2020年8月7日金曜日

SOMPO美術館 開館記念展「珠玉のコレクション-いのちの輝き・つくる喜び-」

新宿に巨大な白いオブジェ出現!



新型コロナウィルスの影響で開館が延期されていましたが、新装なったSOMPO美術館(旧:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館)が7月10日(金)にオープンして、9月4日(金)まで開館記念展が開催されています。

【展覧会概要】
SOMPO美術館 開館記念展「珠玉のコレクション-いのちの輝き・つくる喜び」
会 期  2020年7月10日(金)~9月4日(金)
開館時間 午前10時~午後6時(最終入館は午後5時30分まで)
日時指定チケット 一般 1,000円 大学生700円 高校生以下 無料
※美術館ではチケットを販売していませんので、チケットは事前にお買い求めください。
展覧会の詳細、チケット購入方法、新型コロナウィルス感染拡大防止対策等については美術館の公式サイトでご確認ください⇒SOMPO美術館

館内は撮影禁止ですが、本展覧会に限り以下の作品のみ撮影が可能です。

 ポール・ゴーギャン《アリスカンの並木路、アルル》
 ピエール=オーギュスト・ルノワール《帽子の娘》
 ピエール=オーギュスト・ルノワール《浴女》
 ポール・セザンヌ《りんごとナプキン》

以前のようについついエレベーターで損保ジャパン本社ビルの42階に行こうとしてしまいますが、新しいSOMPO美術館の入口は本社ビル敷地内に新設された美術館棟の1階。
陶板複製のゴッホ《ひまわり》がお出迎え。

1階で手指の消毒と検温を済ませて、エレベーターで5階に向かいます。
展示室は5階から3階で、上から順番に見ていくルートになっています。
そして2階にはミュージアムショップと8月1日(土)から営業を開始したカフェ(カフェは展覧会開催日の土日祝日のみ営業)。

5階は「第1章 四季折々の自然」とSOPMO美術館の1/100詳細模型などが展示されている「紹介:SOMPO美術館の建築」

「第1章 四季折々の自然」には、東山魁夷、平山郁夫、吉田博はじめ、近代・現代の日本画家による桜や朝顔、海や富士、雪といった季節感あふれる作品が展示されています。

中でも、山口華楊の《葉桜》は全面的な修復を行い、約10年ぶりに公開される初期の大作。
こちらは展覧会チラシの裏面ですが、中央右の作品が山口華楊《葉桜》。

大正から昭和にかけて京都で活躍した山口華楊(1899-1984)は、動物画を得意とした日本画家で、植物画でも優れた作品を残しました。
一枚一枚の桜の葉が丁寧に描かれたこの《葉桜》は華楊の真骨頂。しかしそれだけではありません。写真ではわかりにくいのですが、作品の画面中央下に描かれている蛇に注目です。
小さな蛇も細かく色分けして丁寧に描かれているのです。
作品の横には、蛇の部分の拡大写真はじめ修復時の様子がパネル展示されていますので、ぜひこちらもご覧ください。

そして、丁寧に描かれたモフモフの狐たちの作品《幻化》や、仕上げの絵と同寸に描かれた大下絵と比較ができる《猿》といった、山口華楊らしい動物画も展示されています。

4階に移ります。

「第2章 「FACE」グランプリの作家たち」では、今年で8回目を迎えたFACE展(主催:東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館、読売新聞社)の2012年から2019年までのグランプリ作品が展示されています。

今年2月に開催されて、新型コロナウィルスの影響で3月1日までで惜しくも中止になったFACE展2020(損保ジャパン日本興亜美術賞展)の様子は以前のブログでレポートしています。

FACE展2020(損保ジャパン日本興亜美術賞展)

続いて、「第3章 東郷青児(1897-1978)」には同館コレクションの中心を占める東郷青児の作品17点が展示されています(東郷青児作品は第4章にも4点、第5章にも1点展示されています)。

展覧会チラシ表にゴッホの《ひまわり》(上)と並んで掲載されているのは、ギリシャ神殿のような遺跡の前にたたずむ女性を描いた東郷青児の《望郷》(下)。




この《望郷》をはじめ「青児美人」といわれた淡い色彩の優しい表情をした女性たちに心が和みます。その一方で、初期の作品《パラソルさせる女》のように濃い色彩の前衛的な絵画にもハッとさせられる迫力を感じるので、どちらの作品も楽しめます。

3階に移ります。

「第4章 風景と人の営み」には、アメリカの田園風景を描いたグランマ・モーゼスの作品7点はじめ、東郷青児、モーリス・ユトリロ、ポール・ゴーギャンの作品が展示されています。

中でもゴーギャンの《アリスカンの並木路、アルル》は、ガラスケース越しでなく、間近に見ることができて、今回は撮影可!
ゴーギャンの絵筆のタッチや独特の色遣いをじっくりご覧いただくことができます。
ポール・ゴーギャン《アリスカンの並木路、アルル》
1888年 SOMPO美術館

「第5章 人物を描く」には、ジョルジュ・ルオー、パブロ・ピカソ、マルク・シャガール、藤田嗣治といった名だたる画家たちの人物が展示されています。

こちらのルノワールの作品2点は撮影可です。
どちらも一度印象派から離れたルノワールがかつての画風に戻ったあとの作品で、柔らかな色遣いがとても心地よく感じられます。
特に、古いニスを除去して、本来の明るさを取り戻した《浴女》(下の写真右)は、女性の肌も背景の海も、まるで輝いているように見えました。

ピエール=オーギュスト・ルノワール《浴女》(右)1892-93年頃
《帽子の娘》(左)1910年 いずれもSOMPO美術館
「第6章 静物画-花と果物-」でいよいよポール・セザンヌの《りんごとナプキン》と、フィンセント・ファン・ゴッホの《ひまわり》が登場!

セザンヌの《りんごとナプキン》は撮影可。

ポール・セザンヌ《りんごとナプキン》
1879-80年 SOMPO美術館
セザンヌのこの作品は、正面からだけでなく、ぜひ右から左からご覧になってください。
横から見ると、あら不思議、テーブルの上の果物が画面を飛び出して、浮き上がってくるように見えてきます。

今回の展覧会で撮影可の作品は、今後展示されても撮影できなくなるかもしれません。それに、今のようにガラスケースなしで間近で見ることもできなくなるかも。
コレクション展ですが、もしかしたらこんな機会はラストチャンスかもしれないので、ぜひ来館して、その場で名作の数々をご覧になっていただければと思います。