2021年5月13日木曜日

【5月15日(土)から再開!】山種美術館 開館55周年記念特別展「百花繚乱-華麗なる花の世界-」

緊急事態宣言の発令により4月27日(火)から臨時休館していた山種美術館が、感染症予防対策を強化して5月15日から再開!

毎年春恒例、花の展覧会が開催されている山種美術館。
今年も会場内は花の絵でいっぱい。
さわやかなこの季節に、春らしい雰囲気を感じとってみませんか。




展覧会概要

会 期  2021年4月10日(土)~6月27日(日) ※5月15日(土)から再開
開館時間 火~金 10時~16時
     土・日・祝日 10時~17時
     ※5月29日(土)から土・日・祝日は通常開館
     (入館はいずれも閉館の30分前まで) 
休館日  月曜日
入館料  一般 1300円 大学生・高校生 1000円 中学生以下 無料
※チケットは美術館受付で当日券を購入できます。
※混雑時に入場制限を行う場合があります。
※日時指定オンラインチケットの購入は、5月14日(金)正午から再開。
展覧会の詳細、入館日時のオンライン予約、感染症対策、混雑状況等については同館公式HPをご覧ください⇒https://www.yamatane-museum.jp/

※展示室内は次の作品を除き撮影禁止です。掲載した写真は内覧会で美術館より特別の許可をいただいて撮影したものです。
※掲載した写真はすべて山種美術館所蔵作品です。

今回の展覧会では、季節ごとの花や鳥が画面いっぱいに描かれた荒木十畝《四季花鳥》のみ写真撮影OKです。

荒木十畝《四季花鳥》1917(大正6)年
右から「春(華陰鳥語)」「夏(玉樹芳艸)」
「秋(林梢文錦)」「冬(山澗雪霽)」

展示は3章+特集の構成になっています。
 第1章 春から夏、咲き誇る花々
 第2章 花のユートピア
 第3章 秋と冬の彩り、再び春へ
 特集:百花の王・牡丹

それではさっそく会場内に入ってみることにしましょう。

四季をめぐる花たちの競演


第1展示室でお出迎えしてくれるのは小林古径《菖蒲》。
すくっと伸びた葉と色とりどりに咲く菖蒲の花。端午の節句の5月にふさわしい作品です。

小林古径《菖蒲》1952(昭和27)年

続いて、横山大観が描いた朝日に映える山桜。金泥の霞が人知れず咲く山桜の美しさを引き立てています。
そして再び小林古径。こちらも春らしいチューリップ。
左 横山大観《春朝》1939(昭和14)年頃
右 小林古径《鉢花》1953(昭和28)年

今回の展覧会では、全部で54点のうち小林古径の作品が6点展示されています。
古径が描く華麗な花の競演を楽しむことができるのも今回の楽しみのひとつです。

 「百花繚乱」で展示されている小林古径作品(☆は今回の記事で紹介している作品)
  ☆《菖蒲》、☆《鉢花》、☆《白華小禽》、《蓮》、《春日》、☆《牡丹》

横山大観の作品は2点展示されていて、もう1点の《寒椿》は、実は今回の展示作品の中で私のイチ押し。
主役は寒い冬に花を咲かせる寒椿なのですが、私が注目したのは金箔の上に墨で薄く描かれた竹の幹(竹稈)と竹の葉。冬のピンと張りつめた空気感が伝わってくるようです。
右が横山大観《寒椿》1949(昭和24)年
中央 速水御舟《椿ノ花》1933(昭和8)年
左 木村武山《秋色》20世紀(大正時代)


こちらは川端龍子らしい豪快な大作《八ツ橋》。
《八橋図屏風》(メトロポリタン美術館)など尾形光琳の屏風に刺激を受けたとのことですが、太平洋戦争末期の相次ぐ空襲の中、作品を完成させて自らが主催する「青龍展」を開催するという龍子の執念が感じられる迫力の作品です。
川端龍子《八ツ橋》1945(昭和20)年




可愛い鳥たちを探してみませんか?



小林古径作品の3点目は初夏に花を咲かせる泰山木と瑠璃鳥。
大きな白い花と、鳥のあざやかな青のコントラストが絶妙です。
小林古径《白華小禽》1935(昭和10)年


展覧会のタイトルが「百花繚乱」なので主役は四季の花ですが、昔から「花鳥画」と言われるくらい花と鳥はいつも一緒に描かれていました。
写真撮影OKの作品、荒木十畝《四季花鳥》にも鳥たちが描かれていますが、作品の中にかわいい鳥を探してみるのも今回の展覧会の楽しみの一つです。

京都画壇からは、江戸時代後期に活躍した岸派の岸連山《花鳥図》。
右隻の優雅な立ち振る舞いの鶴の群れ、左隻の華麗な孔雀のつがいに目を奪われがちですが、右隻上方の控えめな表情のオウムにも注目です。
岸連山《花鳥図》19世紀(江戸時代)

幕末から明治に活躍した大家たちの描く芙蓉と鳥たち。
芙蓉は夏を代表する花です。
右 狩野芳崖《芙蓉白鷺》1872(明治5)年頃
左 野口小蘋《芙蓉夏鴨》1900(明治33)年


夏から秋、冬になって春の訪れを告げる梅とともに描かれているのは、北宋・徽宗皇帝(款)《桃鳩図》を思わせる小茂田青樹《梅鳩》と、白梅の白とカラフルな小禽の色合いがマッチしている土田麦僊《梅花小禽》。
右 小茂田青樹《梅鳩》1925(大正14)年
左 土田麦僊《梅花小禽》20世紀(大正-昭和時代)

特集:百花の王・牡丹


「百花繚乱」のトリを務めるのは、第2展示室に展示されている百花の王・牡丹の作品。
6人の日本画家による6点の個性的な作品が楽しめます。
右 川端龍子《牡丹》1961(昭和36)年
左 小林古径《牡丹》1951(昭和26)年頃

菱田春草が描く可憐な白牡丹。
ここには白牡丹の上を舞う蝶が描かれています。長寿を象徴する蝶をぜひ探してみてください。

菱田春草《白牡丹》1901(明治34)年頃

展覧会オリジナルグッズも和菓子も充実してます


色とりどりの花の展覧会なので、展覧会オリジナルグッズもカラフル。

特におススメは今回新発売の荒木十畝《四季花鳥》をモチーフにしたマスキングテープ(税込440円)。
絵と絵の間の空白がまるで額縁のようです。
好きな長さに切って、手帳の表紙などに貼りつけてもオシャレかもしれません。
川端龍子《八ツ橋》をモチーフにしたマスキングテープ(税込440円)もあるのでどちらにしようか迷ってしまいます。




今回の展覧会の図録ではありませんが、山種美術館の花の絵画の優品を掲載した『山種コレクション 花の絵画 名品集 Flower』(税込1,320円)もおススメです。
塗り絵もあるので、おうちでもアートが楽しめます。



作品を見る楽しみに加えて、作品にちなんだオリジナル特製和菓子を味わえるのも山種美術館の魅力の一つ。
抹茶とオリジナル特製和菓子のセットで1,200円。
鑑賞後のホッとしたひと時にいかがでしょうか。

レパートリーは次の5種類。カッコ内はモチーフとなった作品で、すべて山種美術館蔵です。
上の写真上から時計回りに、「花のかおり」(小林古径《白華小禽》)、「百花」(菱田春草《白牡丹》)、「あずまくだり」(川端龍子《八ツ橋》(左隻))、「はすはな」(小林古径《蓮》)、「雨あがり」(山口蓬春《梅雨晴》)。

会期は6月27日(日)まで。
華やかな花や鳥たちの展覧会をぜひお楽しみください!