2015年12月23日水曜日

2015年のドイツを振り返って

おととい(12月21日)、6月に買い込んでいた極甘のドイツワインのボトルを開けた。



極甘というだけあって、辛口ワインが好きな人にとっては卒倒してしまうほど甘いかもしれないが、このまったりとした口当たりが何とも言えず心地よい。

さて今年も余すところあと1週間。

今年はドイツ統一から25周年の記念すべき年。
統一から25年が経過したのに東西ドイツ市民の間にはいまだに「心の壁」があることは10月のブログで紹介したが、10月3日の統一記念日を見届けるかのように、統一当時大きな役割を担った2人の関係者が相次いでこの世を去った。

一人は11月1日に亡くなった旧東ドイツ政府政治局員ギュンター・シャボウスキー氏。

もう一人は12月19日に亡くなった元ライプツィヒ・ゲバントハウス管弦楽団の楽団長クルト・マズア
氏。

二人に共通するのは、東ドイツ全土で市民のデモが激化して、いつ流血の惨事が起こるかわからない、という状況の中、それぞれ政府の代表、市民の代表という立場の異なる二人の言動が最悪の事態を避ける結果となっということ。もちろん、前者はそれを意図したわけではないが。

(ベルリンの壁崩壊の状況及び二人の演じた役割については、このブログで2011年9月10日から12月18日まで10回連載した「ベルリンの壁崩壊」で紹介しているので、ぜひご覧になってください)


そして今、統一を実現したドイツに大きくのしかかってきたのが、シリアからの難民受入とシリアへの軍事介入の問題。

ドイツ政府は12月4日に対IS軍事行動に参加することを決め、18日には国連の安全保障理事会がシリアの和平をめざす決議案を全会一致で採択したが、アサド政権、自由シリア軍などの反体制派、ヌスラ戦線などアルカイダ系、そしてISが入り乱れて内戦状態になっているシリアに、どのように和平をもたらしていくのか先行きは全く不透明である。

新聞やテレビのニュースでは、連日シリアの惨状が報道されるが、今から21年前(1994年)、シリアに旅行をして、モスクや遺跡の素晴らしさに感動しただけよけいに心が痛む。

当時、アラブ圏に興味をもち、アラビア語を勉強していた私が最初に行きたいと思ったのが、広大な大地に遺跡が広がるパルミラだった。
そこで当時、JTBが企画したシリア・ヨルダンを巡る11日間のツアーに参加した。

カイロ経由でダマスカスまで飛行機で飛び、そこからバスでパルミラに向かい、パルミラに到着したのは夕刻。夕闇が迫り、静けさに包まれたパルミラの廃墟の光景は、今でも私の心の中に印象深く残っている。

そこで、全く微力かもしれないが、「今、戦場になっているのはこんなに素晴らしい所だったのだ」ということを少しでも多くの人に伝え、関心をもってもらいたいと思い、来年から少しずつ21年前のシリア・ヨルダン旅行の様子を紹介したいと考えている。

(今年一年ご愛読ありがとうございました。来年もご愛顧のほどよろしくお願いいたいします。それではみなさまよいお年を)