「文化財よ、永遠に」は、これまでに1000件を越える国内外の文化財修復事業に対し助成を行ってきた公益財団法人住友財団が、2021年に創立30周年を迎えるのを記念して開催される展覧会で、助成によって修復された文化財の一部が東京国立博物館、九州国立博物館、泉屋博古館(京都)、そしてここ泉屋博古館分館(六本木)で同時期に展示されます。
全国4会場で同時期開催
京都・鹿ケ谷 泉屋博古館 9月6日(金)~10月14日(月・祝)
東京・上野 東京国立博物館 10月1日(火)~12月1日(日)
福岡・大宰府 九州国立博物館 9月10日(火)~11月4日(月・振休)
【泉屋博古館分館の開催概要】
会 期 9月10日(火)~10月27日(日)
前期 9月10日(火)~9月29日(日) 後期 10月1日(火)~10月27日(日)
前期後期で展示替えがあります。
開館時間 10時~17時(入館は16時30分まで)
※10月11日(金)のみ10時~18時(入館は17時30分まで)
休館日 月曜日
(9/16、9/23、10/14は開館、9/17、9/24、10/15は休館)
入館料 一般 600円ほか
ギャラリートークはじめ関連イベントもあります。詳細は公式サイトでご確認ください。
さて、それではさっそく展覧会の様子を紹介していきましょう。
※展示室内は撮影禁止です。掲載した写真は美術館より特別の許可をいただいて撮影したものです。
※展示室内は、泉屋博古館分館の野地分館長、泉屋博古館学芸員の竹嶋さんにご案内いただきました。
今回の展覧会のテーマは、文化財の美しさを永遠に伝えていくこと。
美しくよみがえった展示作品を見て、地道な修復作業によってその美しさを永遠に伝えていくことがいかに大変なことなのか、あらためて実感しました。
第2会場展示風景 |
痛みやすい素材を使った日本絵画ですが、さらに掛軸の場合、その宿命は巻くことによる「折れ」。
仏画がご専門の竹嶋さん。
「折れているのは絹の裏の紙。絹は伸ばせるので、水で濡らして肌裏紙という絹の裏に貼ってある紙をほぐしてピンセットではがしていくのです。」
そして紙を貼り換えたり、「折れ付箋」という細長い紙を貼ったりといった根気のいる作業をするのです。
展覧会チラシ(裏面) |
さらに絵画の敵はカビ。
修復前に燻蒸をするのですが、それでも残っているカビは筆で払って吸引器で吸い込む作業を行うとのこと。
右 《雪景山水図》(栃木・鑁阿寺) 通期展示、 左 伝・蛇足《山水図》(群馬県立近代美術館 (戸方庵井上コレクション))(重要文化財) 前期展示 |
ロビー展示風景 右 《草虫図》(山口・菊屋家住宅保存会) 通期展示、 左 伝・王淵《立花図》(滋賀・聖衆来迎寺) 前期展示 |
左のパネルの修理前の画像と比較すると修理後との違いがよくわかります。
目の前で見てみると、透き通った花瓶の中の水や花の茎がきれいに描かれているのがわかります。
円山応挙《淀川両岸図巻》 (東京・アルカンシェール美術財団) 前後期で巻替え |
野地分館長が冒頭のごあいさつでお話されていました。
「日本の絵画は、数百年に1度、修復を行うのがルールです。」
ということは次の修復作業は数百年後。
今が旬の文化財をぜひこの機会にご覧になってください。
ロビーでは修復作業のビデオが流れています。参考までにこちらもぜひ。
最後になりますが、野地分館長から休館お知らせがありました。
泉屋博古館分館は、改修工事のため来年の1月から休館になり、2022年春にリニューアルオープンする予定とのこと。しばらく展覧会が見られなくなるのは少し残念ですが、泉屋博古館分館が2年半後にどのように生まれ変わるのか、今から楽しみです。