見ることができました。
雪の部分は絹地の白を残して、墨の濃淡で雪国の景色を描いたこの作品は、玉堂作品の中でも特に好きな作品なのです。

そして、東京美術学校の大先輩で、岡倉天心や横山大観らとともに近代日本画をけん引した
菱田春草の《月四題》にもまた巡り合えました。
満月の月明かりの中に浮かぶ、墨の濃淡で描かれた季節の草木。
満年齢37歳を目前に若くして亡くなった天才画家・春草が、病魔に侵されながらも描いた晩年の名作です。

菱田春草《月四題》(1909-1910(明治42-43)年頃)


第2展示室には現役の千住博《四季》。
解説パネルにある千住博氏のことばが印象的でした。
「僕自身、日本画といえば東山魁夷だったんですよ。(略)日本画に描かれる風景というのは、見ていて心が落ち着いてくるような、こういうしっとりしたものなのだ(略)」

千住博《四季》1989(平成元)年

まだまだ紹介したい作品はたくさんあるのですが、最後にご紹介するのは東京美術学校で東山魁夷の同期生、加藤栄三の見上げるほど大きな画面の作品《流離の灯》。
華やかさとはかなさが交差した色とりどりの輪を見上げていると、おなかに響くドーンという音や、花火が開くバチバチという音まで聞こえてきそうです。

日本の夏の風物詩といえば花火大会ですが、コロナ禍で軒並み中止になるご時世。
ぜひ日本画の世界で花火大会をお楽しみください。


加藤栄三《流離の灯》1971(昭和46)年


コロナ禍で海外どころか、国内も安心して旅行ができない今。
今回の特別展は、東山魁夷や近現代の日本画家たちともに四季の旅ができる展覧会です。

年末は12月27日(日)まで、年始は1月3日(日)から開館しています。
日時指定のオンライン予約ができますので、密を避けてぜひお楽しみください。


山種美術館で初もうで


年内は忙しくて来られないという方、年始がチャンスです。
1月3日(日)午前10時から、ミュージアムショップの人気アイテムが数多く入った福袋が販売されます。
お値段は6,000円相当のグッズが入って2,500円(税込)!
販売場所は山種美術館地下1階ミュージアムショップ
限定50個、お一人様1個まで、なくなり次第終了です。
新しい年に山種美術館で福をつかんでみませんか。



さらにお得なお正月限定サービスのご案内!

★ 1月3日限定 プチギフト配布 ※先着100名様
★ Cafe椿にてお正月限定和菓子をご提供(1月7日まで実施)

※いずれも、無くなり次第終了となります。