「超絶技巧!」というタイトルどおり、本当に「すごい!」としか言いようのないほどの素晴らしい作品のオンパレードです。
こうやって私たちの目を楽しませてもらえるのも、多くが海外輸出用であったため国外に流出していた明治の工芸を買い戻し、熱心に収集し続けた清水三年坂美術館館長の村田理如(まさとし)さんのおかげです。
その村田さん、わざわざこの日のために京都から駆けつけてきて、山下裕二さん(明治学院大学教授)のギャラリートークに飛び入り参加してくれました。
直接お話しはできませんでしたが、一言お礼申し上げます。「どうもありがとうございました。」
(右が山下さん、左が村田さん)
村田さんの著書『幕末・明治の工芸』の書評を書いたのが、明治の工芸と出会ったきっかけ、とお話しされていた山下さん。展覧会を開催するなら、昭和4年に建築されたクラシックな建物、エントランスを入った展示室1の独立ケース、といった素晴らしい展示環境の整っている三井記念美術館で、と考えられていたそうです。
展示室1の独立ケースには、七宝、自在、薩摩、漆工、金工、牙彫といった明治の工芸の代表作品がずらりと陳列されています。
どの展覧会でも三井のこのスペースは、のっけから気分を盛り上げてくれるので、結構好きです。
まずは代表作の数々。
すべて象牙でできた自在海老。
「自在」というだけあってヒゲも足も尻尾もすべて本物のように動くそうです。
とても象牙とは思えません。
次は花見図花瓶。
これは明治期に「薩摩」と呼ばれた薩摩焼風の色絵陶器。
続いて「漆工」の四季草花蒔絵提箪笥。
これは「金工」の古瓦鳩香炉。
鳩の部分がふたの取っ手になっていて、ここにお香を入れて焚くものだそうです。
古く見せた瓦といい、鳩が見つめている蜘蛛といい芸が細かいです。
こちらは安藤緑山の牙彫の名品の数々。
展示室2の「竹の子、梅」。
どこから見ても本物にしか見えません。
展示室4の野菜や果物の数々。
展示台はまな板をイメージしているとのことです。
刺繍絵画も、絵の具とは違う輝きを放っています。
とてもすべては紹介しきれないので、少し視点を変えてかわいい動物たちの写真をお見せします。
ぜひ会場で探してみてください。
後ろを向いて吼える獅子
今にも跳ねそうなバッタ
ルーペでないとよく見えない小さな蟹
応挙の犬
羽を精いっぱい広げる孔雀
にらみ合う龍虎
そして最後に、私の一番のお気に入りの一品はこれ。
七宝の山水図香炉。
室町時代の山水画を見ているようで心がなごみます。
巡回展もあります。
詳しくは三井記念美術館のサイトをご覧ください。
↓
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/index.html
とにかくおススメです。
(掲載した写真は主催者の許可を得て撮影したものです)