2021年9月26日日曜日

Bunkamura ザ・ミュージアム「ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス」

 東京・渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムでは、「ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス」が開催されています。

展覧会チラシ


今回の展覧会は、箱根・仙石原にあるポーラ美術館の西洋絵画をはじめとした豊富なコレクションの中からセレクトされた、印象派からエコール・ド・パリの時代にフランスで活躍した28人の画家の絵画74点がまとまって見られる絶好の機会です。

展覧会概要


会 期  2021年9月18日(土)~11月23日(火・祝)
休館日  9月28日(火)、10月26日(火)      
開館時間 10:00-18:00(入館は17:30まで)
     夜間開館/毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
会 場  Bunkamura ザ・ミュージアム
入館料  一般 1,700円、大学・高校生 1,000円 中・小学生 700円(税込)   
 ※会期中のすべての土日祝および11月15日(月)~11月23日(火・祝)は【オンラインによ 
  る入場日時予約】が必要となります。
展覧会の詳細、オンラインによる入場日時予約は、展覧会公式サイトでご確認ください⇒ポーラ美術館コレクション展 甘美なるフランス

展示構成
 第1章 都市と自然-モネ、ルノワールと印象派
 第2章 日常の輝き-セザンヌ、ゴッホとポスト印象派
 第3章 新しさを求めて-マティス、ピカソと20世紀の画家たち
 第4章 芸術の都-ユトリロ、シャガールとエコール・ド・パリ

※展示室内は撮影禁止です。掲載した写真はプレス内覧会で主催者の許可を得て撮影たものです。
※展示作品はすべてポーラ美術館所蔵です。

こちらは会場の外のフォトスポット。
デュフィの《パリ》を背景に、ぜひ記念撮影を!

フォトスポット


今回の展覧会では、第1章の19世紀後半の印象派から、第4章のエコール・ド・パリまで、作品が年代順に展示されていますが、そこに共通して流れるテーマは、「女性像」「パリ」「旅」

それではこの3つのテーマを手がかりに会場内の様子をご案内していきたいと思います。


テーマ1 時代を映すファッショナブルな女性像


19世紀半ばの産業革命を契機に発達した女性たちのファッションは、時代の象徴として当時の画家たちを魅了しました。

今回の展覧会では、異なった時代の画家による、さまざまな画風の女性像を見ることができます。

初めにご紹介するのは、ルノワールらしい柔らかな色調で女性を描いた《レースの帽子の少女》。展覧会チラシの表紙を飾る作品です。

ピエール・オーギュスト・ルノワール
《レースの帽子の少女》1891年

《レースの帽子の少女》の隣に展示されているのは、パリジェンヌたちが愛用した化粧道具。
会場内にはアールヌーボーやアールデコの化粧道具が、作品とともに全部で12件展示されていて、雰囲気を盛り上げています。
化粧品の香りが伝わってきそうです。


第1章展示風景

壁紙にも注目です。
フランスの邸宅におうかがいして絵画を楽しむというのが今回の展示のコンセプトなので、おしゃれなインテリアも雰囲気を盛り上げるのに一役買っています。

そして、ピアノの伴奏ともに優しいトーンの解説を聞くことができる音声ガイドもおススメです(貸出料金:1台600円(税込))。
ナビゲーターは声優の下野紘さん、解説ナレーターはTBSテレビ アナウンサーの水野真裕美さん。

ピアノの音色を聴きながら、おしゃれなインテリアの室内を歩くと、気分はすっかりパリ!


鮮やかな色調で描いた女性たちはマティスの作品。

右から、アンリ・マティス《室内:二人の音楽家》1923年、
《紫のハーモニー》1923年、《襟巻の女》1936年

マティスは南仏のニースに滞在したので、窓を開けるとまばゆく輝く地中海が見えてくるのでは、と想像が膨らみます。

アンリ・マティス《襟巻の女》1936年



テーマ2 近代化によって大きく変貌するパリ


当時の画家たちは、19世紀半ばに行われたパリ大改造や産業革命によって近代都市に生まれ変わったパリの姿を好んで描きました。

フォトスポットでもご紹介したラウル・デュフィの《パリ》(1937年)が見えてきました。
パリの名所を散りばめたこの作品は、まるで「パリの洛中洛外図」です!

第3章展示風景 撮影:古川裕也

続いて、生まれ育ったモンマルトルの街並みを描いたユトリロの《ラ・ベル・ガブリエル》(1912年)、《ラパン・アジル》(1911年)(下の写真左の2点)。


第4章展示風景 撮影:古川裕也



パリ散歩のフィナーレを飾るのはシャガール。
戦後、亡命先のアメリカからフランスに戻り、1964年にパリ・オペラ座の天井画を完成させたシャガールの《オペラ座の人々》(1968-71年)(下の写真、奥の左から2点目)には、シャガール本人と思わる人物が描かれています。

第4章展示風景 撮影:古川裕也



テーマ3 フランス各地への旅


産業革命によって鉄道網がフランス各地に伸びて、パリの人たちの行動範囲は広がり、画家たちもパリ郊外や南仏などに移り住んで作品を描くようになりました。

機関車や駅、工場などを近代化の象徴として描いたのは、日本でも大人気のモネ。

右から クロード・モネ《サン=ラザール駅の線路》1877年、
《花咲く堤、アルジャントゥイユ》1877年

音声ガイドでは、モネが機関車を描くときのユニークなエピソードを聞くことができます(音声ガイドを聞いてのお楽しみ!)。

モネといえばやはり「睡蓮」が見たくなりますが、冒頭に展示されていますのでご安心を。

右 クロード・モネ《睡蓮》1907年
左 ジャン=バティスト=カミーユ・コロー《森のなかの少女》
1865-1870年頃


ピサロやシスレーが描いたパリ郊外の風景画には、自然の温かみが感じられて、心が和みます。

第1章展示風景




南仏のプロバンスに移住して作品を描き続けたのが、ポスト印象派を代表する画家の一人、セザンヌでした。

右から ポール・セザンヌ《オーヴェール=シュル=オワーズの藁葺きの家》
(1872-1873年)、《4人の水浴の女たち》(1877-1878年)、
《プロヴァンスの風景》(1879-1882年)


ナビ派のボナールが描いたのは《地中海の庭》(1917-1918年)(下の写真右)。
黄色いミモザの花で埋め尽くされた庭の彼方に広がるのは青い地中海。かなたには南国らしい棕櫚の木も見えます。

第2章展示風景


展示室内は、19世紀後半から20世紀にかけてのパリやフランス各地の雰囲気でいっぱい。
箱根のポーラ美術館に行っても、これだけ多くの画家たちの作品を一度に見られるとは限りません。
とても貴重な機会ですので、ぜひご覧いただきたい展覧会です。


ミュージアムグッズも充実のレパートリー!


モネやルノワールはじめ、人気画家の展示作品をモチーフにしたオリジナルグッズも充実しています。
モネ《睡蓮》が描かれた缶に入った缶入りクッキー(税込1,900円)や、ルノワール《レースの帽子の少女》の缶が可愛らしいアーモンドドラジェ(税込1,200円)は、中身のお菓子を食べた後でもオシャレな小物入れとして使えそうです。




展覧会の全出品作品を収録して、解説も充実している展覧会図録もおススメです。
全228ページのボリュームで税込2,400円です。

展覧会図録


他にも目移りしそうなグッズでいっぱい。
ぜひ展覧会特設ショップにもお立ち寄りください。