京都を代表する禅宗の大寺院・東福寺の寺宝がまとめて見られる初めての機会となる展覧会、特別展「東福寺」が地元・京都の京都国立博物館で始まりました。
平成知新館1階ロビーのフォトスポット 紅葉を背景に通天橋の上にいる気分で記念撮影をぜひ! |
この展覧会は、東京国立博物館で3月7日~5月7日に開催された特別展「東福寺」の巡回展ですが、東福寺の地元・京都で開催されるので内容はさらにパワーアップ。展示件数は東京より30件ほど多く、京都のみの展示も50件ほどあって、地元ならではの見どころ満載の展覧会なのです。
それでは、開幕に先立って開催された記者内覧会に参加しましたので、展示の様子をご紹介したいと思います。
展覧会開催概要
展覧会名 特別展「東福寺」
会 期 2023年10月7日(土)~12月3日(日)
【主な展示替】前期展示:10/7(土)-11/5(日)、後期展示:11/7(火)-12/3(日)
※会期中、一部の作品は上記以外にも展示替を行います。
会 場 京都国立博物館 平成知新館
開会時間 午前9時~午後5時30分 ※入館は午後5時まで
休館日 月曜日
観覧料 一般1,800円(1,600円)、大学生1,200円(1,000円)、高校生700円(500円)
※カッコ内は団体料金(20名以上)。
※中学生以下、障害者手帳等をご提示の方とその介護者1名は無料(要証明)。
※大学生・高校生の方は学生証をご提示ください。
展覧会の詳細、チケットの購入方法等は展覧会公式サイトをご覧ください⇒特別展「東福寺」
展示構成
第1章 東福寺の創建と円爾
第2章 聖一派の形成と展開
第3章 伝説の絵仏師・明兆
第4章 禅宗文化と海外交流
第5章 巨大伽藍と仏教彫刻
※展示室内は一部を除き撮影禁止です。掲載した写真は主催者より許可を得て撮影したものです。
見どころ1 明兆作「五百羅漢図」全幅を公開!
今回の展覧会の見どころのひとつは、14年に渡る修理事業後に初めて公開される、東福寺の絵仏師で「画聖」とも崇められた明兆(1352-1431)の若き日の代表作「五百羅漢図」が、現存の47幅に後世の模写3幅を加えた全50幅公開されることです。
「第3章 伝説の絵仏師・明兆」展示風景 |
1幅に10人の羅漢を表した「五百羅漢図」は、ふだん仏画になじみのない私たちにとっては画面を見ただけではどのような場面なのかわからないものも多くありますが、作品ごとにつけられたわかりやすいサブタイトルと解説、さらに一部の作品には4コマ漫画による解説がついているのがとてもうれしいです。
例えば「五百羅漢図」のうち「第1号 経典奇瑞」のサブタイトルは「燃えない経典」。解説には「仏教と道教の法力比べ。道教経典は燃えてしまったが、仏教経典はピカッと光を放った。」と書かれているので、作品横の4コマ漫画とあわせて、だれが羅漢で、だれが道教の道士なのか、なぜ羅漢たちが喜び、道士たちが嘆いているのかがよくわかりました。
吉山明兆筆 重要文化財「五百羅漢図」のうち第1号「仏教奇瑞」 南北朝時代 至徳3年(1386) 京都・東福寺 展示期間 10/7-22 |
「五百羅漢図」の展示スケジュールは次のとおりです。
重要文化財 吉山明兆筆「五百羅漢図」(東福寺)
第1~11号 10/7-22
第12号 10/7-11/5
第13~23号 10/24-11/5
第24~34号 11/7-19
第35~45号 11/21-12/3
重要文化財 狩野孝信筆「五百羅漢図」(東福寺)
第46号 10/7-11/5
第47号 11/7-12/3
重要文化財 吉山明兆筆「五百羅漢図」(東京・根津美術館)
第48号 11/7-19
第49号 11/21-12/3
「五百羅漢図」(復元模写) (東福寺) 通期展示
「五百羅漢図」(復元模型)は、これまで所在不明とされていた第50号を五百羅漢図下絵を参照して制作され、平成30年に完成したものですが、今年(2023年)になって原本がロシア・エルミタージュ美術館に保管されていることが判明しました。
現在の世界情勢では難しいですが、平和な世が訪れたらぜひ里帰り展を実現してほしいと思いました。
巨大な伽藍にふさわしい巨幅や連幅の明兆作品はまだまだ続きます。
下の写真左は、高さがゆうに3mを超える見上げるばかりの大作、重要文化財《白衣観音図》。前期展示(10/7-11/5)ですのでお見逃しなく!
後期(11/7-12/3)に展示される重要文化財《達磨・蝦蟇鉄拐図》も絵の部分だけで高さ2.66mもあり、明兆を代表する優品なので、こちらもぜひご覧いただきたいです。
鎌倉時代に奈良の東大寺と興福寺を合わせたような大寺の造営を願って名付けられた東福寺ですので、仏像も特大サイズ。その迫力に圧倒されます。
「第5章 巨大伽藍と仏教彫刻」 展示風景 |
右手前と左奥の重要文化財《二天王立像》は、3.3mを超える仏像なので、ぜひ近くで見上げてその大きさを実感してみてください。
こちらは明治の火災で焼失した東福寺旧本尊の《仏手》《釈迦如来坐像(光背化仏》《蓮弁》(右から)。
右から《仏手》京都・東福寺、《釈迦如来坐像(光背化仏)》京都・南明院、 《蓮弁》京都・即宗院 いずれも東福寺旧本尊、 鎌倉~南北朝時代 14世紀 通期展示 |
中央の《釈迦如来坐像(光背化仏》は、現在は京都・南明院の本尊として祀られていますが、もとは旧本尊の光背につけられていた化仏の一つだったので、旧本尊がどれだけ大きかったか想像に難くありません。
展示室内ではここだけが撮影可のエリアですので、高さが2m以上もある巨大な《仏手》と並んでぜひ記念撮影を!
今まで紹介しきれませんでしたが、「第1章 東福寺の創建と円爾」、「第2章 聖一派の形成と展開」では展示室内をめぐりながら東福寺を創建した円爾(1202-80)、中国に渡った円爾が師事した無準師範(1177-1249)、そして円爾の法を伝える聖一派の僧たちの肖像(頂相(ちんそう)=禅僧の肖像画)や古文書などで東福寺の歴史をたどることができます。
「第1章 東福寺の創建と円爾」展示風景 |
「第2章 聖一派の形成と展開」展示風景 |
そして「第4章 禅宗文化と海外交流」には、中国から伝わった貴重な仏画や経典なども展示されていて内容盛りだくさん、見応え十分の展覧会です。
展覧会を見たあとのお楽しみは、やはり展覧会オリジナルグッズ。
京都限定のオリジナルグッズが新登場してグッズ種類も豊富なので、お帰りにはぜひミュージアムショップにお立ち寄りください。
これはさすがに巨大はでなく、卓上に置くのにちょうどいいサイズです。
そしてもちろん、東福寺のすべてを収録した決定版の公式図録も全部で400ページ近くあって、ボリュームたっぷり。下の写真をご覧ください。これだけの厚みがあります。
持って帰るのは大変という方は、オンラインショップでご購入いただけます。詳しくは展覧会公式サイトをご覧ください。