2019年8月14日水曜日

お気に入りの作品に投票しよう!~Seed山種美術館 日本画アワード2019

東京・広尾の山種美術館では、公募展「Seed山種美術館 日本画アワード2019 -未来をになう日本画新世代-」が開催されています。


この展覧会は、3年前に開催された第1回「Seed山種美術館 日本画アワード2016」に続く第2回目、1971年に創設された「山種美術館賞」から通算すると16回目の公募展。

189点の応募作品の中から選ばれた若手日本画家たちの受賞・入選作品44点が展示されていて、どれも力作ばかりで見ごたえのある内容です。

【展覧会概要】
会 期  8月10日(土)~8月23日(金)
開館時間 午前10時から午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日  8月13日(火)、19日(月)
入館料  一般 700円ほか
8/17(土)、8/18(日)には受賞・入選画家によるアーティストトークがあります。
展覧会詳細は山種美術館公式サイトをご覧ください→http://www.yamatane-museum.jp/

※今回撮影可の作品は次の3点です。
  大賞  安原成美《雨後のほほ》
  優秀賞 青木秀明《鴯鶓(エミュー)ノ図-飛べない鳥-》
  特別賞(セイコー賞) 近藤守《nostalgie》

中央が大賞・安原成美《雨後のほほ》、
左が優秀賞・青木秀明《鴯鶓(エミュー)ノ図-飛べない鳥-》、
右が特別賞(セイコー賞)・近藤守《nostalgie》

※掲載した写真は、美術館より特別の許可をいただいて撮影したものです。

館内風景



内覧会では、若手画家のみなさんにご自身の作品について語っていただき、こちらの質問にも丁寧に対応していただきました。本来であれば、若手画家のみなさんからお話をおうかがいしたかったのですが、とても時間が足りなかったので、私が特に気になった作品の画家の方にお話をおうかがいしました。

はじめは、入選作品《揺らぐ森》を描いた水津達大さん。


入選・水津達大《揺らぐ森》


以前別の会場で水津さんの作品を見たときは青色の海の絵だったような記憶があるのですが、今回は緑を中心とした森と池の作品。
(2016年の図録を見ると入選作品《水辺》は群青色の海が印象的な作品でした。)

今回はなぜ緑なのでしょうか。
水津さん「私にとって森は緑に見えるからです。」
単純明快です。
でもそれだけではありません。木々の緑が写っていない水面は白一色、そして緑一面の画面右には一筋の赤色が。これは何を意味するのでしょうか。
ありふれた森の景色のようで実はミステリアス。
それに静かな森のようで、タイトルは《揺らぐ森》。
謎は解明するより、謎のままでそっとしておいた方がいいのかもしれません。


続いてインドに取材することが多いという佐々木真士さんの《ガンジス河畔》。

入選・佐々木真士《ガンジス河畔》


この水面の輝きは何で表現しているのでしょうか。
佐々木さん「これはアルミ泥です。」
金泥や銀泥は知っていましたが、今ではアルミ泥まであるとのこと。
銀泥は酸化して黒変しますが、アルミ泥だと輝きは長持ちしますね。

さらにアルミ泥には胡粉を混ぜています。
「金属泥に胡粉を混ぜると波紋の輝きが際立てくるのです。」と佐々木さん。
この技法は、今では奇想の系譜に位置づけられる京狩野二代目・狩野山雪《雪汀水禽図》の水面の表現から着想したとのこと。
そして竹で組まれた手前の小屋の下の影は酸化した銀を使ったいぶし銀。
若手画家の作品も古来からの日本絵画の伝統に裏打ちされているのです。

しかし、それだけで感心してはいけません。
この小屋の板に注目してください。本来であれば日よけとなる上の白い布と平行でなくてはならないのですが、板はこちらを向いています。これはまさにキュビズム?

表現が平板にならないようにアクセントをつけたという佐々木さん。
細部まで工夫を凝らして作品を描いているのがわかります。

こちらは、見た瞬間「なぜかわからないけど惹かれる作品」と感じた長澤耕平さんの《日本橋の風景》。画面上の直線は首都高、右には日本橋、そして川の向こうにはオフィスビル群。四角で構成された画面が安定感を感じさせます。

入選・長澤耕平《日本橋の風景》

「橋を描くのが好き。」という長澤さん。
図録でも書かれているように、向こう岸への憧れを感じさせてくれるところがこの作品に惹かれた理由なのかもしれません。

こちらは今回の展覧会の協賛・セイコーホールディングス株式会社の特別賞(セイコー賞)に輝いた近藤守さんの《nostalgie》。

特別賞(セイコー賞)・近藤守《nostalgie》
西武池袋駅と杉並木を重ね合わせたという幻想的な作品。
一見すると合成写真のようですが、近くで見ると墨と岩絵具で丁寧に描かれているのがわかります。

そして、最後に紹介するのが大賞に輝いた安原成美さんの《雨後のほほ》。

大賞・安原成美《雨後のほほ》

緑であるはずのほほ(朴の木)の葉が群青色に描かれ、背景は胡粉の白だけでなく、葉の付近はかすかに黄色を帯びていて、雨上がりの様子が見事に表現されています。

このように一つひとつの作品を細かく見ていくのは大変ですが、細かく見れば見るほど、そして想像力をふくらませばふくらますほど味わいが増すこと間違いなしの作品ばかりです。

受賞・入選作品が全部で44点。ぜひじっくり見ていただきたいです。
(第2展示室には、酒井抱一《秋草鶉図》(重要美術品)ほか山種美術館所蔵作品が展示されています。)
もし時間があればればアーティストトークのある日に行くのがおススメです。

そしてお気に入りの作品があればぜひ投票しましょう。
お好きな作品すべてに投票できます(ただし同じ作品には1名1票)。
作品人気投票の詳細はこちらです→http://www.yamatane-museum.jp/2019/08/seed-2019-4.html

ミュージアムショップでは、今回と前回の「Seed山種美術館 日本画アワード」の図録が販売されています。お値段は1,000円+税。ハンディサイズなので手に持ちながら作品を見るのにも便利です。


会期は8月23日(金)まで。
期間は短かいですが、若手日本画家のみなさんの息吹をぜひ感じとっていただきたいです。

 

2019年8月12日月曜日

京都画壇の作品が上野に大集合!~東京藝術大学大学美術館「円山応挙から近代京都画壇へ」

京都画壇の作品が上野に大集合!

東京・上野公園の東京藝術大学大学美術館では「円山応挙から近代京都画壇へ」展が開催されています。


今回の展覧会は、タイトルのとおり江戸時代中期に京都で活躍した円山応挙(1733-1795)に始まり、明治、大正、昭和初期の近代日本画まで、京都画壇の作品が大挙して東京にやって来るという、これまでにない規模の展覧会。
そして、応挙晩年の襖絵で知られた、兵庫県香住の大乗寺の襖絵も東京で約10年ぶりに公開されるという豪華版。

暑い日が続く今年の夏も各地で美術展が開催されていますが、この「円山応挙から近代京都画壇へ」展は、けっして見逃すことができない展覧会のひとつです。

【展覧会の概要】
会 期  8月3日(土)~9月29日(日)
 前期は9月1日(日)まで、後期は9月3日(火)から
 前期後期で大幅な展示替えがあります。ただし、大乗寺襖絵は通期展示。
開館時間 午前10時~午後5時(入館は閉館の30分前まで)
休館日 毎週月曜日(祝日又は振替休日の場合は開館、翌日休館)
観覧料 一般 1,500円ほか
展覧会公式サイトはこちら→https://okyokindai2019.exhibit.jp/

京都国立近代美術館に巡回します。
会 期 11月2日(土)~12月15日(日)

※撮影した写真は、内覧会で美術館の特別の許可を得て撮影したものです。
※内覧会では、東京藝術大学大学美術館 古田亮准教授、京都国立近代美術館学芸課研究員 平井啓修さんのギャラリートークをおうかがいしました。

さて、豪華な内容の展覧会で見どころいっぱいなのですが、ここからは特におススメしたいポイントを紹介していきます。

ポイント1 贅沢な空間をお楽しみいただけます

美術館入口を入ってまずは3階に向かいます。
全部で4章構成になっている展覧会のうち、最初の章は「すべては応挙にはじまる。」
入ってすぐに私たちの目の前に現れてくるのは、広々とした空間に展示された応挙による大乗寺襖絵《松に孔雀図》。

円山応挙《松に孔雀図》(兵庫・大乗寺)重要文化財
通期展示
照明も凝っていて、朝の光を意識したほの明るいものになっています。角度をかえて見てみると、墨一色で描かれているのに、松の葉は緑、孔雀の羽根は茶色に見えてくるから不思議です。
まずはこの贅沢な空間で応挙最晩年の傑作をゆったりとお楽しみください。

通期展示される大乗寺の襖絵は、上から見るとX型になっている展示ケースに展示されています。ということは襖絵の両面が見られるということ。
順路にしたがって左から回ると、呉春《群山露頂図》、山本守礼《少年行図》、呉春《四季耕作図》と続きます。
上の写真右側、立派な姿の松の後ろに描かれているのは呉春《四季耕作図》。

呉春《四季耕作図》(兵庫・大乗寺)重要文化財
通期展示

円山応挙とその弟子たちが描き、165面が重要文化財に指定されている大乗寺客殿の襖絵は現在では収蔵庫に収めれられ、レプリカに置き換えられているので、今が本物を見ることができる絶好のチャンスです。

さて、大乗寺の客殿は、中央の仏間の持仏、十一面観音を中心として四方を四天王が守護するという仏教的な意味をもった立体曼荼羅になっています。
なぜ正面に孔雀が描かれているのか、正面から見て右側になぜ農耕の絵が描かれているのか、それぞれ意味があるのですが、それは大乗寺の山岨眞應(やまそばしんのう)副住職の音声ガイドのスペシャル解説でお聞きください。
音声ガイドは1台550円、ナビゲーターは声優の羽多野渉さん、解説ナレーションは藤村紀子さんです。

地下2階の会場に移って3つめの章「山、川、滝。自然を写す。」。風景画のコーナーです。(説明の都合で順番は前後しますが、実際の順路は3階→地下2階です。)
ここでのおススメは明治から昭和初期に京都で活躍した木島櫻谷の《山水図》。

木島櫻谷《山水図》(株式会社 千總)
前期展示
写真でおわかりになりますでしょうか。
この展示ケースは両側が手前に向かって少しカーブしています。
雄大な景色の《山水図》が、まるで見る人を優しく包み込むように迎えてくれるのです。今回の展覧会のために特注されたというこの展示ケース。演出効果は大きいです。
後期には川の流れが迫力たっぷりの円山応挙《保津川図》(重要文化財)が展示されるので、こちらも楽しみです。

ポイント2 見たままをお楽しみいただけます

円山応挙は当時としては珍しく「写生」を重んじました。
今では当然のことなのかもしれませんが、形式を重んじる狩野派、土佐派、住吉派が主流だった時代に「写生」は革新的なことだったのです。
そして、「写生」であれば、自然を見たままに描くので、見る人たちは時代的な背景や中国の故事を知らなくても楽しむことができたのます。

3階の展示室に戻ります。

2つめの章は「孔雀、虎、犬。命を描く。」。動物たちのコーナーです。

虎といえば岸駒に始まる岸派。幕末から明治期にかけて活躍した岸竹堂の迫力ある《猛虎図》がお出迎え。
岸竹堂《猛虎図》(株式会社 千總)
前期展示
下の写真右は応挙の弟子・長沢芦雪の《牡丹孔雀図》。
奔放な性格の芦雪でしたが、師・応挙に負けないくらいの立派な孔雀を描いています。奔放といっても技量は確かでした。
でも芦雪らしい遊び心も見逃せないです。
画面中央右の白い花の下には蜘蛛の巣がかかっていますが、蜘蛛は描かれていません。画面右下の雀が蜘蛛をくちばしでくわえているのです。
右から長沢芦雪《牡丹孔雀図》(公益財団法人阪急文化財団 逸翁美術館)、
奥文鳴《寒塘水禽図》(敦賀市立博物館)、都路華香《雪中鷲図》
いずれも前期展示
岸派の祖、岸駒の虎もいます。下の写真中央は眼光鋭い虎が今にも飛びかかってきそうな岸駒の《松虎図》。
そして左は今回の新発見は《魚介尽くし》。明治5~6年頃に森寛斎ほか、当時の京都画壇の日本画家たち20数名で描いた作品。
一見すると一人の画家が描いたのではと思えるくらい調和のとれた構図。
「宴会の余興に描いたものではないでしょう。京都画壇の組織力を感じます。」と古田さん。

右から、幸野楳嶺《敗荷鴛鴦図》(敦賀市立博物館)、
岸駒《松虎図》(公益財団法人 角屋保存会)、以上前期展示
森寛斎ほか《魚介尽くし》通期展示
ふたたび地下2階の展示室に移ります。4つめの章は「美人、仙人。物語を紡ぐ。」。人物画のコーナーです。

はじめに応挙の作品から。
下の写真左《江口君図》の女性の頭頂部の束ねた髪からほつれる髪の毛を一本一本丁寧に描いています。
「応挙の観察眼と力量のすごさがわかる作品です。」と平井さん。
左が円山応挙《江口君図》(静嘉堂文庫美術館)重要美術品、
右が幸野楳嶺《洞房粧雨図》、いずれも前期展示
こちらには同じ題材の作品が三点並んでいます。三国志に出てくる「三顧の礼
」で知られる、劉備、関羽、張飛の三人が雪の中、軍師として招こうとした諸葛孔明の元に向かっている場面を描いた《風雪三顧図》です。
いずれも《風雪三顧図》で、右から中島来章(京都府(京都文化博物館管理))、
呉春(奈良県立美術館)、円山応挙(京都・相国寺)
いずれも前期展示
円山派の祖・応挙、四条派の祖・呉春、そして円山派から四条派に移った中島来章。
一言で「円山・四条派」といっても、構図、人物、背景とも全く違って描かれています。

江戸中期以降、京都には多くの流派が生まれました。

円山応挙から始まった円山派、呉春に始まる四条派、さらに虎といえば先ほど紹介した岸派、猿といえば森狙仙と森徹山の森派、精緻な筆遣いの原在中を祖とする原派、豪快な絵を描く鈴木松年の鈴木派(鈴木派の祖は松年の父・鈴木百年)。まさに百花繚乱。

それぞれの流派の画風は何となく違うなというのはわかるのですが、古田さんの解説をおうかがいして納得しました。
「円山・四条派とは、江戸派に対する京都派の代名詞では。」

そして、「流派に係わりなく、互いに学びあいながら自らを高めていきました。横のつながりが強かったのです。」と説明されたのは平井さん。


今回の展覧会は、一人の画家の作品が飛び抜けて多くなく、幅広く多くの画家の作品が展示されています。
あまり難しく考えないで、自分なりに流派の違い、または個性の違いを感じ取りながら、京都画壇全体の雰囲気を楽しめればいいのかもしれません。

ちなみに、私にとっての呉春のイメージは、「今でもどこかにいそうで、人の良さそうなおじさんが描かれていたら呉春」です。

左が呉春《山中採薬図》(公益財団法人阪急文化財団 逸翁美術館)、
中央が円山応瑞、冷泉為泰賛《加茂競馬図》(泉屋博古館)、
右が岸駒《南極老人図》(敦賀市立博物館)
いずれも前期展示

美術館2階のミュージアムショップでは、兵庫・大乗寺客殿の写真も多く掲載された図録を販売しています。図録だけで2,646円。長沢芦雪《薔薇蝶狗子図》のかわいらしい犬をデザインした図録バッグとセットで3,510円。
作品の図版や解説はもちろん、円山・四条派の系譜や画家の解説もあります。まさに円山・四条派の決定版!

さて、駆け足で展覧会を紹介してきましたが、「円山応挙から近代京都画壇へ」展はいかがだったでしょうか。
近代京都画壇のキーパーソン・幸野楳嶺を作品紹介だけにしたりなど、かなりはしょってしまっい、とても全てをお伝えすることはできないほどの充実した内容です。ぜひともその場でご覧になっていただきたい展覧会です。
この機会に京都画壇の粋をお楽しみください。






2019年7月7日日曜日

すみだ北斎美術館「フリーア美術館の北斎展」~フリーアの北斎肉筆画が見たい!

フリーア美術館の北斎肉筆画が見たい!

すみだ北斎美術館で開催中の企画展「フリーア美術館の北斎展」はそんな願いをかなえてくれるとても素晴らしい展覧会です。


「えっ、まさか!」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
そうです。
日本美術の宝庫として知られる国立スミソニアン協会フリーア美術館(アメリカ・ワシントンD.C.)は、作品を収集した実業家チャールズ・ラング・フリーア氏(1854-1919)の遺言で、所蔵作品はすべて門外不出とされているからです。

そこで登場するのが数多くの高精細複製品を制作して寺社や美術館等に寄贈している「綴プロジェクト(文化財未来継承プロジェクト)」。


綴プロジェクトは、オリジナル文化財の保存と高精細複製品の活用を目的として、特定非営利活動法人 京都文化協会とキャノン株式会社が推進している社会貢献活動です。
みなさんも綴プロジェクトの高精細複製作品をどこかでご覧になっているのではないでしょうか。

今回の企画展は、綴プロジェクトが制作してすみだ北斎美術館に寄贈した13点が前期後期ですべて見ることができる豪華な展覧会。

さて、展示室内はどのようになっているのでしょうか。
先日開催された特別ギャラリートークに参加しましたので、さっそくそのときの様子を紹介していきましょう。
※企画展「フリーア美術館の北斎展」展示室内は撮影禁止です。掲載した画像は美術館の特別の許可をいただき撮影したものです。

展覧会概要
会 期  6月25日(火)~8月25日(日)
 前期 6月25日(火)~7月28日(日) 後期 7月30日(火)~8月25日(日)
開館時間 9時30分~17時30分(入館は17時まで)
休館日 7/1(月)、8(月)、16(火)、22(月)、29(月)、8/5(月)、13(火)、19(月)
観覧料(AURORA(常設展示室)観覧料含む) 一般 1,000円ほか
関連イベントもあります。詳細はこちらでご確認ください→すみだ北斎美術館

スタートは4階の第1展示室です。

第1展示室入口

中に入るとフリーア美術館の正面の写真がバーンと出てきます。
このレイアウトいいですね。まるでフリーア美術館に来たような気分になります。
ウェルカム・トゥ・フリーア・ギャラリー・オブ・アート!


第1展示室に入って見えてくるのは奥に展示されている「玉川六景図」。

葛飾北斎「玉川六景図」高精細複製画(通期)
原画:フリーア美術館蔵
Facsimiles of works in the collection of the Freer Gallery of Art,
Smithsonian Institution,Washington DC:Gift of Charles Lang Freer,F1904.204-205
  
和歌に詠みこまれた6つの玉川(京都、大阪、和歌山、滋賀、東京、宮城)を題材とした六曲一双の屏風です。
こちらはもちろん高精細複製画ですが、近くで見てもこのリアルさ。

葛飾北斎「玉川六景図」高精細複製画(通期)(部分)
原画:フリーア美術館蔵
Facsimiles of works in the collection of the Freer Gallery of Art,
Smithsonian Institution,Washington DC:Gift of Charles Lang Freer,F1904.204-205 

この展覧会は5章構成になっていて、この第1展示室は第1章。

第1章 「玉川六景図」の研究

フリーア美術館ではこの「玉川六景図」は、右隻に人物、左隻に風景が配置されていますが、明治期に発行された雑誌『日本美術画報』初編巻九に掲載された写真によると人物と風景が交互に配置されていました。
ここに展示されている作品は、これに倣って配置されています。

「(人物と風景が交互に配置されている)こちらの方が目にやさしいように感じます。」と今回のギャラリートークで作品の解説をしていただいた、フリーア美術館日本美術担当学芸員のフランク・フェルテンズさん。
もともとの専門は琳派で、フリーア美術館に入って北斎の研究を始め、北斎の人となりと芸術を尊敬するようになったというフェルテンズさん(下の写真中央)。日本語堪能でとても気さくな方です。左は今回の特別ギャラリートークのモデレーター、アートブログ「青い日記帳」主宰のTakさんです。


「門外不出」のフリーア美術館の学芸員として日本美術を日本の人たちとどのようにシェアしていけばいいのか悩んでいたというフェルテンズさん。
今回のプロジェクトでそれが実現しましたが、高精細複製画を見て「本物と変わらないくらいでこわいです(笑)。」

「北斎の画風のすべてがこの屏風に盛り込まれています。」とフェルテンズさん。
「人物の表情、年齢、それに庶民や貴族といった社会的ステータスまで、北斎は深く分析して描いています。人物の顔や姿勢など、近くでよく見比べていただきたいです。」

3階の第2展示室に移りましょう。


第2章 古典と伝説

ドーンと地を揺るがすような轟音が聞こえてきそうな雷神が出てきました。

葛飾北斎「雷神図」高精細複製画(通期)
原画:フリーア美術館蔵
Facsimiles of works in the collection of the Freer Gallery of Art,
Smithsonian Institution,Washington DC:Gift of Charles Lang Freer,F1900.47 


フェルテンズさん「この作品の見どころは雲の動きです。雷神がいかにも雲から出てきたばかりといった動きをしています。」
そして、ほぼ画面全体に描かれた黒い点にも注目です。
「この点々を描くときの北斎の気合の入った動きが想像できます。」

北斎はきっとこんな感じで描いていたのでしょう。
4階のAURORA(常設展示室)の北斎さん。そして後ろは北斎を支えた娘の阿栄(おえい)。
AURORA(常設展示室)は一部を除き撮影可。企画展のチケットがあればこちらも入れます。
ぜひ北斎さんにご挨拶しましょう。ただし、制作の邪魔をするとおこられるのでご用心。




第3章 美人画

続いて美人画のコーナー。
こちらは双幅の「新年風俗図(初夢・朝化粧)」。
正月を迎える風習を描いた場面で、右幅は正月にいい夢を見ることを願って宝船を描いた紙を折りたたんで枕の下に敷くところを描いています。
ぐいっと前に傾けた首が、願いの強さを物語っているようです。
左幅は、元旦に初めて汲んだ若水で手や顔を洗う初手水という儀式に臨もうとしている女性を描いたもの。若水を入れた漆器の水入れを右手で持って、左手を丁寧に添えているところに新年の行事の厳かさを感じます。

葛飾北斎「新年風俗図(初夢・朝化粧)」高精細複製画(通期)
原画:フリーア美術館蔵
Facsimiles of works in the collection of the Freer Gallery of Art,
Smithsonian Institution,Washington DC:Gift of Charles Lang Freer,F1903.52,F1903.53 


細部にも注目です。女性の着ている着物の柄、右幅下の紙に描かれた宝船、左幅の水入れの蒔絵の柄、水を受ける容器の横に描かれた山水画。どれも丁寧に描かれているので、ぜひ近くでご覧になってください。

単眼鏡で見ていたら、生地の絹目までよく見えました。
「この作品は絹地に描かれているんだな。」と納得しましたが、よくよく考えてみるとこれは複製画。綴プロジェクトの高精細複製画おそるべしです。


第4章 動物と植物

小上がりに敷かれた畳の上に展示されているのは「十二ヶ月花鳥図」。
ガラスケースはありません。
「こんにちはー」と言って知り合いのお宅のおじゃましたような気分で作品を楽しみましょう。
葛飾北斎「十二ヶ月花鳥図」高精細複製画(前期)
原画:フリーア美術館蔵
Facsimiles of works in the collection of the Freer Gallery of Art,
Smithsonian Institution,Washington DC:Gift of Charles Lang Freer,F1904.179-180 

酒井抱一で見慣れた「十二ヶ月花鳥図」とは少し趣が違って、花鳥図といいつつ亀が気持ちよさそうに泳いでいたりします。
「江戸後期の新しい解釈で描かれた十二ヶ月花鳥図です。」とフェルテンズさん。
この作品は落款がなかったのですが、作風から最近になって北斎の真筆と判断されたとのことです。

今回の展示の特徴は、フリーア美術館所蔵作品の複製画と、それに関連するすみだ北斎美術館所蔵作品が並んで展示されていることです。
こちらはすみだ北斎美術館所蔵の「亀」。亀が水の中を涼しげに泳いでいます。

葛飾北斎「亀」(すみだ北斎美術館蔵)
前期展示

この「十二ヶ月花鳥図」は前期のみの展示ですが、後期には同じく高精細複製画の六曲一双の屏風「富士田園景図」が展示されるのでこちらも楽しみです。

第5章 自然と風景

そして展覧会のフィニッシュを飾るのは、こちらに迫りくる波濤に圧倒されそうな「波濤図」。
「波濤の先端が卍の形をしているのが北斎の波の特徴です。」とフェルテンズさん。
大胆な波濤と突き出す岩の向こうには浜伝いに並ぶ民家が小さく描かれています。
「北斎の人気の理由は、日本の伝統的な技法に加え、遠近法のように西洋の技法を取り入れていること。だから今の人たちにも親しみやすいのではないでしょうか。」

葛飾北斎「波濤図」高精細複製画(通期)
原画:フリーア美術館蔵
Facsimiles of works in the collection of the Freer Gallery of Art,
Smithsonian Institution,Washington DC:Gift of Charles Lang Freer,F1905.276 


隣に並ぶのはご存じ「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」。
北斎の波の競演です。

葛飾北斎「富嶽三十六景 神奈川沖浪裏」
(すみだ北斎美術館)前期後期とも展示

展示を見終わって3階ホワイエに出ると北斎の波の競演がお出迎え。
ここは撮影スポットなので、来館記念に北斎の波と一緒にぜひ1枚!



こちらは今回の企画展のリーフレット。
各章ごとの見どころがオールカラーで紹介されています。
これで税込300円とお手頃な値段。こちらも来館記念におススメです。


13点の高精細複製画の展示は次のとおりです。
通期展示 7点
「玉川六景図」「雷神図」「琵琶に白蛇図」「新年風俗図(初夢・朝化粧)」「鍋冠祭図」「蟹尽し図」「波濤図」
前期のみ展示 3点
「源氏物語 早蕨図」「遊女図」「十二ヶ月花鳥図」
後期のみ展示 3点
「漁樵問答図」「年始まわりの遊女図」「富士田園景図」

せっかくの機会ですので13点コンプリートに挑戦してみてはいかがでしょうか。







2019年6月24日月曜日

山種美術館「速水御舟展」~山種の御舟コレクションがすべて見られる!

東京・広尾の山種美術館では「生誕125年記念 速水御舟展」が開催されています。

今回の展覧会は、山種美術館の広尾開館10周年を記念して開催される特別展の第3弾。
同館の顔ともいえる御舟コレクション120点のすべてが前期後期に分けて紹介されるという超豪華な内容の展覧会です。


【展覧会の概要】
 会期 6月8日(土)~8月4日(日)
    前期 6月8日(土)~7月7日(日) 後期 7月9日(火)~8月4日(日)
 開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
 休館日  月曜日(ただし7月15日(月・祝)は開館、7月16日(火)は休館)
 入館料  一般 1,200円ほか
 ギャラリートークなどのイベントもあります。展覧会の詳細はこちらをご覧ください→山種美術館公式ホームページ

※撮影した写真は、内覧会で美術館の特別の許可を得て撮影したものです。
※今回展示されている作品はすべて速水御舟作で山種美術館蔵です。

内覧会では、山下裕二さん(公益財団法人山種美術館評議員、山種美術館顧問、明治学院大学教授)のスライドを使った見どころ解説と山﨑妙子館長のギャラリートークをおうかがいしました。

それではさっそく展示室内をご案内していきましょう。

今回山下さんのお話をおうかがいして気がついたことは、御舟が日本や中国の古典を地道に勉強して、それを自身の作品に反映させていることでした。

例えばこの作品。
第1展示室に入ってすぐにお出迎えしてくれる《春昼》。

《春昼》(1924(大正13)年) 全期間展示
山下さんお気に入りの《春昼》は、昼下がりの農家の軒先を描いた、一見のどかな農村のありふれた場面ですが、「入口の先の闇がぞっとする迫力」(山下さん)が感じられる作品。
入口から見える家の中にはうっすらとはしごが見えます。

そして細部を見てみましょう。
軒下には鳩が舞っていますが、国宝《北野天神縁起絵巻(承久本)》(北野天満宮)に出てくる
北野天満宮の上を鳩が舞う場面を御舟が自分なりに作品に反映させたものだったのです。

続いて第1章へ。

展覧会は4章構成になっていて、1894(明治27)年に生まれ、1935(昭和10)年にわずか40年の短い生涯を終えた御舟の作品がほぼ年代順に4章構成になって展示されています。

第1章 画塾からの出発

御舟は、14歳の若さで歴史画家・松本楓湖の「安雅堂画塾」に入門します。そこで学んだ古典の成果が出たのが《瘤取之巻》。

『宇治拾遺物語』にも登場する瘤取爺の説話をもとに描いたこの作品は、まるで平安時代の絵巻の模写のようですが、実際に「瘤取之巻」という絵巻はなく、これは御舟のオリジナル。
それでも、《信貴山縁起絵巻》(国宝 朝護孫子寺)や《伴大納言絵巻》(国宝 出光美術館)などで描かれた人物や草木の描写をとり入れているので、このころ御舟が古典をよく学習していたことがわかります。
《瘤取之巻》(1911(明治44)年)
 前期後期で巻替あり

いかにも平安時代の絵巻に出てきそうな姿かたちの人たちや家、それに背景の草木。
ぜひ近くでじっくりご覧になってください。

《瘤取之巻》(部分)
こちらは1917(大正6)年、23歳で描いた《山科秋》。

《山科秋》(1917(大正6)年)
 全期間展示

この作品を前にして「これは御舟の作品ではない!作者は今村紫紅に違いない!」と思ったのですが、それもそのはず。御舟は安雅堂画塾で出会った先輩・今村紫紅の影響を受けて、大正初期に南画風の作品を描いたのです。
この頃、御舟は黄土色が好きで「黄土中毒になったが、黄土なしに描くことにしたら、今度は群青中毒になった」と語っています。木々の群青が鮮やかです。

第2章 古典への挑戦

常に新しいスタイルをめざした御舟が次に試みたのは中国・宋代の院体画でした。
院体画というと日本にも大きな影響を与えた南宋の馬遠や夏珪を思い浮べますが、もう一人忘れてはいけない人がいます。
そうです、芸術にうつつを抜かして宋(北宋)を滅亡に導いたとされる「風流天子」徽宗皇帝(在位 1100-25)です。

こちらは御舟が1923(大正12)年、29歳の時に描いた《桃花》。

《桃花》(1923(大正12)年)
 全期間展示

御舟の長女の初節句のために描かれた作品で、枝の一部や切り取った枝を描く院体画の様式「切枝画(せっしが)」を意識しています。そして画面左端の落款は、徽宗皇帝が創出した書体・痩金体(そうきんたい)風に細い字体で書くほどの凝りようです。

とは言っても真似っこだけではないのが御舟の真骨頂。
同じ年に描いた《柿》では柿の影を描くという、院体画にはない新たな試みを行っています。
落款は痩金体にこだわっています。

《柿》(1923(大正12)年) 
全期間展示
中国絵画だけではありません。
昭和に入ると、御舟は琳派もしっかり押さるようになります。

琳派のアイコンといえば「梅」。
こちらはいかにも琳派風の《紅梅》《白梅》。


右から《紅梅》《白梅》(1929(昭和4)年) 
全期間展示

この作品は山種美術館初代館長・山﨑種二氏のお気に入りの作品で、よく自宅に掛けていたそうです。
山﨑館長は、子どものころ祖父・山﨑種二氏の膝の上に乗ってこの絵を見ていたとのことですが、子ども心に「怖い感じの鋭さ」を感じたそうです。

こちらは同じく琳派風の《翠苔緑芝》ですが、ここに描かれた風景は、現実にはない何か人工的な空間のようで、「おお、シュルレアリズム!」といつも感じていた作品です。
省略と余白、大胆な構図、そして細部では左隻のウサギの飛んだり跳ねたりする姿が京都・養源院にある俵屋宗達の杉戸絵《唐獅子》(重要文化財)からヒントを得ているなど、琳派の影響はあるのでしょうが、「キュビズムを意識している」(山﨑館長)御舟の作品は琳派風であっても琳派とは一味違うようです。

《翠苔緑芝》(1928(昭和3)年) 
全期間展示
この作品だけ写真撮影可です。


重要文化財《名樹散椿》は、1930(昭和5)年、イタリア政府主催のローマ日本美術展覧会に出品された作品です。
この展覧会は、大倉財閥の二代目、大倉喜七郎男爵がスポンサーになり、横山大観はじめ当時の代表的な日本画家たちの力作177点が出品された大規模なものでした。

《名樹散椿》【重要文化財】(1929(昭和4)年) 
この作品は前期のみの展示です。
金地は、金砂子を何度も撒いて整ける「撒きつぶし」によって光沢を抑えたもので、当然、金を大量に使うのですが、大倉男爵のバックアップがあったので、製作費はふんだんにあったのでしょう。
この作品の左下には撒きつぶし、金泥、箔押しのサンプルが展示されているので、ぜひ比較してみてください。

第3章 10ヶ月にわたる渡欧と人物画への試み

1930(昭和5)年、御舟はローマで開催された日本美術展覧会のため、横山大観らと渡欧しました。
イタリアには2ヶ月以上滞在し、ギリシャ、フランス、スペイン、イギリス、ドイツ、エジプトなどを歴訪した10ヵ月にわたる海外への旅は、御舟に大きな刺激を与えました。

帰国した翌年にはこんなにのびのびとした作品を描いています。
ナイル川の様子を描いた《埃及土人ノ灌漑》。
《埃及土人ノ灌漑》(1931(昭和6)年)
 全期間展示
ギリシャの神殿跡を描いた《オリンピアス神殿遺址》。
《オリンピアス神殿遺址》(1931(昭和6)年)
 全期間展示
そして、数多く残された街の何気ない景色をとらえた写生。
(渡欧時の写生はじめ写生の作品は前期と後期で展示替えがあります。)
右《ベルラヂオ(写生)》、左《フィレンツェ 
アルノの河岸の家並(写生)》前期展示
こういった作品も現地の生き生きとした雰囲気が伝わってきて、心がなごんでくるのですが、10ヶ月に渡る渡欧で「海外は楽しかった!」だけですまさないのが御舟のすごいところです。

御舟は、西洋の人物画を見て日本画家のデッサン力の不足を痛感したのです。
そこで帰国後取り組んだのが、人物画への挑戦でした。

こちらは現地で描いた《ギリシャ少女像(素描)》。
《ギリシャ少女像(素描)》(1930(昭和5)年)
 全期間展示 
帰国後に描いた裸婦の素描11点は前期後期に分けて展示されます。
《裸婦(素描2)》(1933(昭和8)年)
 前期展示
今までほとんど制作することがなかった人物画にも積極的に取り組むようになります。
こちらは朝鮮の風俗に取材した《青丘婦女抄 蝎蜅》と《日蓮上人像(模写)》。

左《青丘婦女抄 蝎蜅》(1933(昭和8)年)、
右《日蓮上人像(模写)》(1934(昭和9)年)
全期間展示

第4章 更なる高みを目指して

御舟のあくなき挑戦はまだまだ続きます。

花の部分を着色で描くという常識とは反対に、葉の部分を着色、花びらを墨で描いている《牡丹花(墨牡丹)》。水墨の濃淡で、かえって牡丹のボリューム感が伝わってくるように感じられます。

《牡丹花(墨牡丹)》(1934(昭和9)年)
 全期間展示
第2展示室に移ります。
こちらにも、1935(昭和10)年、40歳の若さで亡くなる前年に描いた花の絵が展示されています。
どれも水墨が中心で色彩は抑えぎみなのですが、それぞれの草花がもつ瑞々しい生命力が伝わってくるように感じられます。


右から《白芙蓉》《秋茄子》《桔梗》
いずれも1934(昭和9)年
全期間展示
さて、ここまで御舟の作品を紹介してきましたが、今回の展覧会のクライマックスともいえる重要文化財の《炎舞》はこちらの第2展示室に展示されています。

ある時、この《炎舞》を室内に飾っていたところ、夕陽に映えた《炎舞》を見て、お手伝いさんが「火事だ!」と叫んだというエピソードを山﨑館長が紹介されていました。
それほどまでに迫力のある作品です。
ぜひ近くでご覧になっていただいて、この迫力を実感してみてください。


重要文化財《炎舞》(1925(大正14)年) 
全期間展示
この燃え上がる炎は、見れば見るほど不動明王の背負う火焔を連想します。そして、炎のまわりを舞う蛾には、花の周囲を舞う蝶々を描いた中国絵画(重要文化財《草虫図》 東京国立博物館)の影響が指摘されています。

日本や中国の古典を丹念に勉強して自分のものとしていった御舟は、確立したスタイルをいとも簡単に捨て去り、新しい境地を追求します。

「御舟は決して天才肌ではなく、どちらかというと不器用な人で、努力家だったのでは。確立した絵のスタイルをいとも簡単に捨て去り、新たなスタイルを求めていく姿は大いに学ぶべきだと思います。今回の展覧会を通じて、こういった御舟の絵に対する取組みを実感していただければ幸いです。」(山下さん)

100%御舟作品、内容充実の「速水御舟展」ですが、グッズも充実しています。

今回の新製品は《炎舞》のマルチホルダー(400円+税)。速水御舟展の図録(1300円+税)も、コンパクトな大きさですが、山種美術館所蔵の御舟作品全120点の図版が掲載されていて永久保存版です。
図録にも記載されていますが、山種美術館所蔵の御舟コレクション120点のうち《炎舞》をはじめとした105点は、経営破たんした安宅産業の御舟コレクションを1976年に一括購入したものです。
コレクションが散逸しないで山種美術館で見ることができる幸せをかみしめたいです。



速水御舟の作品にちなんだオリジナル特製和菓子もCafe椿でいただくことができます。
手前が《炎舞》をモチーフにした「ほの穂」、奥が右上から時計回りに「花の露」(《白芙蓉》)、「華王」(《牡丹》)、「まさり草」(《和蘭陀菊図》)、「緑のかげ」(《翠苔緑芝》)。(カッコ内はモチーフにした作品です。)


会期は8月4日(日)までですが、前期展示は7月7日(日)までです。
《名樹散椿》は前期のみの展示なのでご用心。
重要文化財の《炎舞》(全期間展示)と《名樹散椿》のそろい踏みを見るならまずは前期からご覧になりましょう!