2014年2月27日木曜日

日本美術の週末

先週の土曜日、暖かい日差しに誘われて梅を見にふらりと熱海に行ってきました。
梅といっても梅園ではなく、目的はMOA美術館が所蔵する尾形光琳の国宝「紅白梅図屏風」です。




毎年、梅の時期になると公開されている作品で、2月になるといつも「今年こそは見に行くぞ」と思っていたのですが、何かと他の用事が入ったりして行きそびれていてたので、この日は思い切って快速アクティ熱海行きに乗って行ってきました。

学校の教科書や図録などで見ていた「紅白梅図屏風」は、てかてか輝いているという印象がありましたが、ようやく見ることができた実物は、少し照度を落とした展示室のショーケースに展示されていて、全体につや消しを吹きかけたような、落ち着いた渋みが感じられます。

翌日曜日は、山種美術館の「かわいい日本美術」、東京都美術館の「日本美術院再興100年 特別展 世紀の日本画」の前期展に行ってきました。

「かわいい日本美術」の方は、蛇に子供を食べられ悲しみに打ちひしがれた雀が出家して巡礼の旅に出るという室町時代の絵巻物「雀の小藤太絵巻」(サントリー美術館蔵)にまた会えるというのもありましたし、伊藤若冲の「樹花鳥獣図屏風」(静岡県立美術館蔵)を隅から隅までもう一度じっくり見てみたいという思いもあって、とても楽しみにしていましたが、これらの作品以外にも子どもたちの絵やリスや猫、うさぎといった動物たちもかわいく描かれた作品もたくさん展示されていて、とても楽しく、なごめる展覧会でした。
チケットの左側が若冲の「樹花鳥獣図屏風」の右隻です。



「世紀の日本画展」の方は前期展示が2月25日まででしたので、本当に滑り込みセーフで間に合いました。

こちらは閉館まぎわの5時半までいたので、最後は狩野芳崖や橋本雅邦、菱田春草、下村観山といった私にとってはなじみの深い、明治から大正にかけての日本画家の作品をほとんど貸切状態で味わうことができました。

中でも、観山の「弱法師」「白狐」(いずれも東京国立博物館蔵)は、去年の12月から今年の2月まで横浜美術館で開催されていた下村観山展で時期限定(12/7~12/20)で展示されていたのですが、時間がなくて後期しか見に行けなかったので、ぜひ見てみたいという作品でした。
どちらも観山らしく丁寧に書き込んだ作品で、特に「白狐」は、木の葉の一枚一枚、白狐の毛の一本一本まで見えるくらいで、館内に「ほたるの光」が流れる直前まで、細部までじっくりと眺めていました。
ということで今回のおみやげは「白狐」の絵はがきです。


 


「世紀の日本画展」は、日本美術院再興100年を記念した展覧会ですので、岡倉天心の肖像画(観山の下絵)や横山大観の作品もありました。芳崖、天心、大観、観山、春草というとどうしても去年見た映画「天心」を思い出してしまいます。
特に、天心役の竹中直人の個性的な演技は印象に残りました。
東京都美術館では「世紀の日本画展」を記念して、映画「天心」の上映会を開催しているので、ご興味のある方はぜひご覧になってください。
 ↓
映画「天心」上映会の案内
http://www.tobikan.jp/information/h25_20140213_1.html


「世紀の日本画展」の後期展示が始まる3月1日にはブロガーナイトに参加するので、そのレポートも掲載させていただきます。ご期待ください。

先々週の土曜日は、雪の残る上野公園を靴を濡らしながら歩いて東京国立博物館で開催されていた「クリーブランド美術館展」と「人間国宝展」に行ってきました。
2週連続雪が降ったりして、2月23日までの会期内に行けるかどうか危ぶまれましたが、どうにか行くことができて、これでトーハクとトビカンがコラボして開催した日本美術の三重奏「日本美術の祭典」の展覧会を制覇することができ、2週連続して「日本美術の週末」を楽しむことができました。

トーハクでのおみやげは会場内限定のガチャガチャでゲットした伊年印「雷神図屏風」です。








2014年2月9日日曜日

バイエルン美術紀行(9)ニュルンベルク4カイザースブルク

平成25年9月6日(金)ニュルンベルク続き
中央広場からなだらかな坂を上ると、カイザーブルクの城壁が見えてきた。


門をくぐって中に入り、受付に行くと、午後1時からのガイドツアーがあるというので、それに申し込み、待っている時間に少し腹ごしらえをすることにした。


それにしてもいつもことだが、朝しっかり食べるので昼になっても全くおなかが空かない。
それでもエネルギー補給に何か食べないと、と思い、受付近くの売店でレーズンパンを買い、ベンチに座って食べながら通り過ぎていく観光客の人たちを眺めていた。

今回の旅行は「美術紀行」と銘打っているので、あまり食事のことが出てこないが、実は紹介できるほどの食事をしていない、というのが本当のところだ。
まず、ミュンヘンに着いた日の夜は機内で一足早いオクトーバーフェストのメニューを食べたので夜は食べなくていいかな、と思ったが、夜の8時近くになって少しおなかが空いてきたので、駅の近くの食料品店でパスタとビールを買い込み、ホテルの部屋でとりあえず無事到着の祝杯をあげた。
といっても、早く休みたかったので、モッツァレラ、トマト、レタスのサンドと500mlの缶ビール、と至って軽めの夕食。



それにしてもこのお店の若いトルコ系の店員さんは愛想がよかった。
「日本から来た」というと、「コンニチワ」とか、5ユーロを出すと「これって『ゴ』っていうんだよね」とか日本語を使って話しかけてくるが、こちらも悪い気はしない。

ビールは地元ミュンヘンのPAULANERの酵母入り。
下の写真の一番下の行には「1516年のバイエルンのビール純粋令にしたがって製造された」と誇らしげに書かれている。
このブログでも以前に紹介したが、今でもドイツでは1516年にバイエルン公ヴィルヘルム4世が公布したビール純粋令が守られている。わざわざ「バイエルンの」としたあたりはミュンヘンの醸造所の誇りだろうか。
ドイツビールらしくコクがあって飲みごたえがある。


翌日はニュンフェンベルク城に行った日だが、この日の昼はお城の近くで食べたアイスクリーム。

夜も迷った挙句、駅ナカの売店で買ったラザニアとPAULANERの今度は酵母入りでないノーマルなもの。

ついでにこの日、ニュルンベルクから帰ったときの夕食は同じ駅ナカの売店で買ったパスタ・アラビアータといつもの食料品店で買ったビール。この日は銘柄を変えて修道僧のラベルのFranziskaner。
もちろんミュンヘンの地元のビール。

こちらが駅ナカの売店。お世話になりました。

ずいぶん安上がりな食事だったが、それでも料理の味は良かったし、地元のビールも味わえたし、自分なりに結構充実した食事だったと思っている。
さすがに最終日はレストランで夕食をとったが、それはまたあとで。
(次回に続く)