2022年10月23日日曜日

東京国立博物館創立150年記念 特別展 国宝 東京国立博物館のすべて 

東京・上野公園の東京国立博物館では、「東京国立博物館創立150年記念 特別展 国宝 東京国立博物館のすべて」が開催されています。



10月18日(火)に開幕してすでに話題沸騰、連日大盛況の展覧会ですが、なにしろ東京国立博物館が所蔵する89件の国宝すべてが12月11日(日)までの間に展示されるのですから、この機会を逃すわけにはいきません。

それでは、さっそく展示の様子をご紹介したいと思います。

※展示室内(フォトスポットを除く)は撮影禁止です。掲載した写真は主催者より特別の許可をいただいて撮影したものです。

※所蔵先を記載していない作品は、すべて東京国立博物館所蔵です。

展覧会概要

東京国立博物館創立150年記念 特別展「国宝 東京国立博物館のすべて」
会 期  2022年10月18日(火)~12月11日(日)~18日(日) 会期延長!
開館時間 9時30分~20時
     ※金曜・土曜日は20時まで開館。(総合文化展は17時閉館)
     ※12月12日(月)は休館。
     ※12月13日(火)~18日(日)は本展のみ9時30分から20時まで開館。
      総合文化展は全日17時閉館。
     ※入館は閉館の30分前まで
休館日  月曜日
※本展は事前予約制です。詳細は展覧会公式サイトをご確認ください⇒特別展「国宝」公式サイト
※会期中、一部作品の展示替えを行います。


見どころ1 史上初!東博所蔵の国宝89件すべて公開!


東博が所蔵する約12万件の美術品の頂点に立つ国宝は89件。
これは、一つの博物館が所蔵する国宝の件数では最多。

会場内では、絵画、書跡、考古、漆工など8つの分野に分けて展示されています。

絵画・筆跡

「絵画」展示風景

平成館2階の第1会場に入ってすぐにお出迎えしてくれるのは長谷川等伯の国宝《松林図屛風》。
10月30日までの展示です。

そして等伯といえば、桃山時代のライバル・狩野永徳。
永徳の作品も見たくなりますが、国宝《檜図屛風》は11月1日から11月27日まで展示されます。

全長約9.5mの国宝《平治物語絵巻 六波羅行幸巻》は巻替えなしの一挙公開!
こちらも10月30日までの展示です。

国宝《平治物語絵巻 六波羅行幸巻》
展示期間10/18-10/30


「書跡」展示風景


絵画や書跡は保存のため展示期間が限られていて、会期内に展示替えがあります。
他にも展示期間が限られている作品があるので、ぜひ出品目録をこまめにチェックしてみてください!

東洋絵画・東洋筆跡

東博の豊富な中国書画のコレクションはいつも東洋館で楽しませてもらっていますが、こうやって国宝だけが並んでいると壮観です。

「東洋絵画」展示風景


法隆寺献納宝物・考古・漆工

「漆工」の作品は、照明の効果が絶大。
きらびやかな蒔絵や螺鈿が、その輝きを一層増しています。

「漆工」「考古」展示風景

「考古」の《東大寺山古墳出土品》《江田船山古墳出土品》のうち、特別展「国宝」に出ていなものは平成館1階考古展示室に展示されているので、ぜひこちらもご覧ください。

「法隆寺献納宝物」「考古」「漆工」展示


「考古」展示風景



見どころ2 東博所蔵の国宝の刀剣19件を一挙公開、それも通期展示!


国宝の刀剣19件も、一つの博物館としては日本一。
そして、その19件を一つの空間に展示したのも史上初!
平成館2階の第2会場に出現した「刀剣の間」は圧巻です。

刀剣の見どころは何といってもその輝き。
展示ケースにも、照明にも工夫を凝らしているので、ぜひ刃文(はもん)や地鉄(じがね)の輝きをお楽しみください。




「刀剣」展示風景



見どころ3 東博150年の歩みを所蔵作品とともに追体験!


「第2部 東京国立博物館の150年」では、150年を大きく3つの時期に分けて、それぞれの時期に収蔵された作品とともに東京国立博物館の歩みを追体験できる展示になっています。


第1章 博物館の誕生

明治維新後、幕末の戊辰戦争で荒廃していたかつての東叡山寛永寺の広大な敷地、現在の上野公園で行われたのが内国勧業博覧会。
当時の様子をうかがうことができる錦絵や、初期の収蔵品が展示されています。

「第1章 博物館の誕生」展示風景

「第1章 博物館の誕生」展示風景


第2章 皇室と博物館

続いて、「東京帝室博物館」時代に収蔵された皇室ゆかりの名品の数々。

「第2章 皇室と博物館」展示風景

総合博物館として、動植物や鉱物の標本など自然史の資料も収蔵していた時期がありました。
現在、国立科学博物館が所蔵する《キリン剥製標本》はおよそ100年ぶりの里帰り!

「第2章 皇室と博物館」 展示風景

第3章 新たな博物館へ

関東大震災や戦災を経て、戦後、新たな歩みを始めた東京国立博物館は、変わることなく文化財の収集保存を続けています。
この章では、戦後に収集された名品が展示されています。



重要文化財《風神雷神図屛風》尾形光琳筆
展示期間10/18-11/13


尾形光琳に私淑した酒井抱一がこの《風神雷神図屛風》の裏に描いた同じく重要文化財の《夏秋草図屛風》は入れ替わりで11/15-12/11に展示されます(現在は別々の屛風に仕立てられています)。

展示の最後にフォトスポットがあります。
こちらは令和に入って収蔵された《金剛力士立像》。
高さ約2.7mもある迫力の表情に圧倒されそうです。


《金剛力士立像》 通期展示

最後に展示されているのは、切手でもおなじみの菱川師宣筆《見返り美人図》。
こちらは初期の収蔵作品ですが、前に向かって歩きながら、後ろを振り向く姿が、150年を振り返りつつ、将来に向かって新たな一歩を踏み出していくという今回の展覧会にピッタリの作品だと思いました。

《見返り美人図》菱川師宣筆
展示期間10/18-11/13
(11/15-12/11には複製が展示されます)


国宝をはじめ、東京国立博物館の収蔵品の幅の広さ、奥行きの深さが実感できる展覧会です。
この秋おススメの展覧会です!