今年(2024年)は、1874年にパリで開催された第1回印象派展から150周年を迎える年。
その記念すべき年に、東京・上野公園の国立西洋美術館では「モネ 睡蓮のとき」が開催されています。
モネの晩年の作品に焦点をあてた今回の企画展は、世界最大級のモネ・コレクションを誇るパリのマルモッタン・モネ美術館から日本初公開作品を含む約50点が来日して、国立西洋美術館はじめ国内の所蔵作品もあわせて64点もの作品が展示される豪華な内容の展覧会です。
すでに大人気で多くの方が訪れている「モネ展」ですが、さっそく展覧会の見どころをご紹介したいと思います。
展覧会チラシ |
展覧会開催概要
会 期 2024年10月5日(土)~2025年2月11日(火・祝)
開館時間 9:30~17:30(金・土曜日は21:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日、11月5日(火)、12月28日(土)~2025年1月1日(水・祝)、
1月14日(火)
(ただし、11月4日(月・休)、2025年1月13日(月・祝)、2月10日(月)、
2月11日(火・祝)は開館)
観覧料 一般2,300円、大学生1,400円、高校生1,000円
12月21日(土)以降、日時指定券を土日祝と2025年2月の全日程に限り導入しています。
2月1日(土)~11日(火・祝)の開館日は、21時まで開館します(※最終入場は20時30分まで)。
※チケットの購入方法、展覧会の詳細は展覧会公式サイトをご覧ください⇒https://www.ntv.co.jp/monet2024/
展示構成
第1章 セーヌ河から睡蓮の池へ
第2章 水と花々の装飾
第3章 大装飾画への道
第4章 交響する色彩
エピローグ さかさまの世界
※展示室内は、第3章を除き撮影不可です。掲載した写真は報道内覧会で主催者より許可を得て撮影したものです。
展示室入口でお出迎えしてくれるのは、モネがジヴェルニーの自邸の庭に造った睡蓮の池の大きなパネル。
すぐにモネの世界に入り込める粋な演出ですが、画面下の方に見える人影に注目です。
これは来館者の写り込みではなく、あのトレードマークともいえる帽子を被ったモネの頭が水面に写った影。モネ展を訪れた人が、モネの視点から睡蓮の池の水面を眺め、モネになった気分で睡蓮の作品を見てみようという今回の展覧会の意図が込められているパネルだったのです。
第1章 セーヌ河から睡蓮の池へ
展示は、モネが睡蓮の連作を手掛ける前に描いた、セーヌ河やロンドンの景色の作品から始まります。
モネがノルマンディー地方の小村ジヴェルニーに転居した1883年にはすでに睡蓮の池があったのではなく、転居後に土地を買い足して睡蓮の池を造成してから睡蓮を書き始め、さらに池の拡張工事をしてから睡蓮の連作に取り掛かるようになったのでした。
理想とする庭や池を造ったモネのまなざしは睡蓮の池の水面に向かいました。
そして、睡蓮の池の水はセーヌ河の支流から引いたものでした。
セーヌ河の水は睡蓮の池の水となって、晩年のモネの最大の創造の源となったのです。
第2章 水と花々の装飾
今回の展覧会の大きな見どころのひとつは、幻に終わった装飾画(室内の壁面を飾るために描かれた絵画)の計画のためにモネが描いた習作の数々。
習作といってもそれだけで一つの作品として十分に見応えがあって、藤やアガパンサスなど、睡蓮以外の花の色合いを楽しむことがもできるのです。
それぞれが高さ1m、幅3mもあるこの2点の《藤》は、藤の花をモティーフとするフリーズ(帯状装飾)の習作の現存する8点のうち最も大きなものです。
明るい色彩の藤の花が、リズミカルに配置されていて、近くで見るとまるで音楽を奏でるように感じられてきます。
どちらも クロード・モネ《藤》1919-1920年頃 マルモッタン・モネ美術館 |
第2章は赤系の壁面と相まってとても落ち着いた雰囲気。
まるで実現しなかった装飾画が、この場に見事に再現されているように思えてきます。
第3章 大装飾画への道
そして睡蓮の池が描かれた「大装飾画」の制作過程において生み出された作品群が展示されている第3章へ。
ここがパリ・オランジュリー美術館の幅4mにも及ぶ「大装飾画」が展示されている楕円形の部屋を再現した空間です。
睡蓮の池の大画面の作品が私たちを取り囲むように展示されているので、現地にいるような気分にさせてくれる展示になっているのがうれしいです。
上半分が失われた姿で発見されたこの作品は、2019年に「デジタル推定復元プロジェクト」のクラウドファンディングが行われたことでもよく知られています。
筆者も微力ながら寄付をさせていただきましたが、そのせいかとても身近に感じられる作品です。
第4章 交響する色彩
晩年は白内障に悩まされながらも「大装飾画」と並行してモネが手がけた小型連作が展示されているのが第4章です。
「水の庭」の池にかかる日本風の太鼓橋や枝垂れ柳、「花の庭」のバラのアーチがある小道など、最後の力を振り絞ったかのような激しい筆遣いと鮮烈な色彩に心を打たれます。
エピローグ さかさまの世界
「大装飾画」の制作が開始された1914年は第一次世界大戦が始まった年でした。
この2点もオランジュリー美術館の「大装飾画」のために制作されたものです。
柳が水面にさかさまに映し出されたこの穏やかな2つの作品からは、多くの人々が犠牲になり、未曽有の苦しみをもたらした戦争に心を痛め、心の平安を求めて筆をとったモネのメッセージが伝わってくるように感じられました。
展示作品のカラー図版やコラムが掲載された展覧会公式図録は永久保存版です。
モネの晩年の力作が見られて、パリに行かなくてもパリの美術館の雰囲気が味わえる展覧会です。
大画面の睡蓮の大作をぜひお楽しみください!