横浜市西区みなとみらいの横浜美術館では、「マリー・アントワネット・スタイル」が開催されています。
今回の展覧会は、時代を超えて人びとを魅了し続ける王妃の「スタイル」を、ドレス、ジュエリー、家具調度、工芸、絵画、版画、写真など約200点の作品で紹介して、18世紀から現代のオートクチュールまで250年の展開をたどる内容です。
本展は、イギリス・ロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館が企画して、2026年3月まで同館で開催されたのち、このたび国際巡回の最初の開催地で、国内では唯一の開催地となる横浜美術館で開催されることになりましたが、そっくりそのままの展示内容ではありません。
一部内容が再編されて、日本オリジナルの出品作品や、世界初公開作品を含む貴重な作品が紹介される豪華な内容で、さらにはヴェルサイユ宮殿の庭や室内の映像や、映画のBGMやサウンドスケープをとりいれた空間の演出、香りの体験もあって臨場感あふれる展示が楽しめます。
それではさっそく展覧会の様子をご紹介したいと思います。
展覧会開催概要
展覧会名 マリー・アントワネット・スタイル
会 期 2026年8月1日(土)~11月23日(月・祝)
会 場 横浜美術館(横浜市西区みなとみらい3-4-1)
開館時間 10時~18時(11月21日・22日は20時まで)
※入館は閉館の30分前まで
休館日 木曜日(9月24日、11月19日は開館)
※展覧会の詳細、 チケットの購入方法、コラボ企画などは展覧会特設サイトをご覧ください⇒https://www.marie2026.jp
展示構成
1 マリー・アントワネット:スタイルの源泉 1770-1793
2 マリー・アントワネット:追憶と偶像化 1800―1940
3 永遠(とわ)に新しく——マリー・アントワネット・スタイル
※以下の画像は報道内覧会で撮影されたものです。
※会期中は一部の作品を除き、写真撮影は可。動画やフラッシュ・三脚を用いた撮影は不可となります。
1 マリー・アントワネット:スタイルの源泉 1770―1793
照明を落とした展示室入口の先にマリー・アントワネットの肖像が見えてきました。
| 「マリー・アントワネット・スタイル」展示風景(横浜美術館、2026年) |
そこから先に進むと、天井から吊るされた豪華なシャンデリアが明るく照らす広々とした空間に展示されている、きらびやかなドレスが目に入ってきました。
| 「マリー・アントワネット・スタイル」展示風景(横浜美術館、2026年) |
ここに展示されているドレスは、「ローブ・ア・ラ・フランセーズ」という18世紀のフォーマルドレスをはじめ、どれもアントワネットと同時代のもので、ほかにもアントワネット旧蔵と推定されるドレスのストマッカー(胸当て)と袖なども展示されているので、250年前のパリの宮廷に迷い込んだ気分にさせてくれます。
ドレスのスカートの横幅がずいぶん広いな、と思ったのですが、「ローブ・ア・ラ・フランセーズ」は、背にゆったりとボックスプリーツを引く前開きのガウン、ストマッカー、パニエで左右を大きく広げたペチコート(スカート)の3つの要素で構成されているとのことなので、これが当時のドレスの特徴だったのですね。
アントワネットが日本の漆を愛好したことはよく知られていますが、それは母マリア・テレジアゆずりのものでした。
ここにはアントワネットが所蔵していた可能性が極めて高いと考えられる香箪笥や、アントワネットが日本の漆器を用いた家具を注文していたパリの骨董商が、ある女性顧客の依頼を受けて発注した書見台などが展示されているので、アントワネットの漆への傾倒ぶりをうかがうことができます。※これは日本オリジナルの展示です。
| 「マリー・アントワネット・スタイル」展示風景(横浜美術館、2026年) |
「マリー・アントワネット・スタイル」展ですので、これを期待している方も多いのではないのでしょうか。
そうです。宮廷生活には欠かせない燦然と輝くジュエリーです。
| 「マリー・アントワネット・スタイル」展示風景(横浜美術館、2026年) |
そして、うっとりするような美しい輝きを放つのは、真珠をこよなく好んだアントワネット旧蔵の天然パール119粒を連ねた3連ネックレスです。
これはロンドンのヴィクトリア&アルバート博物館では出品されなかったので、今回が世界初公開!これは見逃せません。
| マリー・アントワネット旧蔵の天然真珠とダイヤモンドの3連ネックレス フランス製 18世紀後半 ハイディ・ホルテン・コレクション、ウィーン |
フランス革命が勃発して、国王ルイ16世の一家が国外脱出を試みた際、王妃アントワネットは自身のジュエリーを密かに国外に持ち出させ、それらはのちに唯一生き残った娘マリー・テレーズに受け継がれました。
このネックレスは、フランス革命という激動の時代を奇跡的に生き抜いた、まさに生き証人なのです。
2 マリー・アントワネット:追憶と偶像化 1800―1940
19世紀におけるマリー・アントワネット・リバイバルの火付け役となったのが、ナポレオン3世(在位1852-70)の后ウジェニー(1826-1920)でした。
| 皇后ウジェニー ピエール=ポール・アモン 1850年代 東京富士美術館 ※日本オリジナルの展示 |
ウジェニーが身にまとっているのは、イギリス出身でオートクチュールの創始者ウォルトの手がけた式典用の礼服。ウジェニーは、この肖像画にみられるように宝石をこよなく愛し、釣鐘状に広がるクリノリン・スタイルを流行らせ、ファッションリーダーと呼べる存在となりました。
ウジェニーと同時代に製作されたドレスや、ウジェニー旧蔵のボディスなどが並ぶさまはさながら当時のファッションショー。華やかさが際立つ光景です。
| 「マリー・アントワネット・スタイル」展示風景(横浜美術館、2026年) |
上の写真手前の、ダイヤモンド、サファイア、金、プラチナで構成されたショーメのガーランドスタイル・ストマッカーも日本オリジナル展示です。
3 永遠(とわ)に新しく——マリー・アントワネット・スタイル
この章では、マリー・アントワネットがつくりあげた「スタイル」にさまざまなかたちでインスピレーションを得た現代のクリエーターたちが手がけたファッション、デザイン、映画、音楽などが紹介されます。
映画やテレビでアントワネットの生涯は30本を超えて作品化されていますが、ソフィア・コッポラ監督の映画『マリー・アントワネット』(2006年)で主演のキルスティン・ダンストが着用したドレスをはじめ、映画やテレビドラマで使われた衣装も展示に華やかさを添えています。
| 「マリー・アントワネット・スタイル」展示風景(横浜美術館、2026年) |
ピンク系の背景に象牙色のレリーフが散りばめられたベス・ケイトルマンの《マリー・アントワネットの狂騒》は、18世紀フランスの画家ジャン=オノレ・フラゴナールの《ブランコ》をもとにしたパロディで、一見すると華やいだ雰囲気の作品に見えますが、ヴェルサイユ宮殿が群衆に占拠される様子が表されているなど、実は王政の崩壊を予感させるこわい作品なのです。
| マリー・アントワネットの狂騒 ベス・ケイトルマン 2025年 協力:ベス・ケイトルマン |
現代のファッションショーに登場するドレスがずらりと並ぶ様はまさに壮観!
マリー・アントワネット・スタイルが現代まで綿々と続いていることを実感させてくれる展示です。
特設ショップには、出品作をモチーフにしたグッズや、オリジナルグッズなど、どれもおしゃれなグッズが盛りだくさん。特設ショップにもぜひお立ち寄りください。
※グッズ各商品の在庫には限りがあります。詳細は展覧会特設ショップ混雑・グッズ情報X(https://x.com/mariestyle_info)をご確認ください。
| 「マリー・アントワネット・スタイル」特設ショップ(横浜美術館、2026年) |
出品作の美しい図版をはじめ、本展企画者のヴィクトリア&アルバート博物館シニア・キュレーターのサラ・グラント氏(Dr.)による巻頭論文のほか、横浜美術館学芸員の方によるエッセイ・コラムなどを収録した充実の内容の展覧会図録もおすすめです。
冒頭でもお伝えしましたが、世界を巡回する「マリー・アントワネット・スタイル」が国内で開催されるのはこの横浜美術館だけです。この機会にぜひ横浜でゴージャスな気分をお楽しみください!