2025年1月8日水曜日

国立西洋美術館 2025年度展覧会スケジュール

東京・上野公園にある国立西洋美術館の2025年度展覧会スケジュールが発表されました。
充実した内容の西洋絵画などのコレクションや寄贈・寄託作品を展示している常設展、海外の美術館などと連携した企画展が開催されて、連日多くの方が訪れている国立西洋美術館では、2025年度も西洋美術の魅力がたっぷり味わえて、ワクワクする企画展、小企画展が続々と開催されます。


【2025年度小企画展スケジュール】


梶コレクション展ー色彩の宝石、エマーユの美
【開催期間:2025年3月11日~6月15日】


国立西洋美術館にこのたびジュエリーアーティストの梶光夫氏が収集したエマーユを中心とした工芸品コレクションが寄贈されたことを契機に開催される展覧会です。
エマーユとは、七宝に相当するフランス語で、金属の素地にガラス釉を焼きつけた工芸品のことで、寄贈されたコレクションは19世紀後半から20世紀初頭のフランスで制作されたものが中心で、作品数は約150点にものぼります。

今回の小企画展では、コインのような小さなエマーユから、ジュエリーや宝石小箱、そして額装された大振りのエマーユまで、梶コレクションの全貌が明らかにされます。
あわせて、梶氏が所蔵するアール・ヌーヴォーの工芸品やアルフォンス・ミュシャのポスター等も展示されるので、とても華やいだ雰囲気が楽しめそうです。

額寸が50㎝四方のエマーユ。

ポール・ボノー 《ルネサンス期ファッションの若い女性》 
1907年  50 x 50 cm(額寸)、17 x 17 cm(エマーユ)
 国立西洋美術館 梶コレクション 

コインのような小さな空間に細かな装飾が描かれた《皇后テオドラ像》。
皇后テオドラは、ビザンツ帝国(東ローマ皇帝)ユスティニアヌス1世(在位527-565)の妃で、「大帝」と称された夫とともにローマ帝国の栄光回復につとめたことで知られています。
威厳のある表情がその功績を表しているように感じられます。

《皇后テオドラ像》 19世紀後半 2.6 x 2.6 cm
 国立西洋美術館 梶コレクション  

普段の生活で使う小物にも見事な装飾が施されていて、とてもおしゃれです。

シャルル・ルペック 《ヴィーナスが描かれた脚付盃》
 1863年 20 x 20 x 17 cm  国立西洋美術館 梶コレクション



《愛の泉が描かれたピルケース》 1860年頃
 6 x 6 x 3 cm  国立西洋美術館 梶コレクション 





ピカソの人物画
【開催期間:2025年6月28日~10月5日】


20世紀美術の巨匠パブロ・ピカソは、何よりも「人」を描いた画家であり、めまぐるしい変貌を繰り返しつつも、強い存在感を放つ人間像を生み出し続けました。
今回の小企画展は、近年多数の寄託作品によって拡充された国立西洋美術館のピカソ・コレクションを中心に、ピカソの人物像の主題に迫る展覧会です。
国内でピカソ作品をまとまって見られる幸せを噛みしめたいです。


物語る黒線たちーーデューラー「三大書物」の木版画
【開催期間:2025年10月25日~2026年2月15日】


古代ギリシャの有名な画家にあやかって「黒線のアベレス」との異名をとり、色のない線であらゆるものを描きつくすと評されたドイツ・ルネサンスを代表する芸術家、アルブレヒト・デューラーの「三大書物」ー『大受難伝』、『黙示録』(ラテン語版による再版)、『聖母伝』の版画連作をはじめて全点展示する展覧会です。
デューラーの「三大書物」の木版画をすべて所蔵しているのは国内では国立西洋美術館だけですので、このチャンスを逃すわけにはいきません。
デューラー好きが高じてニュルンベルクのデューラーの工房「デューラー・ハウス」まで行った筆者としては、まさに待ち望んでいた展覧会です。


アルブレヒト・デューラー 《『黙示録』:龍と闘う聖ミカエル》
 1498年頃、1511年出版(ラテン語版再版、印刷本としての初版は1498年)
 木版、活版印刷 39.4 x 28.1 cm  国立西洋美術館


フルーニング美術館・国立西洋美術館所蔵 フランドル聖人伝板絵ー100年越しの”再会”
【開催期間:2025年10月25日~2026年5月10日】


1520年代のフランドル(現ベルギー)で制作され、20世紀初頭に日本とベルギーに分かれて所蔵された2点の聖人伝板絵を100年越しに「再会」させる企画です。
2点を並べて展示して、美術史学的アプローチと自然科学的調査から得られた最新の研究成果とともに紹介されるので期待したいです。

作者不詳 《聖ヤコブ伝》 油彩、
板 116.4 x 105.6 ㎝  国立西洋美術館 旧松方コレクション  


【2025年度企画展のご案内】




●西洋絵画、どこから見るか?ールネサンスから印象派まで
 サンディエゴ美術館 vs 国立西洋美術館
 【開催期間:2025年3月11日~2025年6月8日】




●スウェーデン国立美術館 素描コレクション展ールネサンスからバロックまで
 【開催期間:2025年7月1日~2025年9月28日】




●オルセー美術館所蔵 印象派ー室内をめぐる物語
 【開催期間:2025年10月25日~2026年2月15日】


2025年度の企画展も海外の西洋絵画の名品が見られる展覧会が続くので、今年も国立西洋美術館から目が離せません。


【国立西洋美術館情報】
館 名  国立西洋美術館
所在地  〒110-0007 東京都台東区上野公園7-7
開館時間 9:30~17:30
     金・土曜日 9:30~20:00
     ※入館は閉館の30分前まで
休館日  月曜日(祝休日の場合は開館し、翌平日休館)、年末年始
URL    https://www.nmwa.go.jp/