東京・上野公園の東京国立博物館では、開創700年記念 特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」 が開催されています。
今回の特別展は、京都紫野の地に七堂伽藍を構える洛北随一の巨刹・大徳寺開創700年を記念して、塔頭や大徳寺派寺院を含む大徳寺山内の寺宝が一挙公開される超豪華な内容の展覧会です。
展覧会開催概要
展覧会名 開創700年記念 特別展「大徳寺 本朝無双之禅苑」
会 場 東京国立博物館 平成館
会 期 2026年10月14日(水)~12月6日(日)
前期10月14日(水)~11月8日(日)
後期11月10日(火)~12月6日(日)
開館時間 午前9時30分~午後5時
※毎週金・土曜、11月1日・2日・22日は午後8時まで
入館は閉館の30分前まで
休館日 月曜日(ただし、11月2日・23日・30日は開館)、11月24日
※11月30日は大徳寺展のみ開館(東博コレクション展は休館日のため観覧不可)
観覧料 一般2300円、大学生1300円、高校生900円
※展覧会の最新情報、チケットの購入方法、関連イベント等は展覧会公式サイトをご覧ください⇒https://daitokuji2026.exhn.jp/
展示構成
序章 禅の広がり—心から心へ
第1章 大徳寺の開創
第2章 大燈禅の継承
第3章 戦国武将と塔頭
第4章 江戸時代の名僧
第5章 禅宗美術の精華
終章 禅とともに—大徳寺三門の世界
※展示室内は、終章を除き撮影不可です。掲載した写真は報道内覧会で主催者より許可を得て撮影したものです。
※前期・後期で展示作品はほぼ総入れ替えになります。展示期間表記のない作品は全期間展示です。
第1会場に入ってすぐにご対面するのは、大徳寺の開山、宗峰妙超(大燈国師 1282-1337)の坐像。正面を見据え、威厳に満ちた姿が印象的です。一礼をして会場内に向かいました。
後方は、後醍醐天皇が「本朝無双之禅苑」とたたえた言葉が記された扁額です。
さらに先に進むと、奇跡の空間が広がっていました。
ここは前期の大きな見どころのひとつ。
東洋一の名画と謳われる水墨芸術の最高傑作、中国・南宋時代の画僧で、日本では絶大な人気を誇る牧谿筆の国宝《観音猿鶴図》と、伝牧谿作の重要文化財《龍虎図》が並んで展示されているのです。
| 中央の三幅 国宝 観音猿鶴図 牧谿筆 中国・南宋時代 13世紀 両脇の二幅 重要文化財 龍虎図 伝牧谿筆 中国・南宋~元時代 13世紀 いずれも大徳寺蔵 前期展示(10/14-11/8) |
後期には、咸淳5年(1269)の墨書銘がある伝牧谿筆の重要文化財《龍虎図》を脇幅、伝月壺筆《白衣観音像》を中幅とした三幅対と、国宝《楊柳観音図》を中幅、北宋から南宋にかけて活躍した宮廷画家・李唐筆の国宝《山水図》を左右に配した三幅対の水墨画が展示されます。
いずれも中国水墨画の傑作なので後期展示も楽しみです。
大徳寺にゆかりの深い後醍醐天皇の肖像画にも注目したいです。
後醍醐天皇は二度の討幕計画に失敗して隠岐に流され、それでも脱出して鎌倉幕府が滅亡すると建武の新政を行ったものの、足利尊氏にそむかれ吉野に移って南朝を開き、その地で亡くなるという激動の人生を歩んだ強烈な個性の持ち主でした。
堂々とした風格の後醍醐天皇の姿からは、そのような個性がうかがえるように感じられました。
後期には、後醍醐天皇が隠岐から京都に帰還した元弘3年(1333)に宗峰妙超に与えた国宝《後醍醐天皇宸翰置文》が展示されます。そこには「本朝無双之禅苑」と讃える言葉が記されているのでぜひ注目してみてください。
開山以来、大徳寺は各時代を代表する名僧を輩出していますが、中でもよく知られているのが、「一休さん」で知られる一休宗純ではないでしょうか。
室町時代に活躍した型破りな禅僧だけあって、一休宗純の頂相(禅僧の肖像)もボサボサの髪、伸び放題の無精髭と、これまた型破りな風貌です。
前期・後期で5点展示されるので、それぞれ特徴のある表情の一休さんに出会うことができます。
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| 「大徳寺展」展示風景 |
作者は狩野松栄。父・元信と子の永徳の陰に隠れて目立たない存在ですが、なかなかどうして。近くで見たらすごい迫力です。
画面下の悲しんでいる動物たちも表現豊か。間近に見ることができます。
第2会場に移ります。
第2会場では大徳寺各塔頭の至宝をはじめ、禅宗美術の精華をたっぷり楽しむことができます。
重要文化財の《五百羅漢図》や《十王図》も展示されていますが、ここでご紹介したいのは同じく重要文化財の《百鬼夜行絵巻》。
さまざまな妖怪が闇夜にまぎれて行進する様子が描かれた絵巻は江戸時代制作のものを含め60件以上確認され、その流行ぶりを知ることができますが、この真珠庵のものは現存最古という貴重なものなのです。
寺伝では、真珠庵の開祖でもある一休宗純が構想を練ったとも、室町時代後期の絵所預・土佐光信が描いたとも伝わっているので、さらに貴重なものといえるかもしれません。
狩野派の始祖・狩野正信から、元信、永徳、探幽と続く狩野派の絵師たちをはじめとした障壁画の名品の数々も大きな見どころのひとつです。
まるで塔頭を訪れたようなしつらえの中で見る障壁画はまた格別な味わいがあります。
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| 「大徳寺展」展示風景 |
そしてフィナーレは、大徳寺三門楼上内の再現展示。
特別公開の時などに大徳寺にはよく訪れるのですが、この三門はいつも外から見るだけで、中まで入る機会はなかったので、この再現展示はうれしかったです。
現在の三門は、応仁の乱ののち、享禄2年(1529)に連歌師・宗長によって単層で再建され、天正17年(1589)に千利休が上層を造営して「金毛閣」と名づけられました。千利休が秀吉に切腹を命じられる要因にもなったという利休の木像が安置されていたのもこの三門楼上でした。
会場内はご覧のように三門楼上の雰囲気がよく出ています。再現展示ではありますが、正面の仏像は本物です。
| 釈迦如来坐像および迦葉・阿難立像 釈迦:印慶作 釈迦:室町時代 応永11年(1404) 迦葉・阿難:鎌倉時代 13~14世紀 大徳寺蔵 |
三門楼上に置かれている《千利休立像》も展示されています。これは天正17年(1589)に置かれた利休の木像ではなく後世のものです。
柱などもとてもリアル。実際に三門楼上に上ったような気分が味わえます。
| 千利休立像 体部:田中浄慶作 頭部:天保11年(1840) 体部:明治2年(1869) 大徳寺蔵 |
展覧会特設ショップには、本展限定御朱印付きの御朱印帳や、《百鬼夜行絵巻》をイメージしたぬいぐるみクッションまで、展覧会の思い出になるグッズが盛りだくさん。
実はさきほど《百鬼夜行絵巻》をご紹介したのは、ここでこのぬいぐるみクッションを紹介したかったからなのです。
公式図録は、表紙には黒地に「本朝無双」という黒い文字が浮かび上がり、左上には特別展の名称が銀色に輝いているという渋くてかっこいいデザイン。牧谿筆の国宝《観音猿鶴図》など一部作品の拡大写真をはじめすべての出品作品が収録され、大徳寺三門の写真や、詳細な作品解説や豊富なコラムも収録されてます。大徳寺の歴史と文化を紐解くことができる豪華な内容なのでおすすめです。
通常非公開の名宝が一堂に会する展覧会はなんと41年ぶり。そして東京では初めてなので、この機会にぜひご覧いただきたい展覧会です。



