2021年10月29日金曜日

三菱一号館美術館「印象派・光の系譜」展

東京丸の内の三菱一号館美術館では、イスラエル博物館所蔵 「印象派・光の系譜」展が開催されています。



日本でも大人気の印象派の展覧会は国内でも数多く開催されていますが、今回の「印象派・光の系譜」展は、イスラエル博物館が所蔵する印象派とポスト印象派の豊富なコレクションの中から、初来日59点を含む69点の名品を見ることができる超豪華な内容の展覧会。

すでに大人気で多くの方が訪れている展覧会ですが、先日開催された内覧会に参加しましたので、そのときの様子をさっそくご紹介したいと思います。

展覧会概要


展覧会名  イスラエル博物館所蔵 印象派・光の系譜-モネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガン 
      「あなたの知らないモネが来る。」
会 場   三菱一号館美術館(東京都千代田区丸の内2-6-2)
会 期   2021年10月15日(金)~2022年1月16日(日)
休館日   月曜日と年末年始の12月31日、2022年1月1日
       (但し、10/25・11/29・12/27と1/3・1/10は開館)
開館時間  10時~18時(祝日を除く金曜と会期最終週平日、第2水曜日は21時まで)
      ※入館は閉館の30分前まで
入館料   一般 1,900円 高校・大学生 1,000円  小・中学生 無料
※障がい者手帳をお持ちの方は半額、付添の方1名まで無料。
※新型コロナウイルス感染症の感染予防・拡大防止のため、入場を制限する場合があります。
※諸事情により、会期や開館時間等について変更する場合があります。
※ご来館の際は展覧会サイトをご確認ください⇒印象派・光の系譜展


※展示室内は一部作品を除き撮影不可です。掲載した写真は美術館より許可を得て撮影したものです。

展示構成
 CHAPTER01 水の風景と反映
 CHAPTER02 自然と人のいる風景
 CHAPTER03 都市の情景
 CHAPTER04 人物と静物


三菱一号館美術館に来る大きな楽しみの一つが、洋館風の内装が見られること。
特に暖炉と暖炉の上に飾られた作品のコンビネーションが絶妙です。
展示室内を歩いているだけでもヨーロッパの邸宅におじゃまして当主のコレクションを拝見しているようなリッチな気分になってくるのです。


展示風景

もちろん展示されている作品も選りすぐりの名品ばかり。

最初の展示室では、コローやドービニーが描いた風景画がお出迎え。
バルビゾン派ののどかな田園風景の作品に心が癒されます。

展示風景

バルビゾン派に続いては、展覧会のサブタイトルにあるモネ、ルノワール、ゴッホ、ゴーガンはじめ、シスレー、ピサロといった印象派展では欠かすことのできない豪華メンバーのオンパレード。

展示風景

そして、どれもそれぞれの画家の代表作といっていいほどの出来映えの作品ばかり。
初来日の作品が多いことは冒頭でご紹介しましたが、次にいつ来日するかわからないですし、もしかしたら二度と見られない作品もあるかもしれません。


展示風景

右を向いても左を向いても印象派、ポスト印象派の巨匠たちの作品ばかりです。

展示風景


ピエール=オーギュスト・ルノワール《マントノン郊外》
1888年 イスラエル博物館蔵

ポール・セザンヌ 右《湾曲した道にある樹》1881-1882年、
左《陽光を浴びたエスタックの朝の眺め》1882-1883年
いずれもイスラエル博物館蔵


モネの《睡蓮の池》も初来日。
まさにキャッチコピーにあるように、「あなたの知らないモネが来る。」なのです。

クロード・モネ《睡蓮の池》
1907年 イスラエル博物館蔵

モネの《睡蓮の池》にうっとりしたところで、その隣には見慣れない作風の作品が見えてきました。

展示風景


すでにSNS上で話題になっているのでご存じの方も多いかと思いますが、これが噂のレッサー・ユリィ(1861 ビルンバウム-1931 ベルリン)の作品なのです。

レッサー・ユリィ《風景》1900年頃
イスラエル博物館蔵

湖畔の景色のようですが、朝の景色なのか、夕景なのわからない不思議な光景。
湖の対岸の木々の間からオレンジ色の太陽の光が漏れて、それが湖面にも映り、画面全体に印象的なアクセントをつけています。

ユリィの作品は、今回の展覧会で《風景》をはじめ4点が展示されていて、どれも光の描き方が絶妙の味を出している作品ばかり。


レッサー・ユリィ 右《夜のポツダム広場》、左《冬のベルリン》
いずれも1920年半ば イスラエル博物館蔵 

そしてもう1点が1889年に制作された《赤い絨毯》。

レッサー・ユリィ《赤い絨毯》1889年
イスラエル博物館蔵



雨に濡れた路面に映る明かりがキラキラ輝く《夜のポツダム広場》は夜のベルリンの街の賑わいを描いた作品ですが、ドイツが東西に分断されている間はこのポツダム広場にベルリンの壁があったので、とてもこのような華やかな光景は見られませんでした。

ユリィはヒトラーが政権を取る2年前に亡くなっているので、ベルリンが第二次世界大戦での空襲や地上戦で徹底的に破壊されたことや、ベルリンの壁があったことなどは知る由もないのですが、産業革命によって近代化が進んだベルリンの古き良き姿を見ることができたユリィがとてもうらやましく思えました。


展示室を先に進むと「ゴーガンの部屋」がありました(セリュジエの作品1点以外はゴーガンの作品)。
ここも暖炉がいい雰囲気を出しています。


展示風景

今回来日したモネの作品のうち睡蓮が描かれているのは1点ですが、「モネの睡蓮がもっと見たい!」という方、ご安心を。
国内の美術館から出品された《睡蓮》が展示されている、特別展示「睡蓮:水の風景連作」の部屋があるのです。

この部屋には、イスラエル博物館所蔵の《睡蓮の池》と同じく1907年に描かれて、1909年に開催された48点の睡蓮の連作による個展「睡蓮:水の風景連作」に出品されたDIC川村記念美術館と和泉市久保惣記念美術館が所蔵する《睡蓮》が展示されているのです。
長年離れ離れになっていて、久しぶりに東京で邂逅したモネの睡蓮の連作をぜひお楽しみください。
(11月30日から展示される東京富士美術館所蔵の《睡蓮》は、1年後の1908年の制作。)


「印象派・光の系譜」展は来年1月16日まで開催されて、その後、あべのハルカス美術館(大阪)に巡回します(会期 2022年1月28日(金)~4月3日(日))。

印象派の名作を一度に見られる貴重な機会です。お見逃しなく!