福島駅から福島交通飯坂線に乗り、2つめの「美術館図書館前」で降りて徒歩約3分、美術館は静かな山あいの中にあります。
入口では、伊藤若冲の「鳥獣花木図屏風」の看板がお出迎え。
美術館に着いたのが午後2時過ぎ。これから閉館の5時近くまでじっくり見て、5時過ぎの電車で帰るつもりでいたので、先にミュージアムショップに寄ってお目当てのものを買いました。
まずは「鳥獣花木図屏風」の絵はがき(奥)と一筆箋(手前)。
この一筆箋はすぐれもので、表は白紙でメモができるようになっていますが、裏は 「鳥獣花木図屏風」の屏風一枚一枚の絵が描かれていて、つなぎ合わせると一つの屏風になります。
左隻
右隻
こうやって並べてみるとかなり大きくなるので壮観です。
ただし、これではもったいなくてメモとしては使えないという悩みもあります。
他にも長沢芦雪や鈴木其一の作品の絵はがきなどを買い込み、ロッカーに入れてひと安心。
これで心置きなく展示作品を見ることができます。
今回のお目当ての一つは、鈴木其一の「群鶴図屏風」。
鶴の頭が並ぶリズム感がなんともいえず好きで、屏風の前を何往復もして角度を変えてしばらく眺めていました。
この絵は折り畳み式の絵はがきが見当たらなかったので、下の写真ははがき大の左隻。
この作品は前期(8月25日まで)だけの展示なので、ご興味のある方はお見逃しなく。
師匠の円山応挙の言うことを聞かない、あまりいい弟子ではなかった芦雪ですが、黒牛の前で嬉しそうにたたずむ犬は、まさしく応挙の犬。
まるで芦雪が「私はやっぱり応挙の弟子です」と静かに宣言しているように思えました。
若冲や芦雪、其一、さらには酒井抱一、円山応挙はじめ江戸の絵師たちの粒よりの作品が展示替えも入れると全部で100点以上もそろった展覧会なので、一気に見るのは疲れます。
1時間ほどたったところで、少し休憩をとろうと思い展示会場を出たところ、ミュージアムショップの前に長蛇の列。
レジ待ちかな?それにしても人が多いな、と思いながら通り過ぎようとしたところ、なんとジョー・プライスさんと悦子さんのご夫妻がサイン会をやっていました。
事前のお知らせもなかったので、サプライズ企画だったのでしょうか。
それにしても「この機会を逃してはならない」と、急いで図録を買い、列に並びました。
ご夫婦のサインをいただき、「サンキュー」ぐらいしか言えませんでしたが握手をして、なんだか夢でも見ているような心地でした。
プライスさんご夫妻にお会いできて、もう満足。帰ってもいいやという気にもなりましたが、まだまだ半分以上見ていない作品もあったので、気をとりなおしてもう一度展示室に入りました。
これは若冲の「鶴図屏風」の折り畳み式絵はがき(奥)と「花鳥人物図屏風」の一筆箋(手前)。
「花鳥人物図屏風」は8月20日からの展示で、見ることができなかったので、一枚一枚はがして、家で鑑賞するつもりです。
東日本大震災で被害を受けた人たちに元気と勇気を与えようというプライスさんご夫婦のご厚意により今年の3月から仙台市博物館、岩手県美術館と巡回してきたプライスコレクションもいよいよ福島でおしまいです。
会期は9月23日までなので、まだまだ間に合います(展覧会の構成や出品リストは公式サイトをご参照ください)。
↓
http://www.art-museum.fks.ed.jp/exhibition/jakuchu.html
「この内容なら新幹線に乗っても来る価値あるわよね」
と話していた女性の二人組がいました。
私も横浜から新幹線を使ってきたので、二人の話を聞きながら「そうですよね」と心の中でうなずいていました。
今年の夏のおススメは福島です。
(追記)
私のホームページにも若冲の 「鳥獣花木図屏風」をアップしました。
http://hwm8.spaaqs.ne.jp/yamaguchi-25/jakuchu.html