2025年8月28日木曜日

山種美術館 【特別展】江戸の人気絵師 夢の競演 宗達から写楽、広重まで 特集展示:太田記念美術館の楽しい浮世絵

東京・広尾の山種美術館では、【特別展】江戸の人気絵師 夢の競演 宗達から写楽、広重まで 特集展示:太田記念美術館の楽しい浮世絵が開催されています。

展覧会チラシ



浮世絵、琳派、文人画、狩野派に伊藤若冲。
今回の特別展は、百花繚乱、多士済々の江戸絵画シーンの中でも人気絵師たちの名作が一堂に会する展覧会です。そのうえ、浮世絵専門の美術館として知られる太田記念美術館から「楽しい浮世絵」が出展されてさらにパワーアップ!
まさに「夢の競演」が実現しているのです。

それではさっそく展示の様子をご紹介したいと思います。


展覧会開催概要



展覧会名 【特別展】江戸の人気絵師 夢の競演 宗達から写楽、広重まで 特集展示:太田  
     記念美術館の楽しい浮世絵 
会 場  山種美術館
会 期  2025年8月9日(土)~9月28日(日)
     ※浮世絵は前・後期で展示替え(前期:8/9-8/31、後期:9/2-9/28)
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日  月曜日(9/15(月・祝)は開館、9/16(火)は休館)
入館料  一般1400円、夏の学割  大学生・高校生500円
     中学生以下無料(付添者の同伴が必要)
※各種割引等は同館公式ホームページをご覧ください⇒https://www.yamatane-museum.jp/

展示構成
 第1章 山種美術館の浮世絵
 第2章 山種美術館の江戸絵画
 特集展示:太田記念美術館の楽しい浮世絵


※展示室内は次の1点を除き撮影禁止です。掲載した写真はプレス内覧会で美術館より許可を得て撮影したものです。

今回撮影可の作品は鈴木其一《四季花鳥図》(山種美術館)。スマートフォン・タブレット・携帯電話限定で写真撮影OKです。展示室内で撮影の注意事項をご確認ください。

鈴木其一《四季花鳥図》19世紀(江戸時代)
紙本金地・彩色 山種美術館 【全期展示】


見どころ1 人気絵師の代表作がそろう山種美術館の浮世絵コレクションを前・後期で一挙公開!



多色摺木版画の錦絵を完成させた鈴木春信、「清長風美人」で知られる鳥居清長、美人画で名高い喜多川歌麿に版元・蔦屋重三郎プロデュースによる東洲斎写楽、江戸時代後期のスーパースター、葛飾北斎歌川広重
同館が所蔵する江戸時代に活躍した六大絵師たちの代表作が前・後期で全点公開されます。
そのうえ、浮世絵は光や湿度などで傷みやすいのですが、同館の浮世絵コレクションは保存状態の良いものばかり。はっきり、くっきりと見ることができます。
(第1章、第2章の作品はすべて山種美術館所蔵です。)


「第1章 山種美術館の浮世絵」展示風景


展示室に入ってすぐにお出迎えしてくれるのは、東洲斎写楽《二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉》。
一度見たら忘れられないユニークな表情をした役者大首絵で知られる東洲斎写楽は、1794(寛政6)年にデビューしてわずか10カ月で忽然と画壇から姿を消した謎の絵師。
生没年も不詳でミステリアスなところも魅力なのですが、現存する約140点の役者絵や相撲絵はすべて蔦屋重三郎を版元としているので今年特に注目したい絵師のひとりです。

東洲斎写楽《二代目嵐龍蔵の金貸石部金吉》1794(寛政6)年
大判錦絵 山種美術館【前期展示(8/9-8/31)】

東洲斎写楽の作品は、ほかにも前期(8/9-8/31)に《八代目森田勘弥の駕籠舁鴬の次郎作》、後期(9/2-9/28)に《三代目坂田半五郎の藤川水右衛門》が展示されます。

そして後期(9/2-9/28)にお出迎えしてくれるのは、葛飾北斎の名作《冨嶽三十六景 凱風快晴》ですので、こちらも楽しみです。

葛飾北斎《冨嶽三十六景 凱風快晴》1830(文政13)年頃
大判錦絵 山種美術館【後期展示(9/2-9/28)】
  
  
歌川広重の代表作・保永堂版《東海道五拾三次》は前・後期で全作品が展示されます。
東海道を日本橋から京都まで徒歩で完全制覇した人は身近にもいますが、筆者はつまみ食い派。昔ながらの宿場町の雰囲気が残っている区間だけを歩いたり、丸子宿でとろろ汁を食べたりしたくらいなのですが、それでも展示を見ているだけで旅行気分が味わえます。


「第1章 山種美術館の浮世絵」展示風景

そしてさらに注目したいのは山種美術館が所蔵している《東海道五拾三次》のシリーズが最初期の摺りであることです。
版画では最初に摺られたものが初摺、2回目以降に摺られたものは後摺と呼ばれますが、後摺になると表現が省略されることがあります。
《東海道五拾三次之内 日本橋・朝之景》の画面上には空の左右に雲が摺られていて、少しずつ明るくなってくる時間の経過が感じられるのですが、後の摺りでは雲が省略されているので平板な印象を受けます(作品の左にある解説パネルをご参照ください)。


歌川広重《東海道五拾三次之内 日本橋・朝之景》1833-36(天保4-7)年頃
大判錦絵 山種美術館【前期展示(8/9-8/31)】


《東海道五拾三次》の向かいには鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿ほかの作品が展示されています。摺りの技法などの解説もあるので、とても参考になります。

「第1章 山種美術館の浮世絵」展示風景

NHK大河ドラマ「べらぼう」に登場している喜多川歌麿の作品はこのコーナーで見られます。前期(8/9-8/31)には《美人五面相 犬を抱く女》、後期(9/2-9/28)には《青楼七小町 鶴屋内 篠原》が展示されます。


喜多川歌麿《青楼七小町 鶴屋内 篠原》1794-95(寛政6-7)年頃
大判錦絵 山種美術館【後期展示(9/2-9/28) 】


見どころ2 太田記念美術館所蔵の「楽しい浮世絵」にご注目!

 
日本有数の浮世絵美術館として名高い太田記念美術館の15,000点を数える膨大なコレクションの中から、夏の風物詩の花火や秋のお月見、擬人化した動物たちが描かれた子ども向けのおもちゃ絵など、見ていて楽しくなる浮世絵がピックアップされています。
(「特集展示:太田記念美術館の楽しい浮世絵」の作品はすべて太田記念美術館所蔵です。)


「特集展示:太田記念美術館の楽しい浮世絵」展示風景

変わりダネのお月見は後期(9/2-9/28)に展示される歌川広重《名所江戸百景 上野山内月のまつ》。
上野公園内の上野清水観音堂前に生える松は、枝が円を描いているので、まるで満月のよう。この「月の松」は明治初期の台風被害で失われてしまいましたが、2012(平成24)年に復元されたので、今の私たちも同じような「月の松」を見ることができます。


歌川広重《名所江戸百景 上野山内月のまつ》1857(安政4)年
大判錦絵 太田記念美術館【後期展示9/2-9/28】 

蛸や猫、金魚や亀が擬人化した作品もとてもユニーク。

「特集展示:太田記念美術館の楽しい浮世絵」展示風景


後期にも見ていて楽しいおもちゃ絵が展示されます。

歌川芳藤は、横浜絵や武者絵などのほか、おもちゃ絵を描いたので「おもちゃ芳藤」と呼ばれましたが、猫好きで知られる歌川国芳の門人だけあって猫のしぐさや表情がとてもリアル。


歌川芳藤《しん板猫のたわむれ踊のをさらゐ》1868-77(明治元-10)年頃
大判錦絵 太田記念美術館【後期展示9/2-9/28】


芳藤はウサギも擬人化していました。力士には体の模様などにちなんだしこ名がついていて、画面上には東西の番付まで書かれているという凝りようです。

歌川芳藤《兔の相撲》1873(明治6)年
大判錦絵3枚続 太田記念美術館【後期展示9/2-9/28】


見どころ3 山種美術館所蔵の江戸絵画の名品が一堂に!


浮世絵の名品がそろっている展覧会ですので、やはり「浮世又兵衛」とよばれ、「浮世絵の祖」と伝説化された岩佐又兵衛の作品ははずせません。
豊頬長頤(ふっくらとした頬と長い顎)とよばれる顔立ちや細かな描写が、又兵衛らしい個性を感じさせてくれる作品です。
(第2章作品は、一部頁替え、巻替えがありますがその他はすべて全期間展示されます。)


岩佐又兵衛《官女観菊図》【重要文化財】17世紀(江戸時代)
紙本・墨画淡彩 山種美術館【全期展示】



こちらは同じ「祖」でも、江戸時代を通して続いた琳派の祖・俵屋宗達の絵と本阿弥光悦の書のコラボ作品《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》。
絵と文字の絶妙のバランスがよく、とても味わい深い作品です。

[絵]俵屋宗達 [書]本阿弥光悦《鹿下絵新古今集和歌巻断簡》17世紀(江戸時代)
紙本・金銀泥絵・墨書 山種美術館【全期展示】 


ほかにも江戸中期に京都で活躍した池大雅や伊藤若冲をはじめ、江戸時代を代表する絵師たちの優品がそろい踏みしています。

「第2章 山種美術館の江戸絵画」展示風景


これだけ充実した内容の展覧会ですので、展覧会出品作品をデザインしたグッズなど人気商品が盛りだくさん。ミュージアムショップで販売中です。




観覧後のひとときには、展覧会出品作品にちなんだオリジナル和菓子はいかがでしょうか。
1階「Cafe椿」では、お茶やスイーツが楽しめます。



まだまだ猛暑の日々が続きますので熱中症対策を万全にして、江戸絵画の名品が楽しめる【特別展】江戸の人気絵師 夢の競演 宗達から写楽、広重まで 特集展示:太田記念美術館の楽しい浮世絵をぜひご覧いただきたいです。
この夏おすすめの展覧会です。