待ちに待った展覧会が開幕しました!
明治から大正にかけて活躍して、花鳥画が海外から高い評価を受け、国内でも実力を認められながらも、今では「知る人ぞ知る日本画家」渡辺省亭の大回顧展が、東京・上野の森の東京藝術大学大学美術館で開催されています。
東京藝術大学キャンバス内の案内看板 |
展覧会概要
渡辺省亭「-欧米を魅了した花鳥画-」
会 期 2021年3月27日(土)~5月23日(日)
前 期 3月27日(土)~4月25日(日)
後 期 4月27日(火)~5月23日(日)
開館時間 午前10時~午後5時(入館は閉館の30分前まで)
休館日 毎週月曜日(ただし5月3日は開館)
観覧料 一般 1,700円 高校・大学生 1,200円
※本展は事前予約制ではありません。ただし、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、混雑状況により入場をお待ちいただく場合があります。
※展覧会の詳細、新型コロナウィルス感染症対策等については展覧会公式サイトをご参照ください⇒https://seitei2021.jp
※本展覧会は、緊急事態宣言の発令に伴い、4月25日(日)から臨時休館していましたが、5月23日の会期終了を以て閉幕します。
※下記の会場に巡回しますので、ご興味のある方はぜひご覧ください!
その後、岡崎会場(岡崎市美術博物館 5/29-7/11)、三島会場(佐野美術館 7/17-8/29)に巡回します。
※展示室内は撮影禁止です。掲載した写真は内覧会で美術館より特別の許可を得て撮影したものです。
展覧会の見どころご紹介!
見どころ1 海外からの里帰り作品や貴重な個人コレクションが見られる
今回の展覧会の見どころの一つは、海外からの初めての里帰り作品や貴重な個人コレクションを含む省亭の画業の全容が見られること。
コロナ禍の影響で海外との交流が制限される中、スタッフのみなさまのご努力は並大抵のものではなかったと思います。このような時期に海外の作品が見られることはありがたいことです。今回を見逃すと二度と見ることのできない作品もあるかもしれません。
「欧米を魅了した花鳥画」のコーナーには、明治11(1878)年、万博の開催を機にパリを訪れた省亭が滞在中に交流したエドガー・ドガの旧蔵品《鳥図(枝にとまる鳥)》(アメリカ・クラーク美術館)や、アメリカの実業家が河鍋暁斎に依頼して、暁斎没後に省亭に引き継がれ完成した『花鳥魚鰕画冊』(メトロポリタン美術館)の作品ほかが展示されています(いずれも通期展示、日本初公開)。
※海外の新型コロナウィルス感染症拡大状況により、変更される場合があります。
見どころ2 展示室のレイアウトが凝っていて、とてもいい雰囲気
地下2階の第一会場で映されているビデオで予習をしたあと、第二会場に入って驚いたのが、とてもいい雰囲気のレイアウト。
入口でお出迎えしてくれるのは、国宝・迎賓館赤坂離宮の「花鳥の間」に飾られている、七宝作家・濤川惣助との共作「七宝額絵」の原画。
ご覧のとおり、おしゃれな飾りのついた額におさまって、落ち着いた茶色系の壁に架かった「七宝額原画」。描かれているのは色とりどりの花鳥や海の幸。
まるでここは「ミニ迎賓館」。最高のおもてなしの間です。
「迎賓館赤坂離宮 七宝額原画」(東京国立博物館) 前期後期で展示替えあり |
3階の第三会場もまったく想定外のレイアウト。
広々とした空間に個別の展示ケースに入った作品が、まるでダンスを踊るかのように展示されています。
とは言っても展示ケースは動かないので、動くのは見る人の方。
ダンスホールで次々とパートナーをかえてダンスを踊るかのように、一つひとつの作品に向かい合って楽しむことができます。
後期に展示される作品の中で特に楽しみなのが、《十二ヶ月花鳥図》。
《十二ヶ月花鳥図》と言えば江戸琳派の祖・酒井抱一の名前が思い浮かんできますが、省亭の《十二ヶ月花鳥図》は、やはり省亭風の味わい。
十二幅がずらりと並ぶさまは、さぞかし壮観なことでしょう。後期展示も楽しみです。
画風も円熟味を増してきた明治30年代以降は、画壇との距離を置いて、我が道を進んだ省亭の生きざまにも惹かれます。
孤高の日本画家、渡辺省亭の作品が存分に楽しめる展覧会です。