東京・虎ノ門の大倉集古館では、企画展「美しい瞬間(とき)ー美人画を中心に」が開催されています。
今回の企画展は日本・中国・インドで17世紀から20世紀に描かれた美人画や風景画、さらには化粧道具なども展示されているとても華やいだ雰囲気の展覧会です。
先日、展覧会におうかがいしましたので、さっそく展示の様子をご紹介したいと思います。
今回の企画展は日本・中国・インドで17世紀から20世紀に描かれた美人画や風景画、さらには化粧道具なども展示されているとても華やいだ雰囲気の展覧会です。
先日、展覧会におうかがいしましたので、さっそく展示の様子をご紹介したいと思います。
展覧会開催概要
会 期 2026年10月3日(土)~12月20日(日)
前期:10月3日(土)~11月8日(日) 後期:11月10日(火)~12月20日(日)
開館時間 10:00~17:00(入館は16:30まで)
休館日 毎週月曜日(休日の場合は翌火曜日)
入館料 一般 1,000円、大学・高校生 800円※学生証をご提示ください
中学生以下無料
展覧会の詳細、ギャラリートークなどのイベント、各種割引等は同館公式サイトをご覧ください⇒https://www.shukokan.org/
※今回の企画展では一部作品を除き撮影ができます。展示室内で撮影の注意事項をご確認ください。後期展示作品及び鏡台は、主催者より広報用画像をお借りしたものです。
展示は1階展示室の「いにしえの女性」で始まります。
冒頭に登場するのは、中国8世紀・唐時代の最新モードを取り入れたメイクをして優雅にたたずむ女性と、記紀に伝えられる三韓征伐の主役で、応神天皇の母とされる神功皇后が鎧を身につけ弓を持った勇ましい姿です。
《鳥毛立女図(模本)》は、正倉院宝物の《鳥毛立女屛風》(奈良時代・8世紀)の模写の一部で、古代における理想の美人像を今に伝える作品です。《神功揚武図》は泰麗という生没年不明の画家により明治~大正時代に描かれたとされる作品で、赤子の応神天皇とともに描かれるのは、母子信仰を背景としているものです。
次にご紹介するのは、仇英の落款と印章が付された《宮女図巻》。
中国・明時代に活躍した画家で、沈周、文徴明、唐寅ともに明四大家と称される仇英は、山水画、人物画を得意とし、なかでも優美な女性像を描いた美人画は人気を集め、後世多くの画家に模倣されました。
この《宮女図巻》も後世描かれたものの一つと考えられますが、女性たち一人ひとりの表情が穏やかで、とても優雅な姿で描かれています。
中国・中唐期の詩人・白居易の「長恨歌」で語られる絶世の美女・楊貴妃は、唐の皇帝・玄宗の寵愛を一身に受け栄華を極めましたが、安史の乱で悲惨な最期を遂げた悲劇のヒロインでもありました。
ここには楊貴妃にまつわる作品が展示されています。
| 右から 鈴木淡園《楊貴妃図》 明治~昭和・20世紀 個人蔵 河鍋暁翠《楊貴妃(能楽圖繪のうち)》 明治32年(1899) 櫂舟三郎コレクション 《能面 増女》「出目洞水」焼印 江戸時代・18世紀、大倉集古館蔵 《天冠》、 《唐団扇》どちらも江戸時代・18~19世紀 大倉集古館蔵 いずれも通期展示 |
大阪で活躍した絵師・鈴木淡園の《楊貴妃図》は、長澤蘆雪《唐美人図》を手本にしたと考えられていますが、蘆雪画が鏡を見る美人であるのに対して、この作品は落ち着いた才女としての側面が強調されています。
鬼才・河鍋暁斎の娘・河鍋暁翠筆《楊貴妃(能楽圖繪のうち)》は、能「楊貴妃」を題材とした作品。
能「楊貴妃」は、楊貴妃を死に追いやった玄宗皇帝が、方士(呪術師)に命じて彼女の霊魂を探させる話。狩野山雪《長恨歌図巻》)(アイルランド チェスター・ビーティ―コレクション)に描かれた、楊貴妃の霊魂を求めて冥界に飛んでいく方士の姿を思い出しました。
絵画作品とともに、天女や女神、楊貴妃のような貴人女性の役に用いられる能面の「増女(ぞう)」や、高貴な女性や天女などの役に用いる「天冠」、中国風を表す「唐団扇」が展示されているので、ここは能「楊貴妃」の雰囲気が立体的に表現された素晴らしい空間です。
冒頭でご紹介したように、女性が描かれた作品だけでなく、化粧道具も展示されていて、それがとてもいいアクセントになっています。
2階に向かうと、インドの女性と女神が描かれた細密画が12点も展示されていました。どれも小さな作品ですが、文字どおり細部まで細かく描かれているので、とても見ごたえがあります。
中でも特に気に入ったのは、ヴェールの透明感が見事に表現された《バニ・タニ像》でした。
原画は18世紀に描かれた「インドのモナ・リザ」ともいわれる有名な作品で、この作品は原画をもとに象牙絵として作られたものです。
このように、古代日本の女性や、中国やインドの女性が描かれた作品が展示されているのが今回の企画展の大きな見どころですが、江戸時代の浮世絵や、近代日本画家によって描かれた美人画のファンのみなさま、ご心配なく。
人気浮世絵師による肉筆浮世絵も、「西の松園、東の清方」と並び称された上村松園や鏑木清方の美人画も今回の企画展の大きな見どころのひとつです。
上村松園の作品は前期後期で総入れ替えという豪華版。
鏑木清方と清方の弟子の伊東深水の作品は撮影不可ですが、展示室内では東西美人画の名手たちによる美人画の競演が楽しめます。
メインビジュアルになっている三木翠山《鏡》は前期展示ですのでお見逃しなく!
うれしそうな顔がとてもチャーミングです。
かがり火に照らされた桜の花が映える横山大観の大作《夜桜》は後期展示です。
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| 横山大観《夜桜》(左隻) 昭和4年(1929) 大倉集古館蔵 後期展示 |
勝川派の祖で、葛飾北斎の師としても知られる勝川春章筆《娘道成寺図》も後期に展示されます。
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| 勝川春章《娘道成寺図》 江戸時代・1783~87頃 個人蔵 後期展示 |
楊貴妃のコーナーでもご紹介しましたが、今回の企画展では絵画作品だけでなく、工芸作品も組み合わされて展示されているのがとてもよかったです。
後期に展示される《友禅黒留袖 時国風景》は、現代の名工による能登の風景をモチーフにしたきらびやかな作品です。



