2014年4月27日日曜日

「超絶技巧!明治工芸の粋」展web特別鑑賞会

三井記念美術館で4月19日(土)から始まった「超絶技巧!明治工芸の粋」展の特別鑑賞会に参加してきました。
「超絶技巧!」というタイトルどおり、本当に「すごい!」としか言いようのないほどの素晴らしい作品のオンパレードです。
こうやって私たちの目を楽しませてもらえるのも、多くが海外輸出用であったため国外に流出していた明治の工芸を買い戻し、熱心に収集し続けた清水三年坂美術館館長の村田理如(まさとし)さんのおかげです。

その村田さん、わざわざこの日のために京都から駆けつけてきて、山下裕二さん(明治学院大学教授)のギャラリートークに飛び入り参加してくれました。
直接お話しはできませんでしたが、一言お礼申し上げます。「どうもありがとうございました。」

(右が山下さん、左が村田さん)

村田さんの著書『幕末・明治の工芸』の書評を書いたのが、明治の工芸と出会ったきっかけ、とお話しされていた山下さん。展覧会を開催するなら、昭和4年に建築されたクラシックな建物、エントランスを入った展示室1の独立ケース、といった素晴らしい展示環境の整っている三井記念美術館で、と考えられていたそうです。


展示室1の独立ケースには、七宝、自在、薩摩、漆工、金工、牙彫といった明治の工芸の代表作品がずらりと陳列されています。
どの展覧会でも三井のこのスペースは、のっけから気分を盛り上げてくれるので、結構好きです。

まずは代表作の数々。
すべて象牙でできた自在海老。
「自在」というだけあってヒゲも足も尻尾もすべて本物のように動くそうです。
とても象牙とは思えません。


次は花見図花瓶。
これは明治期に「薩摩」と呼ばれた薩摩焼風の色絵陶器。

続いて「漆工」の四季草花蒔絵提箪笥。

これは「金工」の古瓦鳩香炉。
鳩の部分がふたの取っ手になっていて、ここにお香を入れて焚くものだそうです。
古く見せた瓦といい、鳩が見つめている蜘蛛といい芸が細かいです。


こちらは安藤緑山の牙彫の名品の数々。
展示室2の「竹の子、梅」。
どこから見ても本物にしか見えません。

展示室4の野菜や果物の数々。
展示台はまな板をイメージしているとのことです。





刺繍絵画も、絵の具とは違う輝きを放っています。




とてもすべては紹介しきれないので、少し視点を変えてかわいい動物たちの写真をお見せします。
ぜひ会場で探してみてください。

後ろを向いて吼える獅子

今にも跳ねそうなバッタ

ルーペでないとよく見えない小さな蟹


瓜の中をのぞき込むカタツムリ



目のくりくりしたカエル
 応挙の犬

羽を精いっぱい広げる孔雀

にらみ合う龍虎




 

そして最後に、私の一番のお気に入りの一品はこれ。
七宝の山水図香炉。
室町時代の山水画を見ているようで心がなごみます。

期間は7月13日(日)までです。
巡回展もあります。
詳しくは三井記念美術館のサイトをご覧ください。
  ↓
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html

とにかくおススメです。

(掲載した写真は主催者の許可を得て撮影したものです)




2014年4月2日水曜日

バイエルン美術紀行(11)カイザースブルク・ジンベル塔

平成25年9月6日(金)続き

宮殿の次はお城の見張り塔「ジンベル塔(Sinwellturm)」。

てっぺんの見張り台までらせん階段を延々と上って行く。

かつての見張り台、今の展望台から見るニュルンベルク市街。
正面の塔が聖セバルド教会でその左隣が旧市庁舎。その奥の塔は聖ロレンツ教会。


展望台には第二次世界大戦時に空襲の被害を受けた直後の写真も掛けられていた。
街が破壊されても、街の骨格となる教会や市庁舎を修復し、かつての街並みもできるだけ昔の面影を残すようにまちづくりを行ったことがよくわかる。


下りは階段の数を数えてみた。
112段あったので、階段を降り切ったところでこれから上がろうとする年配の女性に「112段ありましたよ」と声をかけたら、驚いた顔をして「じゃ。がんばらなくては」と言って階段を上っていった。


次は「深い井戸(Tiefer Brunnen)。
深い井戸はこの建物の中にある。

 入口でいかにも人のよさそうなおじさんがチケットを確認する。
チケットは、宮殿とそれに併設されたミュージアム、ジンベル塔と深い井戸の4か所に入場できる共通券で7ユーロ。


建物の中に入り、みんなで井戸のまわりで下をのぞいていると、さきほどの人のよさそうなおじさんが、井戸の説明をはじめた。
「この井戸は深さ約50メートルあって、みなさんが通ってきた中央広場にある「美しの泉(Schöner Brunnen)の水位と同じ高さにあるんですよ。さて、ここから水を流してみましょう。音を聞いていてくださいね」
そのおじさんはそう言うとジョッキに水を入れ井戸に流し込んだ。


しばらくすると、底の方から「バシャーン」という音がこだまともに聞こえてきた。
みんな「おーっ」と驚きの声をあげると、
そのおじさんあ「もう一度やってみましょう。水が底に落ちるまで5秒かかるので、5つ数えてみてください」と言って、うれしそうにジョッキに水を入れて、先ほどと同じく井戸に水を流し込んだ。
一、二、三、四、五「バシャーン」 
「おーっ」またもみんなが驚く。

あまりにみんなの受けがいいので、「この音は夢にまで出てくるかもしれませんね。今回は特に好評なのでもう一度やりましょう」と言って井戸に水を流してくれた。

「バシャーン」「おーっ」

ちなみに、中央広場の美しの泉は、下の写真ではわかりにくいが、この広場の北西の角の塔(後の二つの塔でなく、テントのすぐ後ろの方)の中にある。



次はろうそくを井戸の底まで下ろすショー。
水を流し込むところの写真でもわかるが、ろうそく立てに立てたろうそくがワイヤーで吊り下げられていて、それが井戸の底にスルスルと下がっていく仕組みになっている。


壁にはモニターがあり、左の画像は、上から、井戸の上のカメラ、ろうそく立てに設置したカメラ、ろうそく立ての下に設置したカメラの、それぞれの映像が写されている。右下の52.7という数字は、単位がmで井戸の深さを示している。このとき、ろうそくはまだ途中の光のあたりにあるのがわかる。

カイザーブルクの午後を楽しんでいたら、すでに時計は午後3時を回っていたので、 ふたたび街なかまで下りることにした。


街の中心を流れるペグニッツ川にはヘンカーシュテーク(Henkersteg)、「死刑執行人の小橋」という名のついた木の小橋かかっている。

中世風の街並みに石畳の道はよく似合う。

(次回に続く)