羽田空港11時25分発の全日空NH223便は予定より30分ほど早い16時すぎにはフランクフルト国際空港に到着した。イミグレーションも順調で、荷物の受け取りもないので、16時30分すぎにはドイツに入国することができた。
日本で予約していたケルン行きのICE(インターシティ・エキスプレス)はフランクフルト空港駅発19時58分発なので、まだ3時間以上ある。
そこでドイツ鉄道(DB)のチケットカウンターで、もっと早く出発する列車がないかどうか聞いたところ、17時58分のICEに空席があるという。
指定券の変更手数料が4ユーロ50セントかかると言われたが、さすがに10時間以上の長旅の後で、さらに2時間以上も列車に乗ることを考えると、少しでも早くホテルの部屋でシャワーを浴びてビールを飲みたいという気持ちが強くなり、即座に変更をお願いした。
空港駅からは1時間ほどでケルンに到着する直線ルートの列車もあるが、今回はせっかくの機会だからと、マインツ、コブレンツ、ボンを経由してケルンに入るルートにした。
そしてこの列車の終点はハンブルク中央駅。
(ハンブルクは今回のドイツ旅行の候補地の一つだった。「ビートルズを訪ねるドイツの旅」というタイトルまで考えていた。ハンブルクはデビュー前のビートルズがクラブに出演していた街で、デビュー後も「She loves you」や「I want to hold your hand」をドイツ語の歌詞で歌っていたくらいのサービスぶりだった。ドイツ語のタイトルはそれぞれ「Sie liebt dich」と「Komm,gib mir deine Hand」)
飛行機が到着する2時間ほど前に軽食を食べていたが、少しおなかがすいてきた。
下の写真は、列車を待つ間にベンチに座って夕食がわりに食べたモッツァレラとトマトをはさんだパン。
そしていつものように荷物はザック1つだけ。
フランクフルト空港駅を出ると20分ほどで次の駅のマインツに着く。
マインツを出てしばらくするとライン川が見えてくるが、ここからコブレンツまでの約30分くらいが、世界遺産のライン渓谷。ライン川沿いの写真を撮るには、進行方向右の窓側の席がいいのだが、通路側の席しか空いていなかった。
そこでマインツを出発してからはデッキに出て立ちっぱなしで写真を撮ることにしたが、これがまたものすごい重労働。
なにしろ列車は常に150km以上のスピードで走っているし(速度は車内のデジタル速度計に表示さている)、これだけのスピードだからよく揺れる。
写真がぶれないように、ドアに寄りかかって足をしっかり踏ん張り、さらにはどのあたりを通っているか確認するため『地球の歩き方 ドイツ』の「ライン川の旅」のページを開けて小脇に抱えたまま両脇を固めカメラを構え続けなくてはならなかったのだ。
そんな妙な姿勢でいたら男性の車掌さんが検札に来た。
「本当の席はこの車両の中なのですが、ライン渓谷の写真を撮るんでここにいるんです」
と言うと、気のよさそうな車掌さん、私のチケットを確認しながら「それはいい!」
これだけ苦労して立ったまま写真を撮ってよかったと思う。席に座っていると高さが十分でないので、いい写真は撮れなかっただろう。
どれだけ列車が速いかはこんな感じ。少しでも油断しているとお城も船も通り過ごしてしまう。
写真を撮りながら、次にライン川巡りをするときは観光船に乗ってゆったりと景色を楽しもうと心に決めた。
ライン川の対岸に古城が見えてきた。いよいよライン渓谷が始まる。
これがかの有名なローレライ。
これだけは取り損ねたくなかったので、バッハラッハ駅を通り過ぎてからはずっと足に力を入れ、カメラを持って身構えていた。
(次回に続く)