今年も桜の季節がやってきました。
そして今年は2013年に富士山がユネスコの世界遺産に登録されてから10年目の記念すべき年。
東京・広尾の山種美術館では、今の時期にふさわしい「【特別展】世界遺産登録10周年記念 富士と桜 ー北斎の富士から土牛の桜までー」が開催されています。
古くから描き続けられてきた日本の象徴、富士山と桜。
今回の特別展は、その両方が見られるという豪華な内容の展覧会です。
それではさっそく展示の様子をご紹介したいと思います。
展覧会開催概要
会 期 2023年3月11日(土)~5月14日(日)
※会期中、一部展示替えあり。
前期:3月11日(土)~4月16日(日)
後期:4月18日(火)~5月14日(日)
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日 月曜日(但し、5/1(月)は開館)
入館料 一般 1300円、中学生以下無料(付添者の同伴が必要)
※障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、及びその介助者(1名) 一般
1100円
春の学割 大学生・高校生 500円
*本展に限り通常1000円のところ特別に半額になります。
※きもの特典:きものでご来館のお客様は、一般200円引きの料金となります。
※複数の割引・特典の併用はできません。
入館日時のオンライン予約も可能です。詳細は山種美術館公式サイトをご覧く
ださい。
※学芸員さんが「富士と桜」展の見どころを紹介するギャラリートークも開催さ
れます。日程や内容は山種美術館公式サイトでご確認ください。
山種美術館公式サイト⇒https://www.yamatane-museum.jp/
お得な相互割引のご案内!
下記チケットの提示で入館料を100円割引。
*いずれも対象券1枚につき1名様、1回限り有効。
*入館チケットご購入時に受付にご提示ください。購入後の割引はできません。
*他の割引との併用はできません。
*オンラインチケットは割引対象外。
展示構成
第1章 富士山を描く
第2章 桜を描く
※展示室内は横山大観《富士山》を除き撮影禁止です。掲載した写真は内覧会で美術館より
特別の許可をいただいて撮影したものです。
※掲載した作品のうち、前期後期で展示替えがあるものはその旨を記載しました。
第1章 富士山を描く
富士山を描いた絵というとみなさまはどのような作品を思い浮かべるでしょうか。
葛飾北斎《冨嶽三十六景》の中でも赤い富士山が人気の「凱風快晴」や裾野の稲光が印象的な「山下白雨」でしょうか。
歌川広重《東海道五拾三次》の、切り立った薩埵峠から見た富士山や、富士山が画面からはみ出した「原・朝之富士」もこのシリーズの中では特に印象的です。
そして、富士山といえばこの方を忘れるわけにはいきません。生涯に1500点以上もの富士山を描いたと言われる横山大観です。
まずはご存じ、葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》。
葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》 1830(文政13)年頃 山種美術館 前期展示 3/11-4/16 |
そして今回は北斎版本の大コレクター、浦上満氏のコレクションから『富嶽百景』(※)が展示されるので、《冨嶽三十六景》にはない富士山も見られます。
※『富嶽百景』は全3巻からなる墨摺絵本で、富士図の他に、富士山創成の神話、故事人物、名所風俗など、多彩な富士山の画題を描いています。その数なんと102図。(解説パネルより抜粋)
歌川広重《東海道五拾三次》のシリーズは、前期に「平塚・縄手道」「由井・薩埵嶺」「舞坂・今切真景」、後期に「川崎・六郷渡舟」「原・朝之富士」「吉原・左富士」が展示されます。
そしてお待ちかね、横山大観の堂々とした富士山の壮観な姿。
第1展示室に入ってすぐにお出迎えしてくれるのは、雲の上に浮かぶような富士山が描かれた横山大観の《心神》。
ここにはいつも展覧会を象徴する作品が展示されていますが、今回も世界遺産としての貫禄十分の一点が展示されていました。
今回の特別展では、大観の富士は4点展示されています。
ずらりと並んだこの壮観な景色。
先日、京都に向かう新幹線の中から富士山を見たのですが、富士山が雲の上に浮かんでいるように見えたので、思わず「大観の富士山だ!」と叫んでしまいました。
今回の特別展のサブタイトルは「北斎の富士から土牛の桜まで」ですが、奥村土牛は桜だけなく、堂々としていながらもほのぼのとした富士山が描かれた作品も展示されています。
「第1章 富士山を描く」展示風景 |
さて、みなさんは大観の富士と、土牛の富士とどちらがお好きでしょうか。
2人の他にも18人の日本画家のそれぞれ個性的な富士山が見られるので、お気に入りの富士山を探してみてはいかがでしょうか。
第2章 桜を描く
山種美術館の桜の代表作は、京都・醍醐寺三宝院のしだれ桜を描いた奥村土牛の《醍醐》(山種美術館)。
《醍醐》に描かれた醍醐寺の「太閤しだれ桜」の桜を組織培養した若木「太閤千代しだれ」が山種美術館の玄関横に植えられているので、今の時期には美術館の外と中で土牛ゆかりの桜を楽しむことができます。
《醍醐》と並んでいるのは、桜の中でも特に山桜にこだわった横山大観の《山桜》(山種美術館)。
近代日本画の巨匠たちによるそれぞれ趣きの異なった桜の競演が楽しめるのがいいですね。
右 横山大観《山桜》1934(昭和9)年 左 奥村土牛《醍醐》1972(昭和47)年 どちらも山種美術館 |
そして「土牛の桜」のもう一点が、千本桜で知られる吉野山を描いた《吉野》(山種美術館)(下の写真左)。
桜の花がまるで雲海のように画面一面に広がる景色はとても幻想的です。
そして第2展示室は夜桜特集。
少し照明を落としているので、まるで月夜に桜を見ているような雰囲気が楽しめます。
桜の作品の中で私のお気に入りの一品は、第2展示室に展示されている速水御舟《あけぼの・春の宵》のうち「春の宵」(山種美術館)。
三日月のかすかな明かりの中に浮かび上がる桜の花、はらはらと散る花びらが何ともいえないロマンチックな雰囲気を醸し出しています。
オリジナルグッズも充実してます!
いつものことながら、山種美術館所蔵作品を中心にデザインしたオリジナルグッズも充実しています。
葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》をはじめとした展示作品がデザインされたA4クリアファイル(税込385円)、桜がデザインされた「マグネットカードスタンド 桜」(税込880円)をはじめ、富士山と桜のオリジナルグッズがたくさん揃っているので、ぜひミュージアムショップにもお立ち寄りください。
次回展関連イベントのチケットも発売中です!
5月20日(土)から始まる【特別展】小林古径 生誕140年記念 小林古径と速水御舟 ー画壇を揺るがした二人の天才ーの関連イベントのチケットも発売中です。
講演会「古径と御舟ー共鳴した二人の天才画家の知られざる物語」
日 時 2023年6月4日(日)14:00~15:00(開場・受付開始13:30)
講 師 山種美術館 山﨑妙子館長
参加費 500円(事前購入制/全席自由)
*参加には別途「小林古径と速水御舟展」入場券または半券が必要
会 場 國學院大學 院友開館
*渋谷区東4-12-8 山種美術館より徒歩3分
定 員 70名(先着順)
今年も公募展が開催されます!
今年で3回目を迎えた「Seed 山種美術館 日本画アワード 2024 ー未来をにな日本画新世代ー」。
今回から関西エリア(京都近郊)での作品の搬入受付が決定しました。応募期間は2023年8月16日(水)から9月10日(日)まで。
詳細は本展特設ページをご覧ください⇒http://www.yamatane-museum.jp/seed2024/
受賞・入選作品が展示公開される「Seed 山種美術館 日本画アワード 2024 ー未来をになう日本画新世代ー」[会期:2024年2月17日(土)~3月3日(日)]も楽しみです。