2022年10月20日木曜日

山種美術館【特別展】没後80年記念 竹内栖鳳

 東京・広尾の山種美術館では、【特別展】没後80年記念 竹内栖鳳 が開催されています。

展覧会チラシ
(「竹」と「鳳」の一画が猫の瞳の色と同じに
なっているのがアクセントになっています。)




今年は近代京都画壇を代表する日本画家・竹内栖鳳(1864-1942)の没後80年。
今回の特別展は、同館が所蔵する竹内栖鳳作品全26点をはじめ、個人蔵の初公開作品を含む初期から晩年までの作品全37点が出品される10年ぶりの回顧展になります。

あわせて、栖鳳の先人たちや、同時代に活躍した日本画家、栖鳳の弟子たちの作品を通して、江戸時代から昭和までの京都画壇の流れをたどることもできる盛りだくさんの内容の展覧会なのです。

それではさっそく展示室内の様子をご紹介したいと思います。

展覧会概要

会 期  2022年10月6日(木)~12月4日(日)
  ※会期中、一部展示替えあり。
  前期 10月6日(木)~11月6日(日)
  後期 11月8日(火)~12月4日(日)  
開館時間 午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
休館日  月曜日
入館料  一般 1300円、大学生・高校生 1000円、中学生以無料(付添者の同伴が必要)
     障がい者手帳、被爆者健康手帳をご提示の方、およびその介助者(1名)一般1100
     円、上記いずれかのうち大学生・高校生900円
     ※きもの特典:きものでご来館のお客様は、一般200円引き、大学生・高校生
      100円引きの料金となります。
     ※複数の割引・特典の併用はできません。
     入館時のオンライン予約も可能です。詳細は山種美術館公式サイトをご覧くださ   
     い。

    お得な相互割引のご案内!
     下記チケットの提示で入館料を100円割引。
     *いずれも対象券1枚につき1名様、1回限り有効。
     *入館チケットご購入時に受付にご提示ください。購入後の割引はできません。
     *他の割引との併用はできません。
     *オンラインチケットは割引対象外。

展示構成
 第1章 竹内栖鳳
 第2章 栖鳳をめぐる人々
   京都画壇の先人たち
   同時代の画家たち
   栖鳳の弟子たち
 特集 国画創作協会-栖鳳が応援した画家たち- 

山種美術館公式サイト⇒https://www.yamatane-museum.jp/

※展示室内は《班猫》を除き撮影禁止です。掲載した写真は内覧会で美術館より特別の許可をいただいて撮影したものです。
※掲載した作品のうち、前期後期で展示替えがあるものはその旨を表記しました。


本展限り!《班猫》が撮影できます。

同館所蔵の竹内栖鳳作品の中でも特に人気があるのが、重要文化財《班猫》。
今回に限り特別に写真撮影ができます。
 ※撮影はスマートフォン・タブレット・携帯電話に限ります。

竹内栖鳳《班猫》【重要文化財】1924(大正13)年
山種美術館蔵

今回はモデルとなった猫の写真もパネル展示されていますので、ぜひ見比べてみてください!

「班猫チャレンジ」のお知らせ
    山種美術館では、《班猫》にちなんで、毛づくろいをする猫や、《班猫》そっくりな猫
 の写真を募集しています。
  すてきな投稿には山種美術館公式アカウントからリアクションがあるかもしれません。
 ぜひご参加ください!
 
  応募期間:~2022年12月4日(日)
  応募方法:TwitterまたはInstagramでハッシュタグ「#班猫チャレンジ #山種美術館」 
       をつけて投稿すれば応募完了です。


見どころ2 個人蔵の初公開作品はじめ、バリエーション豊かな栖鳳作品が見られます!

今回の特別展では、同館が所蔵する栖鳳作品全26点のほかに、東京国立博物館所蔵の《松虎》(前期展示)と、初公開10点(通期展示8点+後期展示2点)を含む個人蔵11点、全部で38点の作品が展示されます。

そして、《班猫》はじめ可愛い動物たち、国内や海外のさりげない風景、四季のうつろいを感じさせてくれる風物詩、そしてお釈迦様も描かれていて、あらためて栖鳳の画業の幅の広さを感じさせてくれる、バリエーションに富んだ内容になっています。

まずは初公開の個人蔵の作品から。

左から、竹内栖鳳《焦山猛乕》1904(明治37)年、
《釈迦出山図》《立雛図》どちらも1908(明治41)年、
いずれも個人蔵

《釈迦出山図》は、6年も山で修業しても悟りを得られず、憔悴しきって山を下りてきた釈迦の姿を描いた作品。

栖鳳が描いた道釈人物画(道教、仏教に関する人物画)を見るのは初めてでしたが、釈迦の衣のしわ、画面上部の枝ぶりなど、中国南宋の画家、梁楷の国宝《出山釈迦図》(東京国立博物館)を参考にしているのがよく分かります。
栖鳳の中国絵画学習の成果が伝わってくる作品です。

続いて、可愛い動物たち。

猫だけでなく鳥も、蛙も、どれもが可愛く描かれていて、栖鳳の動物たちを見る優しさが伝わってくるようです。

左から、竹内栖鳳《みゝづく》1933(昭和8)年頃、
《風かおる》1937(昭和12)年
どちらも山種美術館蔵 


竹内栖鳳《緑池》1927(昭和2)年頃
山種美術館蔵

下の写真右の《遊鹿》(個人蔵)では鹿の親子が可愛らしく描かれていますが、魚は・・・
「可愛い」ではなく、海から上がったばかりの新鮮で美しい姿が描かれています。


左から、竹内栖鳳《松魚》、《海幸》、《遊鹿》
いずれも1926-42年頃(昭和時代)、個人蔵


そして、動物画と並んで風景画も今回の特別展の見どころのひとつです。


右から、竹内栖鳳《城外風薫》、《潮来小暑》
どちらも1930(昭和5)年 山種美術館蔵

《城外風薫》は中国江南地方の蘇州を描いた作品。
水郷に囲まれ、古い街並みが残る蘇州は、にぎやかで見どころも多くて、とてもいい雰囲気の街でした。
この作品を見ていたら蘇州をはじめとした江南地方にまた行ってみたくなりました。

一見水彩画のように見える淡い色彩の風景画も味わい深いものがありますが、落ち着いた雰囲気の水墨山水の世界にも心を惹かれます。

右から、竹内栖鳳《晩鴉》、《水墨山水》どちらも1933(昭和8)年、
《雨中山水》1932(昭和7)年頃、いずれも山種美術館蔵


この作品のタイトルはそのものずばり《水墨山水》。
墨の濃淡とにじみで表現された世界が何ともいえない透明感を出しています。
小さいですが、画面左に描かれた橋を渡る人物の姿が印象に残りました。

竹内栖鳳《水墨山水》1933(昭和8)年、
山種美術館蔵


見どころ3 江戸から昭和にかけての京都画壇の画家たちの名作が見られます!

関東地方の美術館では京都画壇の画家たちの作品をまとめて見る機会はあまり多くないので、今回の特別展は、江戸時代から明治、大正、昭和にかけての京都画壇の名作を見ることができる絶好の機会です。

江戸時代中期以降、京都画壇の主流を占めたのは円山・四条派でした。

「京都画壇の先人たち」展示風景

円山応挙に学んだ森徹山が描く兎のふわふわした毛並みは、その後の栖鳳をはじめとした京都画壇の日本画家たちにも綿々と引き継がれていることが分かります。

森徹山《兎図》19世紀(江戸時代)
山種美術館蔵

栖鳳が師事した幸野楳嶺も円山・四条派の流れを汲む画家でした。
そして、栖鳳と並んで楳嶺門下の四天王と呼ばれた、菊池芳文、都路華香、栖鳳と同時代に活躍した山元春挙の作品も並んでいるので、それぞれの画家に共通するものと個性の違いを見比べてみることができます。

菊池芳文《花鳥十二ヶ月》1868-1918年頃(明治-大正時代)
山種美術館蔵 前後期で頁替あり



左から、都路華香《萬相亭》1921(大正10)年、
山元春挙《清流》1927-33(昭和2-8)年頃、《曠原放牧図》1916(大正5)年頃
いずれも山種美術館蔵


動物描写では師の栖鳳をしのぐといわれた西村五雲の《白熊》は、オットセイを捕らえる白熊の迫力ある姿を描いています。

画面からは、五雲が京都市動物園で初めて巨大な白熊を見た時の衝撃の強さが伝わってくるようです。

西村五雲《白熊》1907(明治40)年
山種美術館蔵

今回の特集は「国画創作協会-栖鳳が応援した画家たち-」。

第二展示室には国画創作協会創設時の中心メンバーで、栖鳳が教鞭をとった京都市立絵画専門学校の卒業生、土田麦僊、村上華岳、小野竹喬と、のちに同協会に加わった入江波光の作品が展示されています。

村上華岳が描いた「久遠の女性」を見ると、いつもうっとりしてしまいます。

村上華岳《裸婦図》【重要文化財】1920(大正9)年
山種美術館蔵

最後にご紹介したいのは、近代日本画界の東西の巨匠たちの合作《松竹梅》。
この作品は、日本橋・三越で開催された、当時の画壇を代表する日本画家6人による淡交会に出品されたもので、西の栖鳳、東の大観と並び称された東西の横綱と、栖鳳と同じく幸野楳嶺に師事したあと上京して橋本雅邦の門に入った川合玉堂という豪華メンバーの3人がそれぞれが梅、松、竹を描いています。

この中では、玉堂の《竹》に描かれた小鳥たちのしぐさの可愛さに特に心を惹かれました。

横山大観・川合玉堂・竹内栖鳳《松竹梅》
(右から川合玉堂《竹》、横山大観《松》、竹内栖鳳《梅》
1934(昭和9)年 山種美術館蔵


オリジナルグッズも、オリジナル和菓子も、関連イベントも盛りだくさん!

今回は《班猫》をモチーフにしたオリジナルグッズが充実しています。
「オリジナル班猫トートバッグ(税込み1,320円)は新発売!



山種美術館が所蔵する全26点の竹内栖鳳作品が収録された『山種美術館所蔵 竹内栖鳳作品集』(税込み1,100円)も新発売です。




オリジナル和菓子は今回もどれも美味しそう。
ランチメニューもあるので、美術館1階ロビーの「Cafe 椿」にぜひお立ち寄りください。


上の写真一番上から時計回りに、「蓮はな(村上華岳《裸婦図》【重要文化財】)」、「秋の風(竹内栖鳳《柿の実》)」、「ちとせ(西村五雲《松鶴》)」、「えびす鯛(竹内栖鳳《艸影帖 ・色紙十二ヶ月》のうち「鯛(1月)」)、「薫風(竹内栖鳳《風かおる》)」。
(カッコ内はモチーフにした作品。すべて山種美術館蔵)

高級美術複製画(彩美版®)第2弾が新発売!

山種美術館所蔵作品の高級美術複製画(彩美版®)の第2弾は、今回の特別展で展示中の上村松篁《白孔雀》。
ミュージアムショップにも飾られていて、案内パンフレットもいただけます。
ご自宅でも山種美術館所蔵作品をお楽しみください!



【オンライン講演会のお知らせ】

10月22日(土)14:00-15:30にはオンライン講演会が開催されます。

講師:小宮輝之氏(上野動物園 元園長・日本鳥類保護連盟 会長)
「日本画に描かれた動物たち-竹内栖鳳を中心に-」
講演会参加費 1,500円
アーカイブ視聴期間もあります。詳しくはこちらです⇒オンライン講演会

また、過去のオンライン講演会動画のアーカイブも販売中です。詳しくは同館公式サイトをご覧ください⇒https://www.yamatane-museum.jp/


【公募展】Seed 山種美術館 日本画アワード 2024-未来をになう日本画新世代-

山種美術館では、日本画の新たな創造に努める優秀な画家の発掘と育成を目指し、
公募展「Seed 山種美術館 日本画アワード 2024」を開催します。
 詳しくは公募展のサイトをご覧ください⇒Seed 山種美術館 日本画アワード 2024

最後にうれしいお知らせ。

山種美術館がSNSイベント「Museum Week 2022」で『最も反響の大きい文化施設』第3位を獲得しました。

おめでとうございます!

展示も、オリジナルグッズも、関連イベントも、どれも盛りだくさんの展覧会です。
ぜひ会場にお越しください!