東京・新宿のSOMPO美術館では「FACE展2022」が開催されています。
今回で10回目を迎えた「FACE展2022」は、新館移転後2回目の開催。
会場には、1142点の出品作品の中から審査員の審査によって選ばれた入選作83点が展示されていて、「年齢・所属を問わず、真に力がある作品」を公募する展覧会なので、年齢層も幅広く、写実的な作品も、抽象画もあって、技法や素材も、油彩、水彩、岩絵具、アクリル、さらにはアルミ箔やマスキングテープまであって、多士済々、多種多様。
ジャンルにとらわれないバリエーションに富んだ作品が見られる楽しみがありますし、会期中、観覧者投票による「オーディエンス賞」の選出が行われるので、自分の「お気に入りの1点」を探しながら展示作品を見ることができるのもFACE展の大きな楽しみの一つです。
展覧会概要
会 期 2022年2月19日(土)~3月13日(日)
休館日 月曜日
開館時間 午前10時~午後6時(最終入館は午後5時30分まで)
観覧料 700円(高校生以下無料)
展覧会の詳細は同館公式サイトをご覧ください⇒https://www.sompo-museum.org/
※本展覧会は展示室内での作品撮影が可能です。
展示会場は5階から、4階、3階と回っていきます。
5階の展示室に入って正面に展示されているのは、今回のメインビジュアルになっているグランプリ受賞作、新藤杏子《Farewell》。入選作83点の頂点に立つ作品です。
(ほかに優秀賞3点、読売新聞社賞1点、審査員特別賞4点が選出されています。)
※無料音声ガイドはArtstickerアプリをスマートフォンにダウンロードして利用するので、スマートフォンとイヤホンをご用意ください。
展示室内を順不同にご紹介していきますが、冒頭でふれたとおり、展示室内は一つのジャンルにとらわれない力作の数々でいっぱい。
同じ傾向の作品がまとまって展示されているわけではないでしょうが、メルヘンチックな作品があったり、
画面いっぱいにいろいろなものが描き込まれている作品があったり、
本物の質感そのままのパンや、モノクロ写真と見紛うばかりの写実的な作品があったりして、まさに多種多様。
展示風景 |
「名作」と評価の定まった作品なら、自分もそれを見たら名作と思わなくては、といったプレッシャーがありますが、「自分がいいと思った作品が名作だ。」と純粋にアートを楽める気楽さがあるところがこの展覧会の良さなのです。
ある作品の前で足が止まりました。
優秀賞 大山智子《AMAKUSA》 |
写実的でなく、そしてあまりに抽象的でない、ちょうどいいくらい抽象化された天草五橋の様子を俯瞰的に描いた作品です。
優秀賞を受賞していますが、私が審査員だとしてもこの作品を推すだろうと思いました。
(この展覧会では自分が審査員になったつもりで作品を見ることだってできるのです!)
こちらは、一面赤い布で覆われたかのように見える作品(下の写真左)。
左 山中眞理《RED(赤べこ考-Ⅰ)》 右 吉川智章《塗装工-労働と生産における自由意思》 |
近くで見てもまるで染織が貼られているようなのですが、実はキャンパスに油彩で描いたものなのです。制作は根気との勝負だったのではないでしょうか。
上の写真右は升目で区切られた中に異なる色彩が塗られている作品ですが、黄色い升目は実はマスキングテープ。
マスキングテープは、色が塗られないように貼って、あとではがすものなのですが、この作品でははがさないで枠としてそのまま残しているのです。
きっと作品のタイトルと関係があるのでしょう。
作品はまだまだ続きますが、ここで私の「お気に入りの1点」をご紹介したいと思います。
5階から3階まで会場内を何回も回って悩みましたが、それはアルミ箔がいい具合に光っていて、どことなく神秘的な雰囲気が感じられるこの作品です。
3階展示室の後半には、SOMPO美術館の華ともいうべきファン・ゴッホの《ひまわり》はじめ同館コレクションの代表的な作品が展示されています。
同館コレクションの中心となっている東郷青児作品。
上の写真一番左の《超現実派の散歩》はSOMPO美術館のロゴになっている作品です。