2022年3月18日金曜日

東京国立博物館 特別展「空也上人と六波羅蜜寺」

平安時代中期に京都に蔓延した疫病を鎮めるため民衆に尽くされた空也上人の没後1050年に当たる今年(2022年)、六波羅蜜寺の貴重な寺宝の多くとともに、重要文化財《空也上人立像》が半世紀ぶりに京都から東京にお越しになりました。


展覧会ポスター



展覧会概要


展覧会名 特別展「空也上人と六波羅蜜寺」
会 期  2022年5月8日(日)まで開催中
会 場  東京国立博物館 本館特別5室、本館11室
 ※総合文化展(本館11室)での関連展示コーナーでは六波羅蜜寺所蔵
  の作品も展示しています。
開館時間 午前9時30分~午後5時
 開館時間が延長されます!
     4月9日(土)~4月30日(土)の土曜、日曜、祝日の開館時間を18時まで、
     5月1日(日)~5月8日(日)は19時まで
 (ただし、本館11室の本展関連展示を除く総合文化展、その他特別展は17時に閉館) 
休館日  月曜日、3月22日(火)
     ※ただし3月21日(月・祝)、3月28日(月)、5月2日(月)は開館
観覧料(税込)  一般 1,600円、大学生 900円、高校生 600円、中学生以下無料
※本展は事前予約(日時指定券)推奨です。詳細は展覧会公式サイトをご確認ください⇒https://kuya-rokuhara.exhibit.jp

音声ガイド
音声ガイドナビゲーターは、仏像好きの人気声優・小野大輔さん。
特別出演は、六波羅蜜寺 山主 川崎純性さん、今回の展覧会を担当された東京国立博物館研究員 皿井舞さん。貸出料金は1台600円(税込)。おススメです。



以前、報道発表会にオンライン参加した時の記事で3つの見どころを紹介していますが、今回は報道内覧会に参加しましたので、3つの見どころに沿って会場内の様子をご紹介したいと思います。

見どころ1 空也上人立像を360度、どこからでもご覧いただけます。
見どころ2 「珍しい」仏さまにお会いできます。
見どころ3 六波羅ゆかりのあの方にもお会いできます。


※展示室内は撮影禁止です。掲載した写真は主催者より特別の許可をいただいて撮影したものです。


見どころ1 空也上人立像を360度、どこからでもご覧いただけます。



会場に入ってまず驚いたのは、《空也上人立像》をお迎えした展示室のしつらえ。
朱塗りの柱に白い壁、そして中央に《空也上人立像》。
まるで六波羅蜜寺のお堂に瞬間移動したような、とても心地良い感覚。
ここまでいい雰囲気の中でお参りできるとは思っていませんでした。


会場展示風景
中央は重要文化財 空也上人立像 康勝作
鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵

このような雰囲気の中、これだけ間近で《空也上人立像》にお会いすることができるのは何とも言えない満ち足りた気分。


重要文化財 空也上人立像 康勝作
鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵 



後ろからのお姿を拝むのは初めてのことだったのですが、空也上人がまとう動物の皮衣の、特に裾のあたりのしわのごわごわとした質感がとてもリアルに感じられました。
作者は鎌倉時代の大仏師・運慶の四男、康勝です。

重要文化財 空也上人立像 康勝作
鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵


前から横から、後ろから眺めていたら、照明の具合でしょうか、空也上人の両眼が光輝く角度を見つけました。
空也上人の「南無阿弥陀仏」ととなえる声が聞こえてくるようで、思わず手を合わした感動の瞬間でした。

重要文化財 空也上人立像 康勝作
鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵


もしかしたら360度拝めるのはラストチャンスかもしれません。
ぜひじっくりご覧いただき、みなさまのお好きな角度を見つけてみてください。


見どころ2 「珍しい」仏さまにお会いできます。


西光寺(のちの六波羅蜜寺)創建当時のご本尊は、空也上人が造立された国宝《十一面観音立像》、重要文化財《四天王立像》、梵天、帝釈天ですが、このうち今回は迫力満点の四天王立像が東京にお越しいただいています。
(秘仏の十一面観音立像は六波羅蜜寺でお留守番。梵天、帝釈天は残念ながら現存しません。)
たびたびの兵火に見舞われた京都で、平安時代に創建されたお寺のご本尊が残っていることはとても珍しいことなのです(四天王立像のうち増長天は鎌倉時代の補作)。


そして中央には、空也上人の高弟・中信(ちゅうしん)が造像したと伝えられる、重要文化財《薬師如来坐像》。
のちに仏師・定朝が完成させる寄木造の技法では現存最古という珍しい仏さまなのです。

中央 重要文化財 薬師如来坐像
右から 重要文化財 四天王立像のうち
多聞天、持国天、増長天、広目天
いずれも平安時代・10世紀(増長天のみ鎌倉時代・13世紀)
京都・六波羅蜜寺蔵 

《薬師如来坐像》は、およそ千年前と同じく不安定な時代に生きる私たちの心を癒やしてくれる、とても柔和なお顔をしていました。

《薬師如来坐像》の両脇を固めるのは仏教の守護神《四天王立像》。
力強さみなぎるお姿がとても頼もしく感じられました。

続いて運慶作の重要文化財《地蔵菩薩坐像》。
文献では多くの仏像を残したことが伝わっていますが、現存するものはとても珍しい運慶作の仏さまです。


重要文化財 地蔵菩薩坐像 運慶作
鎌倉時代・12世紀
京都・六波羅蜜寺蔵

運慶は、今年のNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公・北条義時とほぼ同時代の人。
これから「鎌倉殿の13人」にも登場してくるので、どのような人物として描かれるのか楽しみです。

これだけ名の知られた運慶ですが、今回の展覧会ではなんと運慶と伝わる仏像にもお会いできるのです。
下の写真左が重要文化財《伝運慶坐像》、右が重要文化財《伝湛慶坐像》。
湛慶は運慶の長男で慶派の棟梁となった仏師です。

左 重要文化財 伝運慶坐像
右 重要文化財 伝湛慶坐像
いずれも鎌倉時代・13世紀
京都・六波羅蜜寺蔵

二人とも、仏師らしく、太くてたくましい手・指をしています。
仏像でなく、仏師の像というのは、これもまた珍しいものなのです。


見どころ3 六波羅ゆかりのあの方にもお会いできます。


六波羅蜜寺の周辺は、この世と冥界の境目「六道の辻」と言われていました。

冥界といえば、やはりこの方を忘れてはいけません。
冥界を支配する閻魔王です。ご覧のとおり、下から見上げるとこの迫力。

重要文化財 閻魔王坐像
鎌倉時代・13世紀 京都・六波羅蜜寺蔵

閻魔王に裁かれて地獄に落ちたらどうなるのでしょうか。

地獄の様子がわかるのが《十王図》(会期中展示替えあり)。
画面下半分で、無表情で淡々と仕事をこなすかのように罪人たちを責める鬼たちの顔が不気味です。

十王図 陸信忠筆
中国・南宋~元時代・13~14世紀
京都・六波羅蜜寺蔵
※写真の秦広王、初江王、宋帝王は3月21日(月・祝)までの展示になります。

このように恐ろしい地獄に落とされても仏教を信じる心があれば救ってくれる仏さまが、重要文化財《地蔵菩薩立像》。

先ほどの威風堂々とした地蔵菩薩坐像が鎌倉時代の大仏師・運慶作なら、こちらは平安時代を代表する大仏師・定朝の作と伝わる仏さま。
着衣に残された截金文様から当時の華やかさが感じられます。

重要文化財 地蔵菩薩立像
平安時代・11世紀
京都・六波羅蜜寺蔵


そして最後にご紹介するのは、日本史の教科書でおなじみの重要文化財《伝平清盛坐像》。


重要文化財 伝平清盛坐像
鎌倉時代・13世紀
京都・六波羅蜜寺蔵


おでこの三本のしわや、伏し目がちの目がとてもリアルで、経典を手にもって読む姿は、平氏一門の棟梁としてトップに立った者だけが背負う苦悩を一身に引き受けているようにも見えました。


関連展示もぜひご覧ください!

東京国立博物館の本館正面入口から入ってまっすぐ奥に進むと特別展「空也上人と六波羅蜜寺」の会場になっている特別5室ですが、正面入口すぐ右に曲がった本館11室でも六波羅蜜寺の名宝が一部展示されています。

重要文化財 弘法大師坐像 長快作
鎌倉時代・13世紀
京都・六波羅蜜寺蔵


右から 重要文化財 吉祥天立像 鎌倉時代・13世紀、
奪衣婆坐像 康猶作 江戸時代・寛永6年(1629)
司録坐像 江戸時代・17世紀 司命坐像 鎌倉時代・13世紀
いずれも京都・六波羅蜜寺蔵

特別展観覧券で、特別展観覧の当日に限り総合文化展もご覧いただけるのでお見逃しなく!
※総合文化展では撮影不可マークのある作品以外は撮影できますが、こちらの関連展示の作品はすべて撮影不可です。

展覧会オリジナルグッズも充実のラインナップ!

今回の注目は何といっても、フィギュア製作で定評のある海洋堂が手がけた、フィギュア「六波羅蜜寺公認 空也上人立像」(税込9,800円)。
空也上人の表情や口から出る6体の仏像、衣のしわなど、今にも歩き出しそうなお姿が見事なまでに再現されています。


フィギュア「六波羅蜜寺公認 空也上人立像」(税込9,800円)


他にも六波羅蜜寺の至宝をデザインしたA4Wクリアファイル(税込700円)、空也上人立像をデザインしたクリアファイル(税込450円)や、黒地に金色の空也上人のお姿が浮かび上がるトートバッグ(黒、税込1,000円)もあって、展覧会の思い出にどれも欲しくるものばかり。



空也上人や仏さまの大迫力のアップ写真もあって、解説も充実している図録(税込2,300円)もおススメです。

特設ショップへのご入場の際、欠品または完売している商品がある場合があります。
フィギュア「六波羅蜜寺公認 空也上人立像」の販売については、展覧会公式サイトをご確認ください。

展覧会公式図録(税込2,300円)


とても雰囲気のいい空間で空也上人はじめ六波羅蜜寺の仏さまたちにお会いできる貴重な機会ですので、ぜひご覧いただきたい展覧会です。

目を大きく見開き怒りの表情をしていても、どことなく親しみを感じる2躯の《夜叉神立像》もお越しをお待ちしております。

夜叉神立像
平安時代・11世紀
京都・六波羅蜜寺蔵

そしてこの機会に六波羅蜜寺の魅力も知っていただいて、京都に行ったらぜひ訪れてみてください。
六波羅蜜寺公式サイト⇒https://www.rokuhara.or.jp/

2022年3月17日木曜日

東京藝術大学大学美術館「藝大コレクション展 2022 春の名品探訪 天平の誘惑」

毎年楽しみにしている藝コレ(藝大コレクション展)が今年も4月2日(土)から始まります。

今年のテーマは「春の名品探訪 天平の誘惑」

奈良時代・聖武天皇の天平年間(729-749)を中心に花開いた天平文化。
そこには盛唐文化の影響が強く国際色豊かで、仏教的色彩が濃く、律令国家の力を背景とした壮大華麗さが特徴の天平美術が花開きました。

今回は、約3万件のコレクションを所蔵する藝大と天平美術のつながりに焦点をあてた展覧会。
どのような展示に誘惑されるのか今から期待がふくらみます。

展覧会概要


展覧会名 藝大コレクション展 2022 春の名品探訪 天平の誘惑
会 場  東京藝術大学大学美術館 本館 展示室1
会 期  2022年4月2日(土)~5月8日(日)
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日  月曜日 ※ただし、5月2日(月)は開館 
観覧料  一般440円(330円)、大学生110円(60円)、高校生以下及び18歳未満は無料
※( )は20名以上の団体料金 ※団体観覧者20名につき1名の引率者は無料
※障がい者手帳をお持ちの方(介護者1名を含む)は無料
主 催 東京藝術大学  

※本展は事前予約制ではありませんが、今後の状況により、変更及び入場制限等を実施する可能性がございます。


近未来的な外観の東京藝術大学大学美術館


それではさっそく展覧会の見どころをご紹介したいと思います。


まず初めにご紹介するのは《月光菩薩坐像》。

《月光菩薩坐像》(奈良時代)
東京藝術大学蔵

この《月光菩薩坐像》は胴の部分が損傷していますが、気品を感じさせる表情や姿勢、残された金箔から当時の優美さをうかがうことができます。
そして何より、損傷部から当時の造像美術を観察することができるという、研究機関である藝大にとって貴重な資料でもあったのです。

さらに今回の展覧会では、乾漆仏像や東大寺法華堂天蓋の残欠といった天平彫刻の断片資料に光を当てた最新の研究成果も紹介されるので、学術的に迫る天平の魅力を見られる楽しみもあります。

続いては今回の展覧会のメインビジュアルにもなっている《浄瑠璃寺吉祥天厨子絵》(重要文化財)のうち「弁財天及び四眷属像」。

《浄瑠璃寺吉祥天立像厨子絵》「弁財天及び四眷属像」
建暦2年(1212)頃 重要文化財
東京藝術大学蔵


もとは京都・浄瑠璃寺の木像吉祥天立像を収めた厨子の扉及び背面板に描かれたもので、当初はめられていた厨子(模造)、吉祥天立像(模刻)とあわせ、全7面が一挙公開されます。


《浄瑠璃寺吉祥天厨子》天井(模造)
大正13年(1914) 東京藝術大学蔵 


京都といっても、平城京とはさほど遠くない奈良県境近くの山あいにあって、極楽浄土を表現した庭園や国宝《九体阿弥陀如来像》で知られる浄瑠璃寺に思いをはせながら、ぜひ展示を楽しんでみたいです。


そして、藝コレのもう一つの大きな楽しみは、東京藝術大学が所蔵する同学(及び前身の東京美術学校)ゆかりの画家たちの西洋画や日本画の逸品が見られること。

今回も、やはり注目したいのは狩野芳崖の絶筆《悲母観音》(重要文化財)。

芳崖は東京美術学校の設立に尽力しましたが、開校直前に惜しくも亡くなりました。映画『天心』で、最後の力を振り絞って《悲母観音》を描く芳崖の姿が印象的でした。


狩野芳崖《悲母観音》明治21年(1888)
重要文化財 東京藝術大学蔵



今回は、フェノロサや岡倉天心らの奈良古社寺調査に同行した芳崖が描いた寺社の所蔵品や建築物などのスケッチを12巻の巻子装にした《奈良官遊地取》が出品されますが、芳崖の弟子たちの証言によると、この時の古美術研究が《悲母観音》の面貌表現につながったとのことですので、ぜひ見比べてみたいです。

芳崖と同じく東京美術学校の設立に尽力た橋本雅邦の《白雲紅樹》(重要文化財)はじめ近代日本画の名作や、明治38年に東京美術学校が監造した、当時の日本美術の粋を集めた屛風《綵観》、近代洋画では約10年ぶりの出品となる長原孝太郎《入道雲》など、東京美術学校の教授を務めた画家たちの作品が展示されます。

東京美術学校監造《綵観》
明治38年(1905) 東京藝術大学蔵

《綵観》のうち荒木寛畝「錦輪」。

東京美術学校監造《綵観》荒木寛畝「錦輪」
明治38年(1905) 東京藝術大学蔵

長原孝太郎《入道雲》。

長原孝太郎《入道雲》
明治42年(1909) 東京藝術大学蔵


皇室とゆかりの深い東京藝術大学ならではの作品も展示されます。

こちらは、明治21年に竣工して、昭和20年5月の戦火で焼失した明治宮殿にあった「千種之間」の格天井を飾った柴田是真の天井画下図。
完成作品が残っていないだけに、往時の名作をうかがうことができる貴重な資料です。

柴田是真《千種之間天井綴織下図》「紅梅」部分
明治20年(1887) 東京藝術大学蔵


天平文化の舞台となった平城京で思い浮かぶのが、2008年の平城遷都1300年祭の公式マスコットキャラクター「せんとくん」。
その「せんとくん」を制作された籔内佐斗司氏のかわいらしい面も展示されます。

2020年には、長年、東京藝術大学の保存修復彫刻研究室教授の職に就かれていた籔内氏の退任記念展におうかがいして作品を拝見しましたが、今回もこのお顔と対面したら、また奈良に行ってみたくなるかもしれません。

籔内佐斗司《鹿坊 面》
平成22年(2010) 東京藝術大学蔵



天平美術とともに、《小野雪見御幸絵巻》(重要文化財)などの古美術から、現代美術まで、藝大ならではのさまざまな分野のコレクションを楽しむことができるのも今回の展覧会の大きな魅力です。

いろいろな楽しみのある展覧会なので、開幕が待ち遠しいです。

2022年2月23日水曜日

SOMPO美術館「FACE展2022」

 東京・新宿のSOMPO美術館では「FACE展2022」が開催されています。

SOMPO美術館外観


今回で10回目を迎えた「FACE展2022」は、新館移転後2回目の開催。

会場には、1142点の出品作品の中から審査員の審査によって選ばれた入選作83点が展示されていて、「年齢・所属を問わず、真に力がある作品」を公募する展覧会なので、年齢層も幅広く、写実的な作品も、抽象画もあって、技法や素材も、油彩、水彩、岩絵具、アクリル、さらにはアルミ箔やマスキングテープまであって、多士済々、多種多様。

ジャンルにとらわれないバリエーションに富んだ作品が見られる楽しみがありますし、会期中、観覧者投票による「オーディエンス賞」の選出が行われるので、自分の「お気に入りの1点」を探しながら展示作品を見ることができるのもFACE展の大きな楽しみの一つです。


展覧会概要


会 期  2022年2月19日(土)~3月13日(日)
休館日  月曜日
開館時間 午前10時~午後6時(最終入館は午後5時30分まで)
観覧料  700円(高校生以下無料)
展覧会の詳細は同館公式サイトをご覧ください⇒https://www.sompo-museum.org/

※本展覧会は展示室内での作品撮影が可能です。

展示会場は5階から、4階、3階と回っていきます。

5階の展示室に入って正面に展示されているのは、今回のメインビジュアルになっているグランプリ受賞作、新藤杏子《Farewell》。入選作83点の頂点に立つ作品です。
(ほかに優秀賞3点、読売新聞社賞1点、審査員特別賞4点が選出されています。)



グランプリ 新藤杏子《Farewell》

湖に映る自分の姿に見とれているところはギリシャ神話のナルキッソスを思い浮かべますが、作者の方の制作の動機は・・・
ぜひ無料音声ガイドでお聞きください。
※無料音声ガイドはArtstickerアプリをスマートフォンにダウンロードして利用するので、スマートフォンとイヤホンをご用意ください。

展示室内を順不同にご紹介していきますが、冒頭でふれたとおり、展示室内は一つのジャンルにとらわれない力作の数々でいっぱい。

同じ傾向の作品がまとまって展示されているわけではないでしょうが、メルヘンチックな作品があったり、

展示風景




画面いっぱいにいろいろなものが描き込まれている作品があったり、

展示風景


本物の質感そのままのパンや、モノクロ写真と見紛うばかりの写実的な作品があったりして、まさに多種多様。

展示風景


「名作」と評価の定まった作品なら、自分もそれを見たら名作と思わなくては、といったプレッシャーがありますが、「自分がいいと思った作品が名作だ。」と純粋にアートを楽める気楽さがあるところがこの展覧会の良さなのです。

ある作品の前で足が止まりました。

優秀賞 大山智子《AMAKUSA》

写実的でなく、そしてあまりに抽象的でない、ちょうどいいくらい抽象化された天草五橋の様子を俯瞰的に描いた作品です。
優秀賞を受賞していますが、私が審査員だとしてもこの作品を推すだろうと思いました。
(この展覧会では自分が審査員になったつもりで作品を見ることだってできるのです!)

こちらは、一面赤い布で覆われたかのように見える作品(下の写真左)。

左 山中眞理《RED(赤べこ考-Ⅰ)》
右 吉川智章《塗装工-労働と生産における自由意思》 

近くで見てもまるで染織が貼られているようなのですが、実はキャンパスに油彩で描いたものなのです。制作は根気との勝負だったのではないでしょうか。

上の写真右は升目で区切られた中に異なる色彩が塗られている作品ですが、黄色い升目は実はマスキングテープ。
マスキングテープは、色が塗られないように貼って、あとではがすものなのですが、この作品でははがさないで枠としてそのまま残しているのです。
きっと作品のタイトルと関係があるのでしょう。

作品はまだまだ続きますが、ここで私の「お気に入りの1点」をご紹介したいと思います。

5階から3階まで会場内を何回も回って悩みましたが、それはアルミ箔がいい具合に光っていて、どことなく神秘的な雰囲気が感じられるこの作品です。

櫻井あすみ《insert》


3階展示室の後半には、SOMPO美術館の華ともいうべきファン・ゴッホの《ひまわり》はじめ同館コレクションの代表的な作品が展示されています。

同館コレクションの中心となっている東郷青児作品。

東郷青児作品展示風景


上の写真一番左の《超現実派の散歩》はSOMPO美術館のロゴになっている作品です。

東郷青児《超現実派の散歩》

アメリカの素朴派画家グランマ・モーゼスのほのぼのした作品。

グランマ・モーゼス作品展示風景


そして最後はやはりこちら。

ファン・ゴッホ《ひまわり》

ゴッホが描いた花瓶のひまわり7点(うち1点は太平洋戦争中の空襲で焼失した「芦屋のひまわり」)のうちの1点を国内で見られる幸せを感じながら美術館をあとにします。
(《ひまわり》は撮影できますが、自分を入れた記念撮影は禁止です。)

会期は3月13日(日)までで短いのでお見逃しなく!

2022年2月21日月曜日

山種美術館「上村松園・松篁-美人画と花鳥画の世界-」

 東京・広尾の山種美術館では、「上村松園・松篁-美人画と花鳥画の世界ー」が開催されています。
1年間続いた同館開館55周年記念特別展のフィナーレを飾る今回は、春の訪れを迎えるのにふさわしい、美人画と花鳥画の世界が広がる華やいだ雰囲気の展覧会です。


展覧会チラシ



展覧会概要


会 期   2022年2月5日(土)~4月17日(日)
開館時間  午前10時~午後5時(入館は閉館の30分前まで)
休館日   月曜日(3/21(月)は開館、3/22(火)は休館)
入館料   一般 1300円、中学生以下 無料(付添者の同伴が必要)
      春の学割 大学生・高校生 500円※本展に限り、特別に入館料が通常1000円の
      ところ半額になります。
      ※他にも割引・特典があります。入館日時のオンライン予約も可能です。
       オンライン展覧会などの各種イベントも開催されますので、詳細は同館公式
       Webサイトをご覧ください⇒http://www.yamatane-museum.jp/

展示構成
 第1章 上村松園と美人画
 第2章 上村松篁と花鳥画

※展示室内は次の1点を除き撮影不可です。掲載した写真はプレス内覧会で美術館より特別に許可をいただいて撮影したものです。
※掲載した作品は、すべて山種美術館所蔵です。

今回の展覧会で撮影可の作品は、上村松園《娘》です。

上村松園《娘》1942(昭和17)年

それではさっそく各章ごとに見どころをご紹介したいと思います。


第1章 上村松園と美人画


見どころ1 山種コレクションの松園作品全18点が勢ぞろい!

第1章展示風景

最初にお出迎えしてくれるのは、今の季節らしい上村松園《春のよそをひ》(1936(昭和11)年頃)。

前半は山種コレクションの松園作品が続きます。
どれも名作ばかりなのですが、私にとって特に興味深いのは、松園作品18点の制作年が一つの時代に集中しているのでなく、大正時代から昭和初期、戦中、戦後まで幅広い年代に渡っているので、時代ごとの作品の雰囲気の違いが感じとれることです。

中でも特にぐっと心に迫ってくるのが《牡丹雪》。

この作品は、1944(昭和19)年7月に開催された芸術院会員陸軍献納画展に出品されたもので、どんよりと曇った空の下、和傘に積もった雪の重さに耐え、前かがみになって歩く二人の女性が描かれています。
前を歩く女性の視線は下の方に向けられ、着物の裾を上げているので、かなり歩きにくそう。後ろからついてくる女性は不安げに来た道を振り返っているようです。

上村松園《牡丹雪》1944(昭和19)年

「献納画展」ですので、国民の戦意高揚や戦費ねん出のために開催された展覧会でしたが、勇ましい戦争の場面でなく、戦局が悪化して、生活物資もままならなくなった重苦しの時期に、それでも前を向いて歩かなくてはならない人たちの心情を描いたのではと想像してみたくなる作品です。

一方で、同じ雪の場面の作品でも、明るい表情で庭に降る雪をながめる女性が描かれた《庭の雪》(1948(昭和23)年)からは、ようやく日本に平和が訪れてホッとしたような雰囲気が感じられてきます。

山種美術館発行の図録小冊子『山種美術館の上村松園』の表紙を飾るのも《庭の雪》。

山種美術館発行『山種美術館の上村松園』
価格 税込550円

山種コレクションの松園作品18点すべてがカラー写真で紹介されています。
松園の略年譜も掲載されているので、松園の画業をコンパクトに知ることがでる、松園ファン必携の一冊です(私も今回も購入しました)。
今回展の入場券とのお得なセット券(税込 1,700円)も販売中です!


見どころ2 美人画の名手たちの作品の競演が見られる!

第1章の後半では、「西の松園、東の清方」と称された鏑木清方はじめ、近代日本画界の個性豊かな美人画の競演が楽しめます。

こちらは松園とほぼ同時代に活躍した画家たちの軸装の美人画。

右から 伊藤小坡《虫売り》(1932(昭和7)年)
松岡映丘《斎宮の女御》(1929-32(昭和4-7)年頃)
小早川清《美人詠歌図》(20世紀(昭和時代))

こちらは昭和後期の美人画。
住まいが洋室化してどの家にも床の間があるということがなくなったためでしょうか、洋室に合う額装の作品が多くなります。それに着ているのは和服ですが、色遣いが鮮やかなので洋室にも映えそうです。

右から 片岡球子《むすめ》(1974(昭和49)年)
森田曠平《百萬》(1986(昭和61)年)
橋本明治《秋意》(1976(昭和51)年)


こうして多くの画家の美人画を見ていると、「私が描く女性の顔はこれです。」と主張しているかのようで、それぞれ特長のある女性の顔が描かれているのにあらためて気が付きました。

松園作品18点と松園以外の画家12人の作品22点が展示されている第1章は、同じ美人画でも、年代や画家によって違いを楽しむことができる展示になっています。


第2章 上村松篁と花鳥画


見どころ1 松篁・淳之親子の花鳥画はカワイイ!

今回の展覧会では、山種コレクションの松篁作品も全9点見ることができます。

特に第2展示室は松篁作品6点だけの松篁ワールド。

上村松篁《白孔雀》(1973(昭和48)年)
© Atsushi Uemura 2021 /JAA2100291


淳之画伯によると、父・松篁の奈良のアトリエ「唳禽荘」には、小鳥や雉子類、鶴、雁・鴨類、さらには白孔雀まで放し飼いにされていたとのことです。

毒蛇を退治するといわれた孔雀は密教の孔雀明王に見られるように神格化されていて、《白孔雀》からも厳かさが感じられますが、顔の表情を見ると、そこには飼い主の慈しみがひしひしと感じられるのです。

そして、鳥たちの鳴き声という意味をもつ「唳禽荘」に住まわれ、現在も活躍中の淳之画伯の作品《白い雁》も、月夜に飛ぶ二羽の雁を描いた幻想的な作品で、それだけでもとてもいい雰囲気なのですが、雁のつぶらな瞳を見ると、さらに魅力的に感じられる作品なのです。


上村淳之《白い雁》(1974(昭和49)年)
© Atsushi Uemura 2021 /JAA2100291


上村松篁・淳之親子のカワイイ花鳥画をぜひお楽しみください!


見どころ2 カワイイのは花や鳥だけではなかった!

カワイイ鳥たちにすっかり魅了されてしまいましたが、カワイイのは鳥だけではありません。

今回の展示作品の中で、一番意外だったのはこの作品。
確かに桜の花が描かれていますが、そこにいるのは俵屋宗達のように「たらしこみ」で描かれた犬!

奥村土牛《戌》(1982(昭和57)年)

打席でストレートを待っていたら変化球が来たので全く手が出なかった、といった状況でしばらく思考が止まりましたが、これもカワイイので心がなごむいい作品です。

他に鯉や狐もいるので、ぜひなごみながらご覧ください。


ミュージアムショップもカフェも充実してます!


今回も展覧会にちなんだオリジナルグッズが充実しています。
今回特におススメしたいのは、上村松園《庭の雪》のピンバッジ(税込770円)。
服やバッグのワンポイントのおしゃれにいかがでしょうか。



他にもA4クリアファイル(税込385円)、一筆箋(税込418円)といった実用的なものもありますし、飲んだ後の缶は小物入れとしても使える山種オリジナルお茶缶(税込1,080円 自然栽培で育てた健一自然農園の煎茶ティーバッグ8袋入り)はおうちでのくつろいだティータイムにぴったりです。


山種美術館のもう一つの楽しみは、展覧会に合わせたオリジナル和菓子。
抹茶とのセットで1,200円(税込)。
どれも美味しそうですが、胡麻入りこしあんが少し顔を出している「誰が袖」(下の写真左上)に惹かれます。


上の写真、右上から時計回りに、「雪輪(庭の雪)」、「春のかぜ(春風)」、「雪の日(牡丹雪)」、「誰が袖(春芳)」、中央が「花のいろ(春のよそをひ)」。
(カッコ内はモチーフにした上村松園の作品で、いずれも山種美術館蔵)。


展覧会は4月17日(日)まで開催されます。

今回の展覧会は、山種コレクションの上村松園、松篁、淳之、親子三代の全作品が一挙公開されるという初めての機会です。

まだまだコロナ禍が続いていますが、美人画でうっとりして、花鳥画でなごんで心安らぐ時を山種美術館でぜひお過ごしください。

2022年2月13日日曜日

大倉集古館「季節をめぐり、自然と遊ぶ~花鳥・山水の世界~」

桜や秋の草花、可愛らしい鳥たち、そしてゆったりとした山水の世界。
都会の喧騒を忘れさせてくれる、落ち着いた雰囲気の展覧会が東京・虎ノ門の大倉集古館で開催されています。

大倉集古館外観



展覧会概要


会 期   2022年1月18日(火)~3月27日(日)
     (前期(~2/20)と後期(2/22~)で巻替えのある作品があります。)
開館時間  10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日   毎週月曜日(祝日の場合は翌火曜日)
入館料   一般:1,000円
      大学生・高校生:800円※学生証をご提示ください
      中学生以下:無料
      ※各種割引料金は、下記、同館公式サイトの「利用案内」をご覧ください。
主 催   公益財団法人 大倉文化財団・大倉集古館

※ギャラリートーク(事前申込制、先着順)も開催されます。展覧会の詳細等は同館公式サイトでご確認ください⇒大倉集古館公式サイト


展覧会チラシ


展示構成
 第1章 和の世界~春と秋の造形~
  1 春-桜を愛でる
  2 秋-吉祥の造形
  3 秋-悲哀の季節
 第2章 漢の世界~水墨の花鳥山水~
  1 東洋蘭の世界
  2 中国の花と鳥
  3 春の訪れを知らせる花-梅
  4 山水に季節に観る
  5 山水に集う人々-漁師と飲茶
  6 光と大気を表現する

開幕から少し時間がたってしまいましたが、先日展覧会におうかがいしてきましたので、さっそく展示室内の様子をご案内したいと思います。

※展示室内は撮影禁止です。掲載した作品の写真は主催者より特別にお借りしたものです。
※展示作品はすべて大倉集古館所蔵です。


一足早くお花見気分


和歌や物語を背景とした「和」の世界の作品が楽しめる「第1章 和の世界~春と秋の造形~」で最初に目に入ってくるのは、大きな6曲1双の屏風《桜に杉図屏風》(桃山時代・16世紀)。



《桜に杉図屏風》(右隻)(桃山時代・16世紀)


《桜に杉図屏風》(左隻)(桃山時代・16世紀)

右隻の手前には大きな土堤(どは)が描かれていますが、これは木々の姿が遠く見える工夫とのこと。
まだまだ寒い日が続いていますが、この展覧会の会期末近くには出されそうな桜の開花宣言に先がけて、満開の桜の雄大なパノラマを楽しむことができます。

そして小さい桜の作品にも注目です。
《吉野山蒔絵五重硯箱》(江戸時代~明治・19世紀)(展覧会チラシの左上の小さい箱)には吉野山に咲く満開の桜と、そして山肌には散った桜の花びらが積もった様子も表現されているので、ぜひお近くじっくりご覧ください。



蘭は徳のある人の象徴



「第2章 漢の世界~中国の花鳥・山水~」では水墨画や漢詩の作品を中心とした「漢」の世界の花鳥・山水を描いた作品が展示されています。

最初にご紹介するのは、京都の建仁寺、南禅寺の住持をつとめた臨済宗の僧、玉畹梵芳(1348~1414-?)が描いた《墨蘭図》。 
《墨蘭図》玉畹梵芳筆、
室町時代・15世紀

中国では、草花や動物にそれぞれ意味が込められていて、蘭は徳のある人物の象徴。
《墨蘭図》の下の方にはとげのある茨(いばら)が描かれていますが、茨は小人物の象徴。
野原の風景を描いているようで、実はこの作品には、小人物がいる中でも徳のある人を目指しなさいというメッセージが込められているようにも思えました。
(「とげのある茨」でなく「徳のある人」になるよう努力しなくては!)。



続いては、金箋(細かい粒子状の金箔が散らしてある加工紙)の上に色鮮やな花鳥が描かれた《清朝名人便面集珍》のうちの李之洪(生没年不明)筆〈梅椿に白頭翁図〉。

《清朝名人便面集珍》のうち〈梅椿に白頭翁図〉
李之洪筆
中国明~清時代・18世紀

春の訪れを告げる梅と椿、そしてお互いに呼ぶ声が聞こえてきそうなつがいの小鳥たちが描かれた、ほのぼのとした作品ですが、頭の白いつがいの鳥は老人や長寿を表す白頭翁(シロガシラ)なので、この作品には老夫婦の長寿を願う思いが込められているのです。
そう思うと、さらにほのぼのとした気分になってきませんでしょうか。

《清朝名人便面集珍》は、清末の官吏 徐郙が所蔵した扇面16面をまとめたもので、今回は〈梅椿に白頭翁図〉を含め4面が展示されています。

中国絵画の中では《花鳥草虫図巻》(潘崇寧(生没年不明)筆 中国・清時代・康熙56年(1717年) 巻替えあり)にも注目したいです。
色とりどりの花が咲いて、そのまわりを蝶が飛んで、枝には雀が止まって、そこまではのどかな景色なのですが、花のまわりに集まるのはおびただしい数の蜂の大群!
刺されたらアナフィラキシーショックになってしまいそう。

中国絵画では、例えば「鹿」と「禄(=給料」)」など、縁起のいい文字と同音の動物が描かれることが多くありますが、雀や蜂にも意味があって、それぞれ同音の「爵(=爵位)」、「封(=土地)」を表すものなのです。
(なぜ蜂の大群が描かれているのかよくわかりました。)

猫が蝶を目で追いかける絵も中国では好んで描かれますが、これは猫と蝶がそれぞれ「耄(もう)」と「耋(てつ)」に通じて、「耄耋(=老年)」を願っている絵なので、蝶も吉祥をあらわしているのです。


文人画で高士気分


エアコンや扇風機などなかった江戸時代の人たちは暑さをしのぐため様々な工夫をしました。
それも今から見るととても優雅な工夫に思えます。

こちらの作品は、煎茶道の中心人物で、江戸後期の儒学者、漢詩人として知られた頼山陽(1781~1832)の書(右)と、同じく江戸後期の陶工で文人画家の青木木米(1767~1833)の画(左)。

山の中腹には滝を見ながら煎茶を楽しむ人たち、そしてさらに下の方には道に腰かけて滝を眺める高士の姿も見えます。

この作品を前にすると、俗世間から離れて山林などに隠れ住んだ高士たちの気分を一瞬でも味わうことができたような気がしてきました。

《五言絶句・山中煎茶図》
(書)頼山陽筆 (画)青木木米筆
江戸時代・文政7年(1824)


最後にご紹介するのは、江戸時代初期に狩野一門を率いた狩野探幽(1602~74)の《瀟湘八景図》。

若い頃は、京都・二条城の障壁画に見られるように、祖父の狩野永徳ばりの大胆な絵を描いた探幽ですが、晩年の「枯れた」趣きの出てきた探幽もいい味出しています。


《瀟湘八景図》狩野探幽筆
江戸時代・寛文5年(1665)


中国・江南地方、洞庭湖周辺の風光明媚な景色を描いた《瀟湘八景図》は、中国の画僧 牧谿のものがよく知られていますが、こちらは一枚の絵の中に八つの景色が盛り込まれた贅沢な内容の作品です。
そのうえ画面全体に牧谿作と同じようにふわ~っとした空気感が感じられるので、自宅に床の間があったら飾ってみたくなる一品です。


展示を見終わったとき、コロナ禍が猛威を振るう不安定な今だからこそ、心が安らかになる空間に身を置けることはとても貴重な機会であるように感じられました。

紹介した作品以外にも大倉集古館所蔵の珠玉の名品が展示されています。
この春おススメの展覧会です。ぜひご覧ください。