2022年12月5日月曜日

国立新美術館 DESIGN MUSEUM JAPAN展

東京・六本木の国立新美術館では、「DESIGN MUSEUM JAPAN展 集めてつなごう 日本のデザイン」が開催されています。

 
展示風景

「DESIGN MUSEUM JAPAN」とは、NHKが第一線で活躍するクリエーターたちと全国各地の〈デザインの宝物〉を探して、それを展示や番組を通じてネットワークして日本全体にひとつの〈デザインミュージアム〉を浮かび上がらせようという魅力的な取組みのことなのです。

参加した13人のクリエーターも、デザイナー、建築家、映像作家と多士済々。

開会式典・フォトセッション
(都合により欠席されたクリエーターの方もいらっしゃいます。)

全国各地で〈デザインの宝物〉をリサーチしたクリエーターの方々は次のとおりです。

皆川 明(デザイナー)
 「山形緞通」〈雪国のくらし〉を支えるデザイン(山形/山形県)
西沢 立衛(建築家)
 「佐渡・宿根木集落」〈海の民の合理性〉あふれる町並み(佐渡/新潟県)
柴田 文江(プロダクトデザイナー)
 「甲斐絹」千年続く織物 郡内織物のルーツ(富士吉田/山梨県)
乾 久美子(建築家)
 「小さな風景」無銘の工夫の集積にデザインを見る(富士宮・伊豆/静岡県)
須藤 玲子(テキスタイルデザイナー)
 「最先端スポーツウエア」発想源は富山の「あんどん祭り」(小矢部/富山県)
三澤 遥(デザイナー)
 「南方熊楠コレクション」万物をフラットにみる収集のデザイン(田辺/和歌山県)
原 研哉(グラフィックデザイナー)
 「プロペラ」合理性が生む揺るぎないかたち(倉敷/岡山県)
廣川 玉枝(服飾デザイナー)
 「博多祇園山笠」更新されながら受け継がれる情熱の結晶(福岡/福岡県)
森永 邦彦(ファッションデザイナー)
 「ノロの装束”ハブラギン”」着る人を守る意思が生んだデザイン(奄美/鹿児島県)
辻󠄀川 幸一郎(映像作家)
 「ぶちゴマ、そこから広がるさまざまなコマ」おもちゃは人間が最初に触れるデザイン
  (姫路/兵庫県)
水口 哲也(エクスペリエンスアーキテクト)
 「トランスアコースティックピアノ」伝統の匠と最新のテクノロジーの出会いをデザイン
  (浜松/静岡県)
田川 欣哉(デザインエンジニア) 
 「柳宗理のデザインプロセス」カトラリーを例に(金沢/石川県)
田根 剛(建築家)
 「縄文のムラ」1万年前の住空間にもデザインがあった(一戸/岩手県)

ご覧のとおり、全国各地のお宝はジャンルもいろいろ、バラエティに富んでいるので、何が出てくるか楽しみです。

それでは、さっそく〈デザインの宝物〉をご紹介したいと思います。

一人ひとりのクリエーターの展示ボックスは〈デザインミュージアム〉らしく、このようにオシャレな「デザイン」で統一されています。

国立新美術館展示風景(須藤玲子 「最先端スポーツウエア」
発想源は富山の「あんどん祭」)


テキスタイルデザイナーの須藤玲子さんが訪れたのは、ラグビーワールドカップ2019で日本チームのジャージーをデザインした富山県小矢部市の世界的なスポーツウエアメーカー。

アスリートの身体にピタリと合うウエアづくりのヒントとなったのは、地元の「あんどん祭り」のあんどんの、竹で作る骨格であったことを紹介しています。

国立新美術館展示風景(須藤玲子 「最先端スポーツウエア」
 発想源は富山の「あんどん祭」)

平城宮大極殿の大棟の両端に付けられた鴟尾(しび)のように黄金色に輝くものが見えてきました。
これはいったい何なのでしょうか?


国立新美術館展示風景(原研哉 「プロペラ」
 合理性が生む揺るぎないかたち)


これは、故郷岡山にある世界の船舶のシェアが30%を占めるプロペラメーカーを訪ねた原研哉さんが紹介する大型船舶向けスクリュープロペラ(一部)の模型でした。

大きなものでは直径8mにも及ぶプロペラの表面の局面は、職人の手によって100分の1mm単位の微調整をしながら精度を高められていくもので、原さんは、機能を極め尽くしたものに「美しさ」という言葉では置き換えられない〈ものづくりの感動〉を感じられたのでした。


展示作品は手を触れてはいけないものがほとんどですが、中には触ってみることができるものもあります。

こちらは山形県山辺町にある「山形緞通(だんつう)」の製造現場を訪れた皆川明さんが紹介する「手織り緞通」。
ぜひふわふわ感と温かみを感じていただきたいです。

国立新美術館展示風景(皆川明 「山形緞通」
 〈雪国のくらし〉を支えるデザイン)


皆川さんが見つけた〈デザインの宝物〉は、戦後、素材の羊毛が手に入らなかった時期に作られた「〈葛の根の糸〉で織られた緞通」でした。
葛の根や手織りに使う道具なども紹介されています(こちらは触ることはできません)。

国立新美術館展示風景(皆川明 「山形緞通」
 〈雪国のくらし〉を支えるデザイン)

各ボックスには関連書籍なども置いてありますが、こちらは手に取って見ることができます。

国立新美術館展示風景(廣川玉枝 「博多祇園山笠」
更新されながら受け継がれる情熱の結晶)



他にも会場内にはまだまだ楽しい展示がいっぱいあります。
ぜひ会場にお越しになって、お気に入りの〈デザインの宝物〉を見つけてみませんか。

展示風景


展覧会開催概要


会 期  2022年11月30日(水)~12月19日(月)
開館時間 10:00-18:00
     ※毎週金曜日は20時まで ※入場は閉館の30分前まで
休館日  火曜日
会 場  国立新美術館 企画展示室1E
入場無料
※会場内は撮影可。フラッシュ撮影、三脚の使用は不可です。

クリエーターさんのギャラリートークはじめ関連イベントもあります。
詳しくはこちらでご確認ください。⇒DESIGN MUSEUM JAPAN展 関連イベントについて

クリエーターのみなさんが訪れた場所



特集番組放送予定のご案内


テレビで本展の関連番組が放送されます。
こちらもぜひご覧ください!

「デザインミュージアムジャパン」
2022年12月10日(土)午後3:05~3:50 NHK総合
再放送 12月12日(月)0:45~1:30 NHK Eテレ ※11日(日)深夜
番組ナビゲーター 櫻井 翔さん