2012年12月10日月曜日

ドイツ・ゲーテ紀行(1)

9月4日(火)深夜
全日空が羽田発のフランクフルト直行便を出してくれたおかげで、ドイツがほんとうに近くなった。
仕事を終えて家に帰りシャワーを浴びて、ザックを背負って羽田空港に向かっても受付時間の11時には余裕で間に合う。
日付が変わって午前1時に出発するNH203便は、その日の朝6時10分にはフランクフルトに到着するのだから、初日から丸1日観光に使える。
帰りも昼の11時55分にフランクフルトを出発して、翌朝6時20分には羽田に到着するので、無理をすればそのまま会社に行って仕事をすることもできる。
週末をからめれば何日も休暇をとらなくてもドイツに行けるようになったのだ。
費用対効果を考えれば、せっかくお金をかけるのだから長く現地にとどまりたいと思うのが人情だが、行きたいけど時間がとれないという人でもふらりとドイツに行けるのだから、この気軽さがなんともいえない。

ドイツだけでなく、アジアやヨーロッパ、北米に行く便も多い。
週末を利用して東南アジアやアメリカにも行けると思うと、嬉しくなってくる。私は眠気をこらえながら、しばし出発便の案内ボードを眺めていた。
そのあとは眠気覚ましに、夜中でも一つだけ開いていたカフェでコーヒーを飲みながら、駐機場に停まっている飛行機を眺めていた。



9月5日(水)
フランクフルト空港にはほぼ定刻どおり到着した。
ワイマールに向かう特急が出発するまでまだ時間があったので、まずは朝食。
さすがに空港の中だけあって、朝早くてもコーヒーショップはしっかり開いている。
そこで食べたのがこれ。
大好物のブレッツェル、それにモッツァレラチーズとトマトのサンドとコーヒー。

食後は、構内のベンチで一休み。
下の写真は今回の荷物。
昨年の11月にドイツに行った時は寒さ対策で服がかさばったが、今回は一回り小さいザックに荷物を収めることができた。
とは言っても、ワイマールはかなり涼しいという予報だったので、セーターとジャケットを持って行ったが、その分は外付けになってしまった。左の黄色い袋に入っているのがセーター。
海外に行く時も荷物はザック一つ。古着は途中でホテルに置いて、空いたスペースにお土産のお菓子を入れて帰ってくる、という私のポリシーからすると、少しズルをしたことなるが、ワイマールではセーターとジャケットを着て歩いたし、帰りはお土産といっしょにセーターから何から全部ザックに押し込むことができたので、まあ合格点だろうか。

列車は8時11分に出発する。
私は少し早めに空港地下の長距離列車用のホームに降りて行った。
そして、電光掲示板で時間と到着ホームをもう一度確認してからベンチに座り列車の到着を待っていた。
しかし、出発時間が近づいても、ホームに列車が入ってこない。
遅れているのかなと思いもう一度電光掲示板を見たら、いつの間にか「運休」というテロップが流れていた。
運休のアナウンスは何もなく、テロップには運休の理由も書かれていなかった。
しかたなくもう一度上の階に上がり、駅の窓口で次の列車に座席の予約を変更することにした。
時刻表を見たところ、1時間後にICE(ドイツの新幹線)がある。

「(運休になった特急の券を見せながら)ワイマールに行きたいので、9時1分発のICEに変更したいのですが」
「(手元のコンピューターで調べて)この列車は満席です。10時11分発のIC(特急)なら席はありますが」
「そうですか。ではそれでお願いします」
「料金は・・・、あっ、もう支払済みですね。ではチケットをどうぞ」
「はい、ありがとうございます」


たまたまかもしれないが、駅の窓口で私の対応をしてくれるのは、なぜか決まって中年の女性だ。
応対は丁寧すぎるということはなく、気さくで、そして堂々と自信をもっててきぱきとさばいてくれるので安心できる。

ということで、結局フランクフルト空港駅で2時間待たされることになったが、その間、ゲーテの自伝『詩と真実』の中のヨーゼフⅡ世の戴冠式の祝宴に若き日のゲーテがもぐりこんだ箇所を読み返したり、地球の歩き方のワイマールのページを見たりしながら、これからの行程の予習をすることができた。

これが私が乗った特急。

(次回に続く)