2022年12月31日土曜日

2022年 私が見た展覧会ベスト10

今年もコロナ禍の影響を大きく受けた一年間でしたが、心に残る多くの展覧会にめぐり会うことができました。

そこで今年も毎年恒例の「私が見た展覧会ベスト10」を発表したいと思います。

第1位 東京都美術館 特別展「ボストン美術館展 芸術×力」





コロナ禍の影響で、2年待ってようやく「ゆるキャラ」吉備大臣にお会いすることができました。
日本にあれば間違いなく「国宝」といわれる《吉備大臣入唐絵巻》、《平治物語絵巻 三条殿夜討巻》が里帰りしたほかにも、ナポレオン1世や乾隆帝はじめ権力と芸術、権力者と芸術家との関係がわかる作品が展示されていて、奥行きの深さが感じられる展覧会でした。


江戸で絵筆をふるうという長谷川等伯の夢が400年の時を経て今ここに実現したー長谷川等伯・久蔵親子はじめ長谷川派一門の金碧障壁画を見ていたらそんな気がしてきました。
長谷川等伯ファンにとってはたまらない展覧会です。
来年(2023年)1月22日まで開催されています。

長谷川等伯と狩野永徳のライバル関係を軸に書いたコラムはこちらです。





3つの古代エジプト展が国内を巡回した昨年の「古代エジプトブーム」に続いて、今年はポンペイ展が国内を巡回して一大ポンペイブームを巻き起こしました。
再現展示と、その中に展示されている出土された彫刻やモザイク画のコンビネーションが見事で、2000年前のポンペイの様子をリアルに感じ取ることができました。







皇室の名宝と近代日本美術とともに歩んできた東京藝術大学のコレクションがコラボした展覧会。
狩野永徳《唐獅子図屏風》、伊藤若冲《動植綵絵》はじめ初めて国宝指定された宮内庁三の丸尚蔵館所蔵品が話題を呼びました。





川崎造船所(現川崎重工業株式会社)などを創業した川崎正蔵氏が収集した所蔵品を現在のJR新神戸駅周辺にあった自邸で公開した「川崎美術館」が、およぞ100年ぶりにゆかりの地・神戸で再現された、まさに夢のような展覧会。
円山応挙の襖絵で囲まれた贅沢な空間は見事でした。




静岡のMOA美術館、愛知の徳川美術館、三井記念美術館の3館共同で開催された、まさに蒔絵の名品が大集結した展覧会。
漆と金銀で彩られた日本の伝統の美の世界が楽しめました。

2023年4月15日(土)~5月28日(日) 徳川美術館に巡回します⇒大蒔絵展公式サイト





アメリカ人研究者、アンドリュース率いる中央アジア探検隊がたどった冒険の旅が追体験できるエキサイティングな展覧会でした。
チベットケサイ親子の可愛らしいぬいぐるみも話題になりました。






「幻の王国」加耶の歴史を、古墳から出土された副葬品などを手がかりに明らかにしていく、スリリングな展覧会でした。

2023年1月24日(火)~3月19日(日) 九州国立博物館に巡回します⇒特別展「加耶」





個人蔵の初公開作品を含む初期から晩年までの竹内栖鳳作品と、江戸時代から昭和までの京都画壇の画家たちの作品が出品された盛りだくさんの展覧会でした。
山種美術館のアイドル《班猫》が大きな話題になりました。

竹内栖鳳の晩年の邸宅兼アトリエとして使われた霞中庵の紹介記事はこちらです。






全国約40ヶ所から鉄道美術の名作、話題作、問題作が東京駅に大集結。
鉄道開業150年の締めくくりにふさわしい場所で、ふさわしい内容の展覧会が2023年1月9日(月)まで開催されています。


ベスト10以外にも印象に残る展覧会は数多くあって今年も悩みましたが、それだけ充実した一年間でした。
来年もすでに興味深い展覧会がいくつもアナウンスされているのでミュージアムめぐりが楽しみです。


あらためまして今年一年のご愛読ありがとうございました。
来年もよろしくお願いいたします。

みなさまよいお年をお迎えください。

「私が見た展覧会ベスト10」のバックナンバーはこちらです。