2015年3月8日日曜日

「チームラボ踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」最新作品プレス発表会・内覧会

好評につき5月10日(日)まで会期が延長された「チームラボ 踊る!アート展と、学ぶ!未来の遊園地」(日本科学未来館)の後期展示に先駆けて開催された「チームラボ最新作品『Floating Flower Garden-花と我と同根、庭と我と一体と』プレス発表会・内覧会」に行ってきました。


はじめに1階ロビーで作品発表会。
チームラボ代表の猪子寿之さん(下の写真右)から作品の解説がありました。
聞き手は日本科学未来館 展示企画開発課長 キュレーターの内田まほろ(同左)さん。


さて最新作品の「Floating Flower Garden-花と我と同根、庭と我と一体と」。

「広い部屋の中に天井から吊るされた花がいっぱいあって、人が入るとランの花が上に上がってそこに人が入れるだけの空間ができます。人を中心に半球状のドームができると考えてください。吊るされた花はランの花で、花の数は約2,300本、花の密度はかなり濃いです。普通に歩く速さで歩くと花にぶつかりませんが、走るとぶつかります」

猪子さんの後ろの画面に作品の映像が写し出されているが、いったいどういう空間なのだろうか?

「禅宗のお寺の庭から発想を得ました。京都にあるような禅宗のお寺の庭では、人は庭と対峙し、それと同時に庭に合わせて歩きますよね」

うーん、まだわからない。

「人は今まで天井や壁、床は装飾をして手をつけてきましたが、空っぽの空間には手を付けてきませんでした。この作品は、空っぽの空間にも手をつけていいんだ、というアプローチで作りました。大げさに言えば人類史上初めての試みと言っていいかもしれません」

人類史上初とあればいやがうえにも期待に胸がふくらむ。とにかく早く見てみたい!

最新作品は7階スタジオに展示されています。
混雑緩和のため時間割制だったので、しばらく1階の企画展示室を見てから決められた時間に7階に上がりました。

時間割制でも7階のスタジオ前には人の列ができていていましたが、ほどなくスタジオに入ると、さらに窓のある仕切りがあってそこから中をのぞくことができます。

空間は花で埋めつくされています。 

そして中に入ると目の前は花だらけなので、前に進んでも大丈夫かなと思いましたが、

足を踏み入れてみると、花は上に上がり、半球状の空間ができます。

とは言っても、説明や写真だけではよくわからないと思いますので、ぜひみなさんご自身で体験してみてください。
花に囲まれているだけでも幸せな気分になってきます。

次は1階企画展示ゾーンの主な作品を紹介します。


入口の黒いカーテンを開けて中に入ると、まずは「踊る!アート展」のコーナーが始まり、東京の四季の草花が出迎えてくれます。通路の両側、そして次の部屋に入ると床一面に花、花、花。

「花と人、コントロールできないけれども共に生きる、そして永久に-Tokyo」



「踊る!アート展」のコーナーでは、花の蕾が開いたり、花びらがひらひら宙を舞ったり、作品そのものが変化するので、しばらく眺めていないとその面白さがわかりません。

次の部屋には日本画風の作品が展示されています。
その中でも私のお気に入りは「生命は生命の力で生きている」。

はじめは梅の枝に雪が積もっていますが、


枝の雪も解け、月が出てきて、紅梅白梅の花も少しずつ咲きはじめ、雀も飛んできます。

さらに中央の木の枝は回転し続け、花はにぎやかに咲き誇り、緑の葉も梅の木の枝にからんできて、地面には雪解け水が流れて川ができ、

そして最後に花は満開となり、緑の葉も枝いっぱいに広がっていきます。

それにしてもこの作品、題材に紅梅白梅を選んだことや、かわいい雀、空に浮かぶ月、下を流れる川の水模様、どれをとっても琳派誕生400年にふさわしい、いかにも琳派風の作品ですね。

こちらは「増殖する生命-Gold」。タイトルどおり金箔がまぶしい。

そして何といっても私の一押しは動く伊藤若冲「世界は、統合されつつ、分割もされ、繰り返しつつ、いつも違う」。

鳳凰は大きな羽根をひろげはばたき、鶏はせわしなくあたりをキョロキョロ、虎はあたりをうかがい吠え、大きな白象はノシノシと歩く。
まさかあの若冲の「樹下鳥獣図屏風」が動きだすなんて。
こうやって見ると色使いの鮮やかな若冲の作品は250年前から現代アートしてるんですね。

他にも日本画風の「冷たい生命」「花と屍 剥落 十二幅対」があったり、光と音の一大ページェント「追われるカラス。追うカラスも追われるカラス、そして分割された視点-Light in Black」、壁に出てくる文字をタッチするとその光景が壁一面に広がる「世界はこんなにもやさしく、うつくしい」があったりと内容は盛りだくさん。

「世界はこんなにもやさしく、うつくしい」
海の文字をタッチすると海の光景が写し出されます。



次は「学ぶ!未来の遊園地」のコーナー。
このコーナーでは塗り絵をして、スタッフの人にスキャンしてもらうと、自分の描いた魚が水族館の水槽の中で泳ぐ「お絵かき水族館」や、




同じく建物をお絵かきする「3Dお絵かきタウン」




丸や四角の石の上を歩くと石が割れる「天才ケンケンパ」、

といった、子どもたちでも気軽に参加して学んで遊べる作品でいっぱいです。

お花の好きな人も、日本画の好きな人も、大人も子どもみんなが楽しめる展覧会です。

展覧会の公式ホームページはこちらです。

http://odoru.team-lab.net/

3月7日に再開したばかりですが、会期はあと約2ヶ月しかありません。お見逃しなく!

     

2015年3月1日日曜日

青い日記帳×ワシントン・ナショナル・ギャラリー展 ブロガー特別内覧会

2月24日(火)、現在、三菱一号館美術館で開催されているワシントン・ナショナル・ギャラリー展のブロガー特別内覧会に行ってきました。




はじめに同館館長の高橋明也さんからごあいさつがあり、
「今まで日本では2回ワシントン・ナショナル・ギャラリー展が開催され、今回も日本で人気の高い印象派の作品が展示されていますが、今回の特徴は作品が『小さい』ということ。手を伸ばすと届くような親しみやすさが、印象派以前の絵画と異なる印象派のラジカルなところ。こういった作品の数々をぜひ楽しんでいただきたい」
といったお話をいただきました。

続いて今回の展覧会を担当された同館学芸員の杉山菜穂子さんから、3階展示室にある作品の中からいくつかの作品の解説をいただきました。

杉山さんの左手前はマネ「競馬のレース」、その左はドガの「競馬」。
「マネの作品はレース中の現場の臨場感が出ているのに対して、ドガの作品はレース前ののどかな雰囲気が描かれている。この対比がおもしろい」と杉山さん。
小さなマネの作品には、後ろに見物している着飾った貴婦人たちが描かれていると解説していただいたので、あとで近くからよく見てみましたが、「これがそうかな」と思えるほど小さかったです。


次はルノワールの「花摘み」(右)と「ブドウの収穫」(左)。
「花摘み」が描かれた1875年頃、ルノワールはパリ・モンマルトルの丘にあるサクレクール寺院近くにアトリエを構えましたが、それは、その家の庭が気に入ったからとのことで、庭といってもイングリッシュガーデンのように整然と整備されたものでなく、ワイルドな感じが特に気に入ったから、とのことでした。この「花摘み」の絵もアトリエの庭がモデルになったのではと言われているそうです。
そして「ブドウの収穫」は「花摘み」の4年後に描かれたのですが、「2枚とも季節は同じ時に描かれたのに、画風が変わっていることに注目してください」との解説がありましたが、「花摘み」の方が私たちになじみのある絵のタッチかなと思いました。

「今回は、少ない色でシンプルな絵を描くルドンの作品も展示されています」と杉山さん。
近くで見ると空や海、緑の色が本当にきれいです。

そしておなじみルノワールの女性の肖像画も展示されています。
中央の絵は、パンフレットに出ている「猫を抱く女性」。
「女性の肌の質感、猫の毛のふわふわ感、まるでさわったような触感が感じられます」と杉山さん。

最後に、「第5章にはボナールとヴュイヤールの作品が展示されています。ナビ派の重要な画家である2人の作品は、日本ではあまり見ることができないのでぜひ見ていただきたい」といったお話がありました。

さて、ここからは入口に戻って各章ごとに作品を紹介していきます。

最初は第1章「戸外での制作」。
印象派の画家たちはイーゼルを屋外に持ち出し、外の景色を描きました。

入口の部屋にはモネ、ピサロ、シスレーといった「印象派といえばこの人たち」といった画家の作品が並び、まずは私たち印象派ファンを安心させてくれます。
 


さらに常連のブータンと続きます。


さきほど杉山さんに解説していただいた作品を通り過ぎ(第1章「戸外での制作」と第2章「友人とモデル」)、さらに先に進むと、小さな部屋がいくつかあります(この辺は第2章と第3章「芸術家の肖像」です)。

ゴーガン「カリエールに捧げる自画像」


マントルピースがいかにも家の中にいる、といった雰囲気を出してくれます。

こちらはモネの「ルノワール」(左)とベルト・モリゾ「窓辺にいる画家の姉」。

現在リニューアルのため閉館中の静嘉堂文庫美術館の古伊万里も展示されています。
静嘉堂文庫美術館のリニューアル記念特別展「金銀の系譜-宗達・光琳・抱一をめぐる美の世界」(10月31日~12月23日)も楽しみです。


2階に降りるとやはりおなじみのセザンヌの果物の静物画もあります(第4章「静物画」)。

そして最後に杉山さんおススメのボナールとヴァイヤール(第5章)。

ヴァイヤールの作品は小さくシンプルな構図のものばかりですが、どれも味わいがあります。


ボナールもいいですね。
作品中央の「画家のアトリエ」を見ていると、まるで自分がパリのアパートにいて、街の光景をぼんやりと眺めているような錯覚を覚えてきます。



印象派ファンのツボを押さえた、見ていてとても心地の良い展覧会でした。
会期は5月24日(日)までです。ぜひみなさんも三菱一号館美術館に足を運んでみてください。
詳細はこちらです。

http://mimt.jp/nga/

最後になりましたが、Takさん、ウィンダムさん、三菱一号館美術館のみなさん、貴重な場を設定していいただきありがとうございました。しっかり展覧会の宣伝します。
(会場内の画像は主催者の許可を得て撮影したものです)