2013年11月21日木曜日

ターナー展<ブロガーイベントwithスペシャルトーク>

昨日(11月20日)東京都美術館で開催された「ターナー展ブロガーイベントwithスペシャルトーク」に参加してきました。

この日のスケジュールは、
19:00~19:30が鈴木芳雄さん(元ブルータス編集長、フリーランス編集者、美術ジャーナリスト、愛知県立芸術大学客員教授)と、結城昌子さん(アートディレクター、エッセイスト)のトークショー、19:30~20:30が内覧会と2部構成になっていました。

まずはトークショー。


お二人のゲストからターナーにまつわる楽しいお話をいろいろ聞かせていただきましたが、ここでは特に印象に残ったことを紹介させていただきます。

結城さん
「パリでターナーの絵を初めて見たとき、ターナーの『空気』は動いている、と感じた。ぜひみなさんもターナーの『空気』を感じとってください」
「家に持って帰って飾るとしたらこれ、と言える好きな絵を一枚見つけると楽しいのでは」

ターナー展の広告コピーを担当した鈴木さん
「今回の企画はターナーの作品をトリミング自由、文字のせ自由という条件で作れたので、インパクトのあるものができた。コピーライター冥利に尽きます」
鈴木さんの今回のコピーがプロジェクターで紹介されていました。
確かにかっこいい。

次は内覧会。


入口から一歩入ると、もうそこはターナーの世界。「空気」が部屋じゅうに満ちあふれています。


ひとつ上の階に上がると、ヴァチカンから眺めたローマの光景がいきなり広がってきます。


そして、ヨーロッパ大陸を旅行した時のスケッチや歴史に取材した作品も。


さらにもう一階上がると、ヴェネチアの景色や、

後期の海の景色が広がってきます。


ターナーの空気を体じゅうに感じながら、私の一番のお気に入りはどれかな、と思って探していると、不思議なことに気がつきました。

少し離れたところから作品を見て、そのあと絵に近づいてみると、今まで遠くにあったものがググッと浮かび上がってくるように見えてくるのです。

例えば「ディドとアエネアス」。
近くで見ると、遠景だった街の景色がまるで3Dのように前面に出てくるように見えてきます。

そしてこの絵も。
「スピットヘッド:ポーツマス港に入る拿捕された二隻のデンマーク船」


遠くから見ると後ろにいるはずの白い船が、絵に近づくにつれて前にせり出してくるように見えてきます。

そうこうしているうちに間もなくタイムアウト。
さて、私の一番のお気に入りはどれかなと、考えているうちに思いついたのがこれ。
「ターナーのスケッチブック」

暖かい部屋の中で、ビールでも飲みながら一枚一枚めくって絵を眺めるのはさぞかし楽しいことでは、と想像してしまいます。

みなさんもぜひターナーの空気を感じて、自分の一枚を探してみてください。
ターナー展公式サイトはこちらです。
http://www.turner2013-14.jp/


最後になりましたが、楽しみにしていたターナー展でこういった企画を立てていただいた「ターナー展」広報事務局のみなさま、ありがとうございました。
(掲載した写真は内覧会のために特別に許可をいただいて撮影したものです。)
 
 



2013年11月17日日曜日

バイエルン美術紀行(5)

9月5日(木)ニュンフェンブルク城続き

木陰の中の道は夏の強い日差しを避けるにはちょうどいい。


遊歩道の隣を流れる小川。

最初の離宮は「アマーリエンブルク」。


離宮はいずれも王様が狩猟に出かけたときに休憩するところ。
建物は小さくても内装は豪華。
こちらは入口の広間。

さらに奥に進むと、壁には狩猟にまつわる絵が所狭しと掛けられている

次は「バーデンブルク」。

バーデン(温泉)というだけあってここには浴場がある。
こんな大きな湯船につかったらさぞかし気持ちよかったであろう。

湯船の上には豪華なシャンデリア。

浴場の反対側の寝室は中国趣味の絵画の部屋。
背景のありえない形をした岩は、まるで16世紀に現れた中国奇想派を見ているようだ。

ニュンフェンブルク城の敷地は何しろ広い。
次の離宮に行く途中、道に迷ってしまった。

ガチョウたちも気持ちよさそうにひと休み。


公園内をさ迷いながら「バーデンブルク」から30分ほど歩いて見つけたのが「パゴーデンブルク」。
ここも部屋の中が中国趣味の絵画で飾られているとの説明書きがあったので楽しみにしていたが、まだ閉館時間前にもかかわらず、なぜか扉が閉まっていた。
他にも待っている人がいたが、係の人はいつもとは違う人で慣れていないせいなのか、一生懸命に鍵を開けようとしても扉はいっこうに開かない。扉の横にあるダイヤルキーも押していたが、暗証番号が合わないようだ。
離宮一つ分損したと思ったが、次の離宮に入るのに閉館時間の5時に間に合わなくなるといけないので、仕方なくその場を去った。


最後が「マグダレーネンクラウゼ」。
「クラウゼ」とは庵のこと。

 
他の離宮とは違って祭壇があり、厳かな雰囲気が漂っている。


王宮にもどるとすでに午後5時を回っていた。
お掃除の女性が教えてくれたとおり、たしかに3時間はゆうにかかった。
(次回に続く)

2013年11月12日火曜日

バイエルン美術紀行(4)

9月5日(木)ミュンヘン続き

前回、ノイシュバンシュタイン城のことを書いたが、11月6日付けの朝日新聞朝刊を開いてびっくり。そのノイシュバンシュタイン城が、「ドイツの観光名所トップ30」で堂々第1位に輝いていたのだ。
ちなみに、第2位は、ドイツ最大のテーマパーク「ヨーロッパパーク」(知らなかった!)、第3位がケルン大聖堂、以下、ベルリンのブランデンブルク門、ベルリンの壁と続く。
このトップ30は、ドイツ観光局が行ったアンケート「2013年外国人が選ぶドイツ人気観光名所トップ100」からとられたものなので、ノイシュバンシュタイン城は日本人だけでなく、多くの外国人に支持されているようである。

私が帰りのお土産に買ったチョコレートの包装も、ゲーテとシラー(右下)、ベルリンの戦勝記念塔(左下)、ハンブルク港(左上)、と並んでノイシュバンシュタイン城(右上)。



おそるべしノイシュバンシュタイン城。ドイツの観光業界にとっては、まさにルードヴィッヒ2世さまさまである。

さて、ニュンフェンブルク城にもどる。
宮殿の次は馬車博物館。

 
 豪華絢爛に飾られた馬車がずらりと並ぶ。

冬は雪深いバイエルンではそりも王の乗り物として豪華に飾られた。
こちらは当時の様子を再現したジオラマ。


5つ頭をもった竜のそりもある。
棍棒を振り回して竜を叱咤いる男の人は見ているだけで寒くなりそう。

「ガオーッ」
口から出しているのは長い舌か、炎か?

何かと話題のルードヴィヒ2世の若き日の肖像。

馬車博物館の2階は陶器博物館という名前はつけられていないが、きれいな陶器がずらりと並んでいる。
 



こういった凝った陶器もある。
まるで円山応挙の絵のような優雅な孔雀。



こちらは二条城の狩野探幽筆「松鷹図」のような迫力のある鷹。

(次回に続く)