大阪・天王寺公園内の大阪市立美術館では、興祖微妙大師六百五十年遠諱記念特別展「妙心寺 禅の継承」が開催されています。
今回の特別展は、京都の西郊にある臨済宗妙心寺派の大本山・妙心寺の基礎を築いた第二世、興祖微妙大師の六百五十年遠諱を記念して、妙心寺や妙心寺派の寺院の至宝が一堂に会する展覧会なので開幕をとても楽しみにしていました。
開幕前に開催された記者内覧会に参加しましたので、さっそく展示の内容をご紹介したいと思います。
展覧会開催概要
会 期 2026年2月7日(土)~4月5日(日)
※展示替えあり 前期2月7日(土)~3月8日(日)、3月10日(火)~4月5日(日)
会 場 大阪市立美術館(天王寺公園内)
開館時間 午前9時30分~午後5時(入館は閉館の30分前まで)
休館日 月曜日(ただし、2月23日は開館)、2月24日(火)
展覧会公式サイト⇒https://art.nikkei.com/myoshin-ji/
※展示室内は一部の作品のみ撮影ができます。掲載した写真は、記者内覧会で主催者の許可を得て撮影したものです。
展示構成
第一章 開山忌の荘厳
第二章 妙心寺史
第三章 妙心寺珠玉の寺宝
第四章 大阪の妙心寺派
妙心寺と大阪市立美術館
特別展示Ⅰ 天球院の襖絵
特別展示Ⅱ 微妙大師ゆかりの妙感寺
展示室に入って最初に感じたのは、金碧の障壁画で囲まれた桃山時代の豪華絢爛な雰囲気でした。
| 「第一章 開山忌の荘厳」展示風景 |
「妙心寺屏風」の異名を持つ大画面の屛風、狩野山楽筆「龍虎図屛風」、海北友松筆「花卉図屏風」は迫力満点。
どちらも武家出身で、ほぼ同じ時代に活躍して、ひとりは京狩野派の祖、もうひとりは海北派の祖となった二人の屛風は通期展示で写真撮影可能なのがうれしいです。
「第一章 開山忌の荘厳」の展示はまだまだ続きます。
第一章では、先ほどご紹介した金碧の屛風をはじめ、頂相(禅宗の高僧の肖像)、墨蹟、十六羅漢図が展示され、江戸時代に大方丈の特別な設(しつら)えで行われた開山忌の様子が展示されています。
「第三章 妙心寺珠玉の寺宝」に展示されている、室町水墨画の名品や、中国、朝鮮から伝来した工芸など、妙心寺の本坊や塔頭に伝わる寺宝の数々も今回の特別展の大きな見どころのひとつです。
こちらは、狩野派二代目で、狩野派繁栄の基礎を築いた狩野元信の代表作のひとつ、妙心寺の塔頭・霊雲院の障壁画(現在は掛軸装)。画面全体に漂う空気感が何ともいえず心地よいです。
| 重要文化財「四季花鳥図 霊雲院方丈障壁画のうち」 (部分) 狩野元信筆 室町時代 天文12年(1543) 京都・霊雲院 12幅のうち8幅が前・後期で4幅ずつ展示されます。 |
続いては化粧品や小物を納めた容器と考えられる独特の形をした合子(ごうす)。
玳瑁(鼈甲)に色彩を施す玳瑁伏彩法は高麗螺鈿漆器の代表的な技法で、世界的に見ても完形の作例は20数点しかなく、その中でもこれは保存状態が極めて良好な貴重なものなのです。
| 「菊唐草文螺鈿玳瑁合子」朝鮮・高麗時代(12~13世紀) 京都・桂春院蔵 通期展示 |
今回の特別展開催にあたり、大阪市立美術館が大阪府内の妙心寺派の寺院の調査を行ったところ、いくつかの新たな発見がありました。
そのひとつは、大阪府内の妙心寺派の寺院には白隠慧鶴の禅画が数多く所蔵されていることでした。
江戸時代中期の僧で臨済宗中興の祖と呼ばれる白隠は、仏の教えを伝える手段として、生涯で約1万点を超える書画を描いたといわれています。
一見すると親しみが持てそうで、実は禅の奥深い意味がある白隠の書画は、わかりやすく解説している作品のキャプションを読みながら鑑賞したいです。
| 「第四章 大阪の妙心寺派」展示風景 |
もうひとつは、大阪府内の妙心寺派の寺院には、妙心寺が開創される建武4年(1337)より以前の平安~鎌倉時代の仏像が多く所蔵されていることでした。
これは、臨済宗妙心寺派に改宗する前から所蔵していた仏像を各寺院が大切に保存していたからで、おかげさまで私たちは今回の特別展で平安時代の優美な仏さまを拝むことができるのです。
大阪市立美術館には今回、「京都のお寺の展覧会をなぜ大阪で?」という質問が多く寄せられたとのことですが、実は、大阪市立美術館が昭和11年(1936)に開館して以来、「古美術常設陳列館」としての性格をめざし、近隣の社寺に出陳や寄託を依頼していたところ、妙心寺や塔頭から多くの数の宝物が寄託されて現在に至っているという約90年にわたる深いご縁があったのです。
「妙心寺と大阪市立美術館」のコーナーでは、大阪市立美術館が妙心寺や塔頭から寄託を受けているさまざまな寺宝のなかから、今まで公開の機会が少なかった宝物が展示されています。
今回の特別展の大きな見どころの一つは、狩野山楽・山雪父子が手掛けた妙心寺の塔頭・天球院の襖絵が、塔頭内と同じ形で再現展示されていることです。
普段は非公開の襖絵も、ここではこんなに間近で虎と対面することもできます。
最後は、微妙大師が晩年をすごした大師ゆかりのお寺、妙感寺(滋賀県湖南市)の「千手観音坐像」です。
高さが1.64mもあるので、近くで見るとかなり大きくて存在感があります。そして、木造の仏像なのですが、なぜかお顔や手に柔らかさ、ぬくもりが感じられるという不思議な仏さまなのです。
| 湖南市指定文化財「千手観音坐像」鎌倉時代後期~南北朝時代(14世紀) 滋賀・妙感寺 通期展示 |
「特別展示Ⅱ 微妙大師ゆかりの妙感寺」のコーナーには、厨子に納められた可愛らしい小さな「千手観音坐像」が展示されていて、どちらも撮影可能です。
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イメージはこんな感じです。かなりの迫力を体験することができます。
妙心寺や妙心寺派の寺院の寺宝を通じて妙心寺の歴史にも触れることができます。
この春おすすめの展覧会です。