大阪中之島美術館では、開館一周年記念にふさわしい特別展「大阪の日本画」が開催されています。
展覧会チラシ |
今回の展覧会は明治から昭和に至る近代大阪の日本画に光を当てて、前期後期で60名を超える画家による約150点の作品が展示される超豪華な展覧会。
キャッチコピーは、初めてにして決定版、浪華の名画大集結。
横山大観らをはじめとした東京画壇、竹内栖鳳を中心とした京都画壇とは異なる大阪ならではの近代日本画がこれだけ勢ぞろいするのは史上初、そしてまさに決定版ともいえる充実の内容です。
展覧会開催概要
会 期 2023年1月21日(土)~4月2日(日)
前期:1/21-2/26 後期:2/28-4/2
月曜日(3/20を除く)休館
開場時間 10:00-17:00(入場は16:30まで)
会 場 大阪中之島美術館 4階展示室
観覧料 一般 1700円 高大生 1000円 小中学生 無料
展覧会の詳細等は同館公式サイトをご覧ください⇒大阪中之島美術館
巡回展情報 2023年4月15日(土)~6月11日(日) 東京ステーションギャラリー
※展示室内は一部作品を除き撮影禁止です。掲載した写真は撮影可の作品で、いずれも通期展示です。
第一章 ひとを描く ー北野恒富とその門下
第二章 文化を描く ー菅楯彦、生田花朝
第三章 新たなる山水を描く ー矢野橋村と新南画
第四章 文人画 ー街に息づく中国趣味
第五章 船場派 ー商家の床の間を飾る画
第六章 新しい表現の探求と女性画家の飛躍
展示室に入って一番最初に感じたのは、昔懐かしい大阪の街並みや風物詩が見られることでした。
最初にご紹介するのは、歴史画や大阪庶民の生活を描いた菅楯彦(1878-1963)が、大阪市中央区にある大阪美術倶楽部の舞台緞帳に手描きした《浪華三大橋緞帳》。
菅楯彦《浪華三大端緞帳》昭和32年(1957)頃 株式会社大阪美術倶楽部蔵 通期展示 (展示室ロビーに展示) |
水運がさかんだった「水の都」大阪らしく、多くの運河が流れ、その上に数多くの橋が架けられている様子が描かれた大画面の緞帳は現在でも使われれていて、大阪美術倶楽部以外では初公開とのことです。
菅楯彦の弟子、生田花朝(1889-1978)が描くのは、海の上に多くの船が繰り出す天神祭。
生田花朝《天神祭》昭和10年(1935)頃 大阪府立中之島図書館 通期展示 (第六章に展示) |
大阪天満宮の天神祭は、6月下旬から7月25日までのおよそ1か月間にわたり行われる祭で、この作品は、7月25日の本宮の夜に行われる天神祭のクライマックス、船渡御(ふなとぎょ)のにぎやかな様子が生き生きと描かれています。
もう一つ感じたのは女性画家の活躍。
大阪では江戸時代から女性画家が活躍していたことに加え、明治時代以降、富裕層を中心に子女に教養として絵画を習わせる傾向が強かったことから、多くの優れた女性画家が登場しました。
第六章では、美人画を得意とした島成園(1892-1970)の作品をはじめ、女性画家の多くの作品を見ることができます。
島成園《祭りのよそおい》大正2年(1913) 大阪中之島美術館蔵 通期展示 |
左側の着飾った二人の少女を羨ましそうな眼を向ける質素な帯をつけた少女、さらにその三人をじっと見つめる素足に草履姿の少女。
一見するとお祭りを楽しみにしている4人の少女が描かれているように見えますが、実は少女たちの表情や装いでその背景にある貧富の差を、21歳の島成園が見事に描き分けた作品だったのです。
島成園に学んだ女性画家、高橋成薇が描いたのは着物のグラデーションが見事な作品《秋立つ》。